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パワポはチャラ書き(下書き)が重要って知っていますか~そのプロセスとコツ~

みなさん、チャラ書きって何のことかわかりますか?
ネット検索をしてみると『チャラ書きとは、岡山弁で文字を雑に書くことや汚い字のことを指します。』このように解説しています。
ここではパワーポイントで資料作成をする際の前段階の作業として欠かせない「チャラ書き」について、ルバート資料作成講師の渡邉浩良が自身のチャラ書きと共にご紹介いたします。

0. チャラ書きの第一印象

資料作成の書籍を見ると、「チャラ書きをすることでスライド作成の効率が上がり、資料の質も向上する」と書かれていることが多いかと思います。また、「いきなりパワポを触るな!まずチャラ書きをすること!」と主張されていることがほとんどだと思います。
しかし、チャラ書きに慣れていない読者の皆様の気持ちを代弁すると、「いやいや、パワポ触るっしょ!そっちの方が早いでしょ!第一、自分絵心ないし!」といった気持ちが当てはまるのではないかと思います
私自身も、6、7年前までは全くチャラ書きをすることはなく、いきなりパワポ作業派でした。しかし、スライドを作成する際に「まずノートにチャラ書きを書くこと」を実践し始めたことで、効率が上がり、質も向上してきたと自負しています。
ここでは、恥ずかしながら、小中学校の美術と書道の成績が5段階で2と低評価であったが私が、自分のチャラ書きに対するアプローチとチャラ書きをお見せしながら、読者の皆様のチャラ書きに対する苦手意識を払拭できればと良いなと思っております。(ちなみに、何の因果関係か大学院は芸術研究科へ行きました。そのお話しもいつかできればと思っております)

1.チャラ書きに必要なこと

「チャラ書きに絵心は必要か?」と聞かれれば、答えはNoです。ただし、「人に見せる場合は、字が汚い場合はペン字等を習ったほうがベター!」とは思います(これから私のチャラ書きを見ればその理由がわかります(笑))。
それでは、「チャラ書き上達には何が必要でしょうか?」。経験上、チャラ書きの上達には、下記の三つが重要であると考えます。

(1) 最低限の図解を覚えること
(2) とりあえず書くこと
(3) 徹底的にパクること

(1) 最低限の図解を覚えること
チャラ書きは、あくまでも字のごとく「チャラっと書くもの」ですので、ビジュアルで人を圧倒するような図解や絵は必要ありません。チャラ書きで使う図形は、〇、□、△、→↓→↑、-、といった基本的な図形がほとんどです。ただし、何も知らない人がいきなりチャラ書きを書けるか?と言われるとそうでもないかなと思います。ルールや型を知らないと単なる図形と文字のお絵かきになってしまいます。最低限、Rubatoで提唱している基本図解は覚えているとチャラ書きの基礎ができると思っています。なお、単に形を覚えておくだけでなく、各図解の要素が何を意味して、どんな関係性を表現しているか?といった「要素とその関係性」も理解をしておきましょう。
(参考:https://note.com/rubato/n/n5d3d992f352e

(2) とりあえず書く
実際にチャラ書きを書く!となっても、書いたことがないとその苦手意識から「今回は時間がないから、パワーポイントで!」となってしまった方が少なくはないのでしょうか?
村井 瑞枝さんの書籍「図で考えるとすべてまとまる」で言われているとおり、苦手意識の克服には、とにかく書く、書くことでしか苦手意識が克服できない、書くと意外とでき、続けていると成長するとのことです。とりあえず書くしかない(笑)。(図-1)

スライド2

ここで私が強調したいのは、図解が汚くても気にせず、とりあえず書くことです。とりあえず書いてみることで、なんだか思考が整理されてきます。そのうち、書いているうちに矛盾に気がついたり、要素間が対比なのか、時系列のようなフローなのかといったような関係性に気がつくようになってくるはずです。

(3) 徹底的にパクる
最後の点は、良いスライドは「徹底的にパクること(真似をしてチャラ書きをしてみること)」を推奨します。単にコピーペーストや画面キャプチャをして張り付けるのでなく、図解の使い方や表現方法、軸の切り方等、自分の中のストックになかったものを意識して、ノートに保存したりすると図解表現の幅が拡がります。なお、この「徹底的にパクる」というドラクエのような標語は、私の元上司で鬼軍曹と恐れられた大先輩が、年間企画書100本ノック、名刺交換年間1,000枚というKPIを私に課してきた際によく言ってきた造語です(おそらく、どこかからパクったものだと思いますが)。

2.チャラ書きのコツ

(1)用途によって使い分けるチャラ書き
 あくまでも、我流ですが、①思考の発散を目的とした「箇条書き・殴り書き」②思考の整理・収束を目的とした「チャラ書き(本チャラ書き)」に分けて、チャラ書きをしています。前者はお題に対して考えを始める段階に、後者は誰が・誰に・どうして欲しいか?といった前提条件が決まり、お題に対する情報が集まってきたときに使っています。(図‐2)

スライド3

(2)チャラ書きの際のステップとロケーション
チャラ書きのように自分との対話をするような作業に対して、いつ?どこで?どうやって?取り組むかは、リモートワーク下の現在でも大きな課題の一つであると思います。いつもの仕事用のデスクでは集中できないし、どのタイミングでチャラ書きをしたら効率的か?ということが気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
あくまでも私の手法ですが、チャラ書きを書くのは、朝の仕事はじめの頭がすっきりしている状態か、他のことを考えなくてよい状態の夜の仕事終わり。一回書いたチャラ書きはすぐにパワーポイントの資料にせず、出社前や帰宅後で考える時間が取れるランニング中に頭の中でツッコミを入れて、チャラ書きを深化させています。何度か繰り返していくうちに、チャラ書きの内容もリッチになってきたところで、スライド化をするようにしています。
テレワーク環境の中でも、自分にとって最適な思考の発散・整理のタイミングや場所を見出すことで、仕事の効率も上がり、ストレスも軽減されると考えます。(図‐3)

スライド4

(3)チャラ書きと完成スライド
 お待たせいたしました。昨年、RubatoのHP上に公開させていただきました情報収集のコツ(https://www.rubato.co/blog/191101/)の際に書いたチャラ書き(図-4_1)とそのチャラ書きをもとに作成をしましたアウトプット(図-4_2)がこちらです。チャラ書きを見てわかる通り、メッセージとグラフや図形のイメージを記していますが、あくまでもイメージにとどめています。チャラ書きを作成したことで思考が整理され、その後、表頭をフロー型にするといったことで、さらにわかりやすいものとなったことが見て取れるかと思います。
 御覧の通り、絵心もなく、字も汚くても、パワーポイントのアウトプットとはどうやら関係がなさそうです。チャラ書きをしたことがない皆様、苦手意識をなくして、とりあえず書いてみてはいかがでしょうか?

200730_Rubato_Blog_チャラ書き

200730_Rubato_Blog_チャラ書き2

ルバートでは限られた時間内でチャラ書き→パワポでのスライド作成を行う「資料作成キャンプ」を毎月開催しています。「2日間講座」や「単科講座」を受講の上、一緒に効率的な資料作りを学びませんか。

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【公開中note一覧】
◆「人を動かす一人歩きする」資料Before→After
第1回 入門編①図解の基本形「一人で行くバー」をお薦めするスライド
第2回 入門編②2つの比較「ストアカ」をお薦めするスライド
第3回 入門編③図解の基本形「コーチングアプリ」をお薦めするスライド
第4回 基礎編①線グラフの基本 企業の変革を促すスライド
第5回 基礎編②スライド構成と図解 新規事業を提案するスライド
第6回 Before→After OBOG版(前編)~霞が関文学編~
第7回 Before→After OBOG版(後編)~霞が関文学編~
番外編 『PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則』
     Amazon週間売上ランキングのスライド

◆Rubato講師×note
1.ロジカルな図解のつくりかた(前編)
2.ロジカルな図解のつくりかた(後編)
3.アウトプット→インプットの話
4.Rubato流「オトナのパワポ正月遊び」
5.ターゲットを絞り、刺さる資料をつくるコツ
6.「かっこいい」デザインと「余白」の話
7.添削からわかる、伝わるパワポ資料3つの特徴~添削 of the Year
8.図解でわかる!新型コロナウイルス予防のコツ
9.外資系コンサルはなぜ資料作成にこだわる?
10.知る人ぞ知るPowerPoint効率化スキル
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