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リモートワークで伝わる話し方②~関係性でストーリーを作る

ルバート代表の松上です。リモートワークでどのようにすればうまく伝わるか、というテーマで前回は一つ目のポイント、「抽象⇔具体を組み合わせる」について書きました。今回は2つ目のポイントの「関係性の明示」について紹介します。


1.ストーリーの効果

人がプレゼンテーションを理解する時に重要なのが「ストーリー」です。ストーリーがはっきりしていると人は理解しやすいですし、ストーリーが不明瞭だと理解度は下がります。では、わかりやすいストーリーのポイントは何でしょうか。

「わかりやすいストーリー」は昔話を例にとると理解しやすいです。昔話では特定の登場人物が色々な行動を行いながら、ストーリーを紡いでいきます。例えば、「おばあさんが川へ洗濯をしにいくと、川に桃が流れてきて、それをおばあさんは拾い、家に持ち帰ります。そしておじいさんと一緒に桃を切ると、元気な赤ちゃんが飛び出しました。」というような形です。

昔話がわかりやすくできているポイントは新しい登場人物が出てくる時には、他の登場人物との関係性が明示されているというところです。例えば、鬼は桃太郎の敵役という形で現れますし、猿・雉・犬は桃太郎の家来になるという関係が明示されています。

つまり、昔話では、新たな登場人物が他の登場人物と関係性が明示されないまま物語が進むということはほとんどないのです。

実は、わかりにくいプレゼンテーションは、この「関係性の明示」が不足していることが多いのです。新たなコンセプトが出てきた時に他の情報との関係性が示されていない、前のスライドと次のスライドの関係性が示されていない、こういったことが繰り返されると聞き手は迷子になってしまうのです。


2.関係性の種類

では、関係性を明示するためには何を意識する必要があるでしょうか。それにはまず関係性の種類を意識する必要があります。関係性には大きく4つほど種類があります。

①同じところ:どことどこが同じなのかを明確にする
②違うところ:要素のどこが同じで違うのかを示す
③時間と因果:時間軸や因果関係で示す
④包含とペア:包含やペアなどを示す

プレゼンテーションの中ではこの4つの関係性を意識しながら話すと、ストーリーがつながり、相手にとってわかりやすくなります。


3.実際に説明してみる

では、実際の事例で考えてみましょう。使用する資料は前回と同様、「外資系コンサルファームのプレゼン資料(2020年最新版)~各社の特徴を洗い出す」という記事で紹介していたアーサー・ディ・リトル・ジャパンの『ロボット実装モデル構築推進タスクフォース活動成果報告書』です。

使うスライドは「COVID-19によるサービス産業におけるロボット普及ドライバーの変化」というスライドです。コロナ前とコロナ後で、ロボット導入にどのようなドライバー(誘因)が働いているかを示したスライドです。

スライド1

では、早速4つの関係性をどこの説明で具体的に使用するかを見ていきましょう。

【①同じところ】
プレゼンテーションでは、資料の「どことどこが同じところか」を説明すると、大変わかりやすくなります。例えば、以下の二枚は連続するスライドですが、10ページの右の要素が実は11ページの左に再度登場しています。こういう時には、「前のページで見た3つのドライバーをより詳しく説明していきます。」と口頭で伝えると、聞き手は「前のページで見た内容ね」と理解度が高まるのです。

スライド2

プレゼンテーションの一番の欠点は実は「紙芝居」であることで、聞き手は一度に一枚のスライドしか基本的には見られません。そうすると、聞き手が少し前に聞いた内容でも、目の前にあるスライドとどう関係しているかすぐにわからなくなってしまうのです。よって、「ココとココは同じだよ」ということを示してあげる必要があるのです。

【②違うところ】
同じところと同様に、情報の間の「違うところ」を示すことも重要です。単純に伝えるとしたら以下の通りです。

「コロナ後は事業者にとってロボットは『局所的な労働力枯渇への対処』と『危険業務の代行』が重要です。」

一方で、違いを明確にして、以下のように伝えるとどうでしょうか。

「コロナ後は事業者にとってロボットは『局所的な労働力枯渇への対処』に必要です。また労働力不足という量の問題だけでなく、質の部分もあります。それが『危険業務の代行』です。」

スライド3

上記のように情報の種類の違いを明確にすると、より頭に入る感じがわかるでしょうか。このように前の情報とどういった部分で異なるかを示すと、聞き手は前の情報に紐づけて内容を理解することができ、理解度が深まるのです。

【③時間と因果】
続いて、時間と因果の関係性を見ていきましょう。以下のスライドの場合は、左のBefore COVID-19と右のAfter COVID-19の間に時間の流れの関係があります。この流れをより明確にするために、以下のような説明をいれます。

「コロナ以前の状況から、次にコロナ以後の状況を見ていきましょう」

スライド4

この説明を入れることで、聞き手は左側と右側には時間の流れがあることを理解できます。もちろんスライドを見ればわかることですが、それを口頭でより明確にすることがわかりやすいストーリーのポイントです。

【④包含とペア】
続いて、包含とペアの関係性を見ていきます。消費者視点と事業者視点の二つの要素は両者がビジネスでいうところの「買い手」と「売り手」ですので、ペアの関係性にあります。これを明確にするために、以下の説明を加えることでペアの関係性にあることを強調します

「消費者の視点から見てきましたので、反対に事業者の視点から見ていきます」

スライド5

上記の説明で、聞き手は消費者と事業者がペアの関係性にあることをはっきりと意識できます。


4.終わりに

関係性を意識しての説明を見てきましたが、いかがだったでしょうか。4つの関係性を一つずつで構いませんので、資料を説明する際に意識してみてください。スライドや要素を関係づけて話すことで、話につながりが生まれ、流れがよくなり、聞き手がわかりやすい話し方になると思います。次回は三つ目のポイントの「意図的なキャッチボール」について書こうと思います。


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