外資系コンサルが使うかっこいい表現の紐解き方 ~パーツとレイヤーで分解する
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外資系コンサルが使うかっこいい表現の紐解き方 ~パーツとレイヤーで分解する

0.はじめに

 2021年最初のnoteでは図解表現において、私の知る限りでは整理がされていないことについて記してみようということで、「複数の階層(以下、レイヤー)で表現をすること」を取り扱っていこうと思います。なお、作成当初は今回のテーマとは異なる内容に焦点を当てようと考えておりましたが、パワーポイントに要点を整理している段階で方向転換となりました。ですので、もう少し体系的に整理ができるかもしれませんが、体系化は追々していきたいと思いますので、ご容赦ください。

さて、いきなりですが下記の図1をご覧ください。キーメッセージの箇所をあえてXXXで表現しているのですが、あなたなら灰色のメッセージパートにどのようなメッセージを入れますか?

スライド1

「こんなの簡単だよ」、「余裕」と感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、大半の方は「ボディから読み取ろうとしても、何を説明すればいいんだ?」と難しく感じるのではないでしょうか?このチャートは、実はマッキンゼー社の「日本の観光の未来2020年への持続可能な成長に向けて 」で掲載されていた図を模写したものです。
このチャートはレイヤー、俯瞰、メタファー表現を駆使している非常に良いものです。
今回は、この図解を紐解くことで、表現の幅を増やしていければと思います。

1. 複雑な図解の紐解き方

さて、先ほどの図解のような難解な図解の紐解き方ですが、主に2つの方法で分解をしていくことが有効だと考えます。

まず、①パーツへの分解です。これは見れば分かるかと思いますが、図解を構成する図形に分解してみます。パーツへの分解の場合、単に図形として、形として何が用いられているか?ということを理解するもので、図解全体として表現することを理解するものではありません。

次に、今回焦点を当てたいのが、②レイヤー(階層)への分解です。図2の右側に示されている②レイヤー(階層)への分解を見てください。一番下の層である第1層をベースとして、トレースペーパーでどんどん層を上に重ねていくイメージを持っていただくと理解しやすいかと思いますが、このチャートは大きく4つの階層に分けられます。これから、順にひとつずつ紐解いていこうと思います。

スライド2


2. レイヤー毎の紐解き方

まず、一番のベースとなる第1層ですが、この層は表側に何と・誰と比べるか、つまり比較対象として競合の国々を、表頭に回答者の旅行先における購買ファネルにおけるステージを表しているマトリクス表現を用いています(図3)

スライド3

次に、第1層の上に来る第2層ですが、このレイヤーが一番いやらしい(笑)です。元のチャート(図1)では、表体(セル)の中で、「矢印(赤色、緑色、灰色)の中の数値」で示されています。

このレイヤーでは、図4に示す通り、各購買ステージのあいだのコンバージョン率(転換率)を表現しています。図1では表頭は表されておらず、図3で示した第1層の「各ステージに残る旅行者の率」の表頭の項目の間に挿入されている形となっております。

スライド4

図5に示す通り、第3層では、時間の流れを示すために表頭を矢羽根(ホームベース型)へ変更したり、表体(セル)部分の数値を円や矢印へと変更することで、「時間の概念の付加」と「視認性の向上」を図っていると考えられます。

スライド5

最後の第4層ですが、図形の大きさを変更することで「増減の概念を付加」し、図形の色を変更することで、表側には表現されていない「新たな比較対象(日本)とその比較の結果の解釈(他の人気国の平均と日本を比べて、日本の数値が高ければ強み、低ければ弱み)」を付加しています。

スライド6

ひとつひとつの層を細かく見てきましたが、各レイヤーをまとめたものが図7となります。図7に示した通り、一番下の層から上へと層を重ねていくことで、チャート全体がわかりやすい表現になっていると考えられます。

スライド7

それでは最後に冒頭のチャートにメッセージを加えたものを見ていきたいと思います。キーメッセージは「日本は、アジアからの旅行者の多くを実際の旅行までつなげている一方で、西欧からの旅行者の多くを検討から旅行への段階で失っている」となっております。
いかがでしたでしょうか?「やるな、さすがマッキンゼー!」といった感想を持たれたかと思います(渡邉も今回は頑張りました(笑))。

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3.最後に

長々なりましたが、今回のnoteを通して一枚のスライドの奥深さを理解できたかと思います。本来は下図9にあるようなメタファー表現を紐解いてみたいと考えていたのですが、扱うチャートを間違えてしまい(笑)、なんとか紐解いてやろうということでレイヤー表現にフォーカスいたしました。次回は難易度や障害物を表すメタファー表現にトライしたいと思っています。

最後に、昨年、講師のトニーこと大塚さんと一緒に「プロフェッショナル図解の紐解き方講座 」を開講させていただきましたが、今年も続きをやりたいと思っています。良いチャートを見つけて、図解を紐解き、実際に作れるようになることで、社内や社外で「おおおおおー」と言われる機会が増えるはずです。読者の皆様のご受講お待ちしております。

スライド9


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第2回 入門編②2つの比較「ストアカ」をお薦めするスライド
第3回 入門編③図解の基本形「コーチングアプリ」をお薦めするスライド
第4回 基礎編①線グラフの基本 企業の変革を促すスライド
第5回 基礎編②スライド構成と図解 新規事業を提案するスライド
第6回 Before→After OBOG版(前編)~霞が関文学編~
第7回 Before→After OBOG版(後編)~霞が関文学編~
番外編 『PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則』
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2.ロジカルな図解のつくりかた(後編)
3.アウトプット→インプットの話
4.Rubato流「オトナのパワポ正月遊び」
5.ターゲットを絞り、刺さる資料をつくるコツ
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32.資料化(アウトプット)で思考が深まり、仕事の質が上がる理由
33.資料作成の参考になるIR資料を探してみた~事例と探し方

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