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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2023年2月の記事一覧

日本経済は、中国がなくてもまったく心配ない (三橋 貴明)

日本経済は、中国がなくてもまったく心配ない (三橋 貴明)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 著者の三橋貴明氏、「経済評論家」との肩書もあるようですが、学者的な意味での経済の専門家ではありません。ただ、それゆえに、素人分かりする解説が特徴です。

 本書は、日本経済の中国依存の現状に対し、その誤謬を数々の統計数値を元に指摘するという三橋氏が得意とするスタイルで記されています。総ページ数も100ページほど。見開きの2ページでひとつのテ

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ロスジェネの逆襲 (池井戸 潤)

ロスジェネの逆襲 (池井戸 潤)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 池井戸潤氏の作品は「下町ロケット」に続いて2冊目です。

 本書は、昨年(注:当時)大流行した「半沢直樹」の原作。私自身「倍返し」というフレーズが大嫌いなので、一度もテレビドラマは見たことがないのですが、食わず嫌いはマズイと思い読んでみたものです。

 結果は・・・、やはり私には合いませんでした。
 登場人物の善悪・正邪がはっきりし過ぎてい

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日本人へ 危機からの脱出篇 (塩野 七生)

日本人へ 危機からの脱出篇 (塩野 七生)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 この塩野さんの「日本人へ」のシリーズは、1作目の「リーダー篇」、2作目の「国家と歴史篇」ともに以前読んでいます。

 本書は、その3作目。現代社会の「危機」に対する構えについて、例のごとく塩野さん一流の歯切れのいい主張が紹介されています。

 具体的な内容は「文藝春秋」のコラムをベースにしたものなので、その時の世相を反映した小文の集合体とい

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売る力 心をつかむ仕事術 (鈴木 敏文)

売る力 心をつかむ仕事術 (鈴木 敏文)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

お客様の立場で セブン&アイ・ホールディングスの総帥鈴木敏文氏の本は、以前「朝令暮改の発想」を読んだことがありますが、こちらは自らの経営理念を紹介した比較的新しい著作です。

 内容としては、「『お客様のために』ではなく『お客様の立場で』」といったあまりにも有名な鈴木氏の基本的な経営姿勢をはじめとして、長年にわたるトップ経営者としての経験に裏

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フェアトレードのおかしな真実 ― 僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た (コナー・ウッドマン)

フェアトレードのおかしな真実 ― 僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た (コナー・ウッドマン)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 新聞の書評欄で紹介されていたので読んでみました。

 従来のジャンルでは「南北問題」にカテゴライズされる問題意識にもとづく内容を、企業の社会的責任(CSR:corporate social responsibility)や地球環境・貧困等の観点で論じています。
 “フェアトレード”等、昨今流行の認証ラベルの実態も明らかにしつつ、世界各地の人

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わたしが正義について語るなら (やなせ たかし)

わたしが正義について語るなら (やなせ たかし)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 昨年(注:2013年)お亡くなりになったやなせたかし氏の著作です。

 やなせ氏といえば、漫画家としてかなり以前にテレビで何度も拝見していた以外では、小学校の音楽の教科書に載っていた「手のひらを太陽に」の作詞をされていたのかと思うぐらいです。
 もちろん、アニメ「それいけ!アンパンマン」の作者としては有名ですが、実は私、アンパンマンのアニメ

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マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書 (大嶋 祥誉)

マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書 (大嶋 祥誉)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 よくありがちな初心者向けビジネスHow To系のタイトルです。むしろ、その「いかにも」というタイトルに惹かれて読んでみました。

 紹介されている「基本的思考スタイル」や「具体的フレームワーク」等については、過去に読んだ幾多の類似本の域を出ません。ただ、復習も兼ねて、いくつかの著者のアドバイスを書きとめておきます。

 まずは、そもそも「問

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同時代のこと ― ヴェトナム戦争を忘れるな (吉野 源三郎)

同時代のこと ― ヴェトナム戦争を忘れるな (吉野 源三郎)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 毎週行っている図書館の「リサイクル図書」のコーナーを覗いた時、目についたので手に取ってみた本です。

 著者の吉野源三郎氏は、雑誌「世界」の初代編集長で、名著「君たちはどう生きるか」の著者として有名ですね。

 本書のタイトルは「同時代のこと」。巻頭の「序にかえて」の章が圧巻です。
 その章では、同時進行している「現代史の捕捉・評価」に関す

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置かれた場所で咲きなさい (渡辺 和子)

置かれた場所で咲きなさい (渡辺 和子)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 著者渡辺和子氏が学長を勤めた「ノートルダム清心女子大学」は、私の出身地岡山にあるので、卒業生の友人も何人もいます。
 そういった親近感とともに、いくつかの書評でも薦められていたので手にとってみました。

 ストーリーがあるわけではないので、気になったフレーズをいくつか書き留めておきます。

 まずは、著者が紹介している他の方々の言葉から、「

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黒田官兵衛 作られた軍師像 (渡邊 大門)

黒田官兵衛 作られた軍師像 (渡邊 大門)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 「黒田官兵衛」、今度(注:2014年当時)のNHK大河ドラマの主人公ですね。

 戦国時代から江戸初期の武将、豊臣秀吉の側近として仕え、築城や城攻め、巧みな調略でその才覚を発揮したと伝えられている傑物。「黒田官兵衛」といえば、竹中半兵衛と並んで卓抜した異能の“軍師”としての強烈なイメージを抱かせるヒーローのひとりです。

 本書では、官兵衛

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大人のいない国 (鷲田 清一・内田 樹)

大人のいない国 (鷲田 清一・内田 樹)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 鷲田清一さんと内田樹さん、気になる論客お二人が揃い踏みした著作で、現代日本の諸相をご両人流の視点で縦横無尽に切り込んでいきます。

 まずは、本書のタイトルにもなった「大人のいない国」を、お二人はどんなふうにイメージしているのかですが、冒頭、こんなやり取りでスタートしています。

 日本には「大人」がいない、それでも(今は)やっていけている

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日本文明の謎を解く ― 21世紀を考えるヒント (竹村 公太郎)

日本文明の謎を解く ― 21世紀を考えるヒント (竹村 公太郎)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 フェイスブック上で知人が話題にしていたので読んでみました。

 竹村公太郎氏の著作は初めてです。竹村氏は建設官僚OBですが、本書で紹介している主張は「公共投資礼賛」といった役人然としたものではなく、多彩な観点から「公共事業」についての新たな視点を拓いてくれるなかなか興味深い内容でした。

 たとえば、、塩野七生氏の「ローマ人の物語X-すべて

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中継されなかったバグダッド -唯一の日本人女性記者現地ルポ- イラク戦争の真実 (山本 美香)

中継されなかったバグダッド -唯一の日本人女性記者現地ルポ- イラク戦争の真実 (山本 美香)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 会社の近くの図書館の「返却棚」にあった本です。

 著者の山本美香さんは、世界の紛争地を中心に取材活動を行っていたジャーナリストです。

 本書の舞台は今から10年あまり前(当時)のバクダッド、イラク戦争の取材ルポです。
 取材ルポといっても、彼女の本職は「映像ジャーナリスト」なので、文字として記録されている内容は、数多くの対象者に取材をし

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不格好経営 ― チームDeNAの挑戦 (南場 智子)

不格好経営 ― チームDeNAの挑戦 (南場 智子)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 ちょっと前にかなり評判になった本です。

 マッキンゼーを退社してDeNAを立ち上げ一流企業にまで成長させたリアルなストーリーを、創業者である南場智子氏自身が語ります。

 よくある“優等生的ビジネス書”といったトーンでもないですね。ひとりの起業家とそのチームのメンバを主人公に、創業から今に至るまでのエピソードを綴ったエッセイという趣きすら

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