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  • 2024年度 エッセイ

    2年目です。どうぞお手柔らかによろしくお願いします

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    勉強中です。お手柔らかに。。

記事一覧

六月一七日、憂鬱な日

 不意に、心の引き出しの奥に詰め込んでいたはずの辛い記憶が次々と迫ってきて、生きていることが億劫に感じられた。明日も明後日もその次の日も、いつまでも居座り続ける…

もも
1日前
10

【エッセイ】「推し」について

 「推し活」。それは、ここ数年で若者を中心に浸透した言葉で、私にも聞き馴染みがある。 「推し活」の「推し」というのは、「自分自身が強い愛着や情熱を持ち、応援して…

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1か月前
21

【エッセイ】「美味しさ」について

まだ文章教室にも、小説や随筆の公募にも応募していなかった高校生の頃、ブログを書くことに打ち込んでいた。あの頃も現在と同じように、なかなか文章のネタが思い浮かばな…

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1か月前
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【エッセイ】憂鬱に潜む可笑しさ

 自分自身の元々の性質なのか、物心ついた頃から、憂鬱な気分で日常を送ることが多い。だから、自分には、憂鬱に対抗する為の手段をこれまでに沢山模索し、実践してきたと…

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2か月前
5

【エッセイ】一年間を振り返って

一年間を振り返って  看護師として働き始めて、もうすぐ一年が経つ。仕事柄、不規則な生活を送っている。日勤もあれば夜勤もある。病棟全体が忙しくなれば、急遽、勤務日…

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3か月前
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ただの日記です

引き篭もり体質で、過集中型、依存型の人間なので、毎月何か一つは新しいこと、なるべく外部との接点があること、勇気のいることに挑戦している。6月から新しいこと日記を…

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4か月前
7

【エッセイ】夢想執着記録

 先日、十勝毎日新聞社公募の短編小説「第五十七回郷土作家アンソロジー」に応募し、入選することが出来た。私が郷土作家アンソロジーに応募したのは今回が二回目。前回は…

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4か月前
10

【エッセイ】「自分ってアホだな」三題

一,学校中がハムスターを探している中、一人、「浜下くん」を探し回った小学三年生の冬。  朝のホームルーム前に流れた校内アナウンス。私にはこう聞こえたのだ。 「校…

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6か月前
7

【エッセイ】ねじれの位置にある言葉

 最も古い記憶の中の私は、桃色の光の閃きに向かって手を伸ばしている。だが、それには届かない。母が「こら、奪ったらダメだよ。これは他の人のモノだからね」と、私の手…

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7か月前
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【エッセイ?】憂鬱です

 十月二十九日、二十一時四十八分にこの文章を打ち始めた。締め切りまで後三日だけど、明日から仕事であることを考えると、実質今日までには完成させなければ、間に合わな…

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8か月前
10

【エッセイ】弱者が弱者を叩く世界で

小学五年生の頃、一時的に、一部の同級生からのいじめに遭っていた。さらにそれだけではなく、一つ上の学年の者からも被害を受けていた。その中で最も加担してきたのは、一…

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10か月前
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【エッセイ】WBCを見て思い出した、過去のこと

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝を果たし、大会MVPを獲得した大谷翔平選手。手に汗握る熱戦となった決勝は、まるで大谷選手のためにWBCがあっ…

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10か月前
10

【エッセイ】帽子への執着

帽子が好きである。 帽子は凄い。単に雨や日差し、暑さや寒さなどに対応してくれるだけではなく、それ一つで、簡単に「おしゃれ感」を出すことが出来る。 ただ、私にとって…

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11か月前
10

【エッセイ】感情が渦巻くような思春期を過ごして学んだ事

中学時代の同級生にMさんがいる。当時、私は友人が少なかったが、Mさんとは打ち解けて話せることが多かった。 Mさんはクラスの人気者だったので、初めは、消極的な自分とは…

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11か月前
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【エッセイ】今日も本を読んだ

 色々と考えすぎてしまう性格のせいか、物心ついた頃から、憂鬱な気分で日常を送ることが多い。身近な問題は勿論、遠い国で起こった悲劇にも、心が酷く痛み、思考が止まら…

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1年前
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【エッセイ】皮膚科クリニックに行っただけの話

 ある日の朝、皮膚科クリニックに行った。顔のニキビがひどいのである。 といっても、自分ではそんなに気にしていなかったのだが、母親から「いい加減早く行きなさい。ニ…

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1年前
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六月一七日、憂鬱な日

六月一七日、憂鬱な日

 不意に、心の引き出しの奥に詰め込んでいたはずの辛い記憶が次々と迫ってきて、生きていることが億劫に感じられた。明日も明後日もその次の日も、いつまでも居座り続ける憂鬱に惑わされて、それをなんとか誤魔化しながら、ただ流されていくだけの日々が馬鹿馬鹿しく感じた。
 それでも、横柄な憂鬱を抱えながら、これまで私が生きてこられたのは「本」のお陰だった。たとえそれが、一時的な憂鬱の誤魔化しだったとしても、「本

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【エッセイ】「推し」について

【エッセイ】「推し」について

 「推し活」。それは、ここ数年で若者を中心に浸透した言葉で、私にも聞き馴染みがある。
「推し活」の「推し」というのは、「自分自身が強い愛着や情熱を持ち、応援している特定の人」を意味し、「推し活」はその「推し」を応援する活動をいう。
「推し」の対象はアイドルや俳優、お笑い芸人、スポーツ選手など多岐に渡り、「推し活」の仕方についても人それぞれだが、例えば「ライブや握手会に参加する」「インターネット上で

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【エッセイ】「美味しさ」について

【エッセイ】「美味しさ」について

まだ文章教室にも、小説や随筆の公募にも応募していなかった高校生の頃、ブログを書くことに打ち込んでいた。あの頃も現在と同じように、なかなか文章のネタが思い浮かばなくて困っていた。
 そこで、当時お世話になっていた先生に
「先生、ブログの記事書きたいから、テーマ考えて!」
 と、聞いてみたことがある。
 先生からは
「美味しさとは何か、でどうです?」
 と返ってきた。
 自分で聞いたにも関わらず
「え

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【エッセイ】憂鬱に潜む可笑しさ

【エッセイ】憂鬱に潜む可笑しさ

 自分自身の元々の性質なのか、物心ついた頃から、憂鬱な気分で日常を送ることが多い。だから、自分には、憂鬱に対抗する為の手段をこれまでに沢山模索し、実践してきたという自負がある。滅多に読み返すことはないが毎年、必ず「憂鬱時の対処法百選」を考えて、ノートに書き記しているのである。
 最近、「2024年度版、憂鬱時の対処法百選」を考えるために、三、四年前のものを読み返した。「これは確かに効果がありそうだ

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【エッセイ】一年間を振り返って

【エッセイ】一年間を振り返って

一年間を振り返って

 看護師として働き始めて、もうすぐ一年が経つ。仕事柄、不規則な生活を送っている。日勤もあれば夜勤もある。病棟全体が忙しくなれば、急遽、勤務日の変更が行われる。休日が後回しになることもたまにだが、ある。
文章教室「檜葉の会」には、昨年の四月、看護師デビューと同時に入会した。入会時に「良いものを書きたい!」と意気込んでいたのはいいものの、この一年を振り返ると、看護という業務そのも

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ただの日記です

ただの日記です

引き篭もり体質で、過集中型、依存型の人間なので、毎月何か一つは新しいこと、なるべく外部との接点があること、勇気のいることに挑戦している。6月から新しいこと日記を書いてるので、見せられる形に一部変えて載せる。

6月。室蘭の友人を訪ねる。村上春樹の一人称単数を連れてバスに乗り替える。まだ三作品しか読んだことないけど、私に村上春樹はあまり馴染まない。有名だから読んでみるけど、なんか男尊女卑が漂う気がす

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【エッセイ】夢想執着記録

【エッセイ】夢想執着記録

 先日、十勝毎日新聞社公募の短編小説「第五十七回郷土作家アンソロジー」に応募し、入選することが出来た。私が郷土作家アンソロジーに応募したのは今回が二回目。前回は佳作だったので、これが初めての入選であり、今年の四月ごろには、十勝毎日新聞に掲載だという。嬉しい!
 そこで、すっかり調子に乗った私は三作目の応募に向けて、日々思考を深めたり、良い案が浮かんだらその都度メモ帳に書くようにしたりしている。

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【エッセイ】「自分ってアホだな」三題

【エッセイ】「自分ってアホだな」三題

一,学校中がハムスターを探している中、一人、「浜下くん」を探し回った小学三年生の冬。

 朝のホームルーム前に流れた校内アナウンス。私にはこう聞こえたのだ。
「校内の皆さんにお願いがあります。三年二組の浜下が脱走してしまいました。三年二組のみんなで必死に探していますが、まだ見つかっていません。皆さん、力を貸してください。浜下を発見した人は、三年二組の担任までお願いします」
…浜下が脱走? そりゃ

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【エッセイ】ねじれの位置にある言葉

【エッセイ】ねじれの位置にある言葉

 最も古い記憶の中の私は、桃色の光の閃きに向かって手を伸ばしている。だが、それには届かない。母が「こら、奪ったらダメだよ。これは他の人のモノだからね」と、私の手を掴んだからだ。必死に抵抗したが、まだ幼い私の手は、母の大きな手によって簡単に押さえつけられてしまった。私は自分の願望が叶わないことを感じ、声を上げて泣いた。
 母に「自分は奪おうとしたわけではない。ただ、少しだけ触れてみたかったのだ」と言

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【エッセイ?】憂鬱です

【エッセイ?】憂鬱です

 十月二十九日、二十一時四十八分にこの文章を打ち始めた。締め切りまで後三日だけど、明日から仕事であることを考えると、実質今日までには完成させなければ、間に合わない。何とか間に合わせたいと思っている。だけど、パソコンを開いて文字を打ち込む気力はない。手書きで原稿用紙に書き込む気力はもっと無い。ベッドに寝転び、スマートフォンのメモアプリを開いて打ち込むのが精一杯だ。決定的な理由があるわけでもないのに、

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【エッセイ】弱者が弱者を叩く世界で

【エッセイ】弱者が弱者を叩く世界で

小学五年生の頃、一時的に、一部の同級生からのいじめに遭っていた。さらにそれだけではなく、一つ上の学年の者からも被害を受けていた。その中で最も加担してきたのは、一番下っ端の男子だった。今振り返ると、その男子は、誰よりもいじめに積極的に参加することで、勢力ある集団に自分が帰属していることを周りに示していたのだと思う。

弱い立場に置かれ排除される側の人間が、不条理な者に賛同し、誰よりも率先して行動に起

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【エッセイ】WBCを見て思い出した、過去のこと

【エッセイ】WBCを見て思い出した、過去のこと

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝を果たし、大会MVPを獲得した大谷翔平選手。手に汗握る熱戦となった決勝は、まるで大谷選手のためにWBCがあったかのような展開で、普段スポーツ観戦をほとんどしない私でもかなり楽しむことが出来た。
 私の地元は浦河町なのだが、彼は二〇一五年度に浦河町の観光大使を務めていたことがあった。だから、ほんの僅かでも、スーパースターとの接点があることを嬉しく思

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【エッセイ】帽子への執着

【エッセイ】帽子への執着

帽子が好きである。
帽子は凄い。単に雨や日差し、暑さや寒さなどに対応してくれるだけではなく、それ一つで、簡単に「おしゃれ感」を出すことが出来る。
ただ、私にとっては、その「おしゃれ感」がプレッシャーになることがある。
それを身につけているだけで、「自分自身」が世の中に対して、おしゃれであることを宣戦布告しているような気持ちになる。帽子が万能なアイテムなだけで、実際の私は全くそんなことないのに。

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【エッセイ】感情が渦巻くような思春期を過ごして学んだ事

【エッセイ】感情が渦巻くような思春期を過ごして学んだ事

中学時代の同級生にMさんがいる。当時、私は友人が少なかったが、Mさんとは打ち解けて話せることが多かった。
Mさんはクラスの人気者だったので、初めは、消極的な自分とはおそらく気が合わないだろうと思っていたが、話してみると、すぐに彼女の魅力がわかった。Mさんの、自然体で、誰に対しても分け隔てなく接する人柄の良さと、独特なユーモアセンスを好きになった。彼女には、こちらも気を遣わずに話せた。

Mさんの正

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【エッセイ】今日も本を読んだ

【エッセイ】今日も本を読んだ

 色々と考えすぎてしまう性格のせいか、物心ついた頃から、憂鬱な気分で日常を送ることが多い。身近な問題は勿論、遠い国で起こった悲劇にも、心が酷く痛み、思考が止まらなくなる。何もかもが嫌になり、自分の感覚器官を遮断しようとして、引きこもりがちになることもある。

 そんな時、私を救ってくれるのは「本」である。
本という別世界に逃避することで心の平穏を保つことが出来るし、その本が心打たれるものであれば、

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【エッセイ】皮膚科クリニックに行っただけの話

【エッセイ】皮膚科クリニックに行っただけの話

 ある日の朝、皮膚科クリニックに行った。顔のニキビがひどいのである。
といっても、自分ではそんなに気にしていなかったのだが、母親から「いい加減早く行きなさい。ニキビ、本当酷いよ」としつこく促される日々に疲れ、仕方なく受診した。

 昨日が休日だったからか、待合用の椅子は全て埋まっていたし、立って待てるような空間にも、既に人が溢れていたので「これは困ったな。駐車場で待つか」と思った。けれど、受付の不

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