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外資系コンサルの16:9プレゼン資料集 ~リモートワーク時代の横長スライドライティング術~

0.はじめに

資料作成講座の講師の渡邊です。
コロナ感染症が広まってから1年半以上が経ちました。この間のワークスタイルの変化としては、リモートワークの浸透が一番に上げられるのではないでしょうか?
リモートワークの環境下でスライド作成において変化したこと、変化が見られたことは「スライドサイズ」の変更です。

今回は、対面での打合せを前提としたプレゼンテーション資料(A4サイズ)から画面での投影を主眼においたプレゼンテーション資料(16:9)への進化を、外資系コンサルのアウトプットを通して見ていきたいと思います。

なお、外資系コンサルのサイズ変更に関してはコロナが契機となったか否かは定かではないですが、画面サイズに適した16:9を使用するようになったということで、コロナ禍のリモートワークの環境に適合をしたと理解することとします。

スライド1


 今回ご紹介されていただく資料は下記の通りです。

スライド2


1. 16:9サイズへの適応例

外資系コンサルによるアウトプットの16:9へサイズへの適応例は大きく2つに分けられます。マトリクス型(フロー型×マトリクス型)と(スライドの)分割が適応例に当たります。
今回は実際の例を見つつ、それら2つを解説していきたいと思います。

スライド3


2. マトリクス型(フロー×マトリクス型)

まず、図表-3~5を見てください。
これらはボストンコンサルティンググループとPWC合同会社 ストラテジーグループ(Strategy &)のアウトプットです。図表-3はA4サイズで作成されたもの、図表4-5は16:9サイズで作成されたものです。

スライド4

スライド5

スライド6

A4サイズの資料3と16:9サイズの資料4,5で作成されたマトリクス型での図解を比べてみると、16:9サイズでは、スライドサイズに合わせて列数(横)を多くし、相対的にサイズの小さい行数(縦)を少なくしていることが分かるかと思います。
このように、16:9という横に長いサイズに対して、資料も横を意識したものとなっています。

スライド7


3. (スライドの)分割

続いて横長の16:9サイズへの適応として紹介をしたいのが、資料の分割です。A4サイズでもスライドを分割するような方法で要素を配置する方法がとられていましたが、16:9サイズによって2分割、3分割、4分割のようにスライドを分割する表現方法が増加したように感じます。

(1)2分割
まず、マッキンゼーが2分割を用いている例が図表-7です。
図表-7では、スライドを2つの要素に分けて分割して表現しています。左側の要素を前のスライドからの示唆や根拠を示し、それを受けた解決策が右側に位置するように配置しています(図表-8)。

スライド8

スライド9


続いて、ベイン・アンド・カンパニーの例を示しているのが図表-9となります。
こちらは、グラフを左、右側にグラフから得られる示唆を記載して、2つの要素を同じ大きさで分割しています。

スライド10

スライド11


(2)3分割
続いて、3分割の例です。
図表-11もマッキンゼー社の例ですが、スライドを3つの要素に分け、課題、解決策、さらに今後の検討方向を左から右に流しているように表現しています。

スライド12

スライド13


(3)4分割
最後にストラテジー&が作成した4分割の事例をご紹介しましょう。図表-13では、三つグラフを列挙し、その下に定性コメントを入れ、合計4つの要素を1枚で表現しています。

スライド14

スライド15


4.最後に

今回は紙での出力でなく画面共有を念頭においた16:9での資料作成例を見てきました。外資系コンサルでは、横幅が長くなってしまいがちな16:9のスライドを、列の要素を増やすこととスライドを横に分解することでうまく表現をしていることが分かったかと思います。
 環境が変われば、適合する必要性が生じる、、、。資料作成でも紙から画面共有を念頭においた進化が求められているのかもしれません。今回のnoteによって、A4サイズとの違いを意識して、16:9でのスライドライティングのコツを意識してもらえるようになれば幸いです。




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