プロフェッショナル流、マネージャーのための資料作成マネジメント術
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プロフェッショナル流、マネージャーのための資料作成マネジメント術

Rubato代表の松上です。ルバートの資料作成講座では、実際に手を動かすプレーヤーの方を想定して資料をどのように作るかということに重点を置いて教えています。

しかしマネージャークラスになってくると、自分で手を動かすというよりも「チームとしての成果が向上するように資料作成全体をどのようにマネージしていくか」ということがより重要になってくると思います。一方で、マネージャーの方からチームでの資料作成が上手く進まないという声をお聞きします。そこで、今回は『マネージャーはどのようにして効率的に資料作成をマネージすべきか』ということをコンサルタントの実際の業務で行っていることを事例にあげてお話していきたいと思います。

1. マネージャーが資料作りに追われる現実

よくマネージャーから聞く悩みとして、「チームとして1つの資料を作らなければならないので、何人かにパートを分けて資料作成を依頼したところ、結果として納得できるものがあがってこない」ということをお聞きします。うまくいかない理由として3つの課題があると思います。

1つ目:各パート間のストーリーがつながらない
2つ目:資料の体裁(色使いやフォント)がバラバラ
3つ目:自分が思い描いていたような資料、内容が上がってこない

何度かフィードバックをして修正をかけてもらうものの、結局のところなかなか3つのポイントが改善されず、最終的に自分ですべて時間をかけて修正してしまう方が多いように感じます。この方法を続けてしまうと、そもそも「メンバーに依頼するより自分で作った方が早い」となり、結果的に『資料作成は自分の仕事』になってしまいます。マネージャーは限られた時間の中で人をマネージし、予算や業務管理をしなければなりません。そういった中でマネージャーが資料作りに追われていることは本来的にはよくないことです。また、このことは、マネージャーの生産性に大きな影響を与えているように感じます。

2. マネージャーはストーリーラインとルール作りに集中する

マネージャーが部下に資料作成を依頼する際には入念な準備が必要になります。その準備が、資料作成におけるマネージャーの付加価値の半分くらいを占めると言っても過言ではありません。それは作成する資料の目的を明確にし、それにしたがって必要な情報、ストーリーラインを決めるという作業になります。目的やストーリーラインが決まっていない状態でなんとなく構成を作ってそれをメンバーに依頼すると、結局方向性が定まらず大きな手直しが発生してしまいます。

では具体的に『目的』とは何かというと、いつもルバートの資料作成講座でもお伝えしていることですが「誰が誰にどういうアクションをとってもらうか」、それを明確にするということです。特にマネージャーの大きな役割というのは、アクションを取ってもらいたい相手のことを深く分析して理解し、その人はどういうことを知りたいか、判断や意思決定をするためにその人はどういう情報が必要かということを仮説ベースでもいいので明確にすることです。相手のことをしっかり理解できると構成がほぼ決まり、どういう話の順番で伝えていけばいいかというストーリーラインが決められるはずです。

次にポイントになるのが、そのストーリーラインを実際にスライドに落とし込むという作業です。スライドメッセージ(T2)部分に「このスライドで主張したいこと、伝えたいこと」を書いてしまうことです。情報はなくて構わないので、スライドメッセージのみが入ったもの(スケルトン)をつくるということが何よりも大事な作業になります。これで最初に課題として挙げた『各パート間のストーリーがつながらない』という問題は解決できます。

スケルトン

スライド15

次の準備として、スライドの表現(色使い、フォント)の体裁がメンバー間で異ならないように、スライドのルールを決めたものを1枚そこに添えてあげます。するとメンバーが色使いやフォントの選び方で迷うことがなくなります。

190119_付録02_4_スライド作成ルール表(ルバート)

3. チームには必ず口頭で共有、依頼する

上に挙げた2つの準備をしたうえでメンバーに作業を振っていくわけですが、この時に重要なのがミーティングでそのストーリーをしっかり説明し、メンバーに共有するということです。スケルトンだけが書かれたPowerPointを渡されても、メンバーが行間まで理解するということはとても難しいのが現実です。そこで口頭で行間まで含めた全体の流れを共有することが重要です。

もし資料作成がそこまで得意ではないメンバーがいるようであれば、チャラ書き(※)という形で各スライドのイメージを手書きで構わないので書いて伝えてあげることがポイントになります。
(※チャラ書きの書き方については「パワポはチャラ書き(下書き)が重要って知っていますか~そのプロセスとコツ~」をご参照ください)

最後にストーリーラインをいくつかのパートに分けて、各パートをメンバーで分担してもらいます。こうすることによって、チームのメンバーが全体の流れを理解しつつ、自分のパートがどういう位置づけになるか理解できるので後から統合した時にパート間での齟齬が防げます。

4. フィードバックプロセスで部下を育成する

複数人で同じ資料を作っているのであれば、締切は必ず統一し、ある時点で資料を統合するという作業を行います。統合した資料の全体を見渡して流れを確認した後に、特に改善すべきところにコメントをつけて各々にフィードバックするようにしましょう。コメントの付け方は、PowerPointの右上に四角い図形を貼り付け、そこにマネージャーの名前(イニシャルのことが多い)付きで文字ベースでコメントを記入します。メンバーはそのコメントを参考にしながら手直しをし、修正が終わったらまたその四角い図形内に『名前』と『修正済』を記入して返します。
この流れで進めると、資料のフィードバックの管理がしやすくなり、抜け漏れを防ぐことができます。

【マネージャーからのフィードバック】

スライド1

【メンバーによる修正後のコメントの付け方】

スライド2

このフィードバックのプロセスを最低2回程度回すことをお勧めします。途中で自分が直した方が早いと思って自分で手を動かしてしまう方も多いと思うのですが、それをやってしまうといつまでたってもメンバーが育ちません。フィードバックプロセスを通して部下の育成をはかっていくことが重要です。部下がこの方式に慣れてフィードバックが少なくなればなるほど、マネージャーの本来的な価値である目的設定やストーリーラインの作成により時間を使うことができます。

まとめ

マネージャーの仕事の中で一番大事なことは、先にもお伝えしたように資料作成の実務ではありません。「どういう風に伝えようか」「どういう風にアクションしてもらおうか」と、相手がどういう人なのか知り、コミュニケーションの設計をすることがマネージャーにとって資料作成で一番重要な仕事になります。そのためには、資料作成の前に十分に準備を整え、メンバーと効果的なコミュニケーションを行うことが大事です。

ストーリーラインの作り方について詳しく学んでみようと思われた方は、ルバートの資料作成講座「ストーリーライン実践編」をよかったらご受講してみてください。マネージャーにとっての仕事の進め方、会議の進め方、意見の伝え方など非常に広範な仕事のスキルの向上に役立つと思います。マネージャーを目指す方にもおすすめです。

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第1回 入門編①図解の基本形「一人で行くバー」をお薦めするスライド
第2回 入門編②2つの比較「ストアカ」をお薦めするスライド
第3回 入門編③図解の基本形「コーチングアプリ」をお薦めするスライド
第4回 基礎編①線グラフの基本 企業の変革を促すスライド
第5回 基礎編②スライド構成と図解 新規事業を提案するスライド
第6回 Before→After OBOG版(前編)~霞が関文学編~
第7回 Before→After OBOG版(後編)~霞が関文学編~
番外編 『PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則』
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1.ロジカルな図解のつくりかた(前編)
2.ロジカルな図解のつくりかた(後編)
3.アウトプット→インプットの話
4.Rubato流「オトナのパワポ正月遊び」
5.ターゲットを絞り、刺さる資料をつくるコツ
6.「かっこいい」デザインと「余白」の話
7.添削からわかる、伝わるパワポ資料3つの特徴~添削 of the Year
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10.知る人ぞ知るPowerPoint効率化スキル
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20.資料の配色でもう迷わない~ブランドイメージを伝える配色のノウハウ~
21.論理で「見えていない世界」に気付く ~MECEな切り口(軸)の考え方~

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