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2024年度 エッセイ

7
2年目です。どうぞお手柔らかによろしくお願いします
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六月一七日、憂鬱な日

六月一七日、憂鬱な日

 不意に、心の引き出しの奥に詰め込んでいたはずの辛い記憶が次々と迫ってきて、生きていることが億劫に感じられた。明日も明後日もその次の日も、いつまでも居座り続ける憂鬱に惑わされて、それをなんとか誤魔化しながら、ただ流されていくだけの日々が馬鹿馬鹿しく感じた。
 それでも、横柄な憂鬱を抱えながら、これまで私が生きてこられたのは「本」のお陰だった。たとえそれが、一時的な憂鬱の誤魔化しだったとしても、「本

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【エッセイ】「推し」について

【エッセイ】「推し」について

 「推し活」。それは、ここ数年で若者を中心に浸透した言葉で、私にも聞き馴染みがある。
「推し活」の「推し」というのは、「自分自身が強い愛着や情熱を持ち、応援している特定の人」を意味し、「推し活」はその「推し」を応援する活動をいう。
「推し」の対象はアイドルや俳優、お笑い芸人、スポーツ選手など多岐に渡り、「推し活」の仕方についても人それぞれだが、例えば「ライブや握手会に参加する」「インターネット上で

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【エッセイ】「美味しさ」について

【エッセイ】「美味しさ」について

まだ文章教室にも、小説や随筆の公募にも応募していなかった高校生の頃、ブログを書くことに打ち込んでいた。あの頃も現在と同じように、なかなか文章のネタが思い浮かばなくて困っていた。
 そこで、当時お世話になっていた先生に
「先生、ブログの記事書きたいから、テーマ考えて!」
 と、聞いてみたことがある。
 先生からは
「美味しさとは何か、でどうです?」
 と返ってきた。
 自分で聞いたにも関わらず
「え

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【エッセイ】夢想執着記録

【エッセイ】夢想執着記録

 先日、十勝毎日新聞社公募の短編小説「第五十七回郷土作家アンソロジー」に応募し、入選することが出来た。私が郷土作家アンソロジーに応募したのは今回が二回目。前回は佳作だったので、これが初めての入選であり、今年の四月ごろには、十勝毎日新聞に掲載だという。嬉しい!
 そこで、すっかり調子に乗った私は三作目の応募に向けて、日々思考を深めたり、良い案が浮かんだらその都度メモ帳に書くようにしたりしている。

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【エッセイ?】憂鬱です

【エッセイ?】憂鬱です

 十月二十九日、二十一時四十八分にこの文章を打ち始めた。締め切りまで後三日だけど、明日から仕事であることを考えると、実質今日までには完成させなければ、間に合わない。何とか間に合わせたいと思っている。だけど、パソコンを開いて文字を打ち込む気力はない。手書きで原稿用紙に書き込む気力はもっと無い。ベッドに寝転び、スマートフォンのメモアプリを開いて打ち込むのが精一杯だ。決定的な理由があるわけでもないのに、

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【エッセイ】一年間を振り返って

【エッセイ】一年間を振り返って

一年間を振り返って

 看護師として働き始めて、もうすぐ一年が経つ。仕事柄、不規則な生活を送っている。日勤もあれば夜勤もある。病棟全体が忙しくなれば、急遽、勤務日の変更が行われる。休日が後回しになることもたまにだが、ある。
文章教室「檜葉の会」には、昨年の四月、看護師デビューと同時に入会した。入会時に「良いものを書きたい!」と意気込んでいたのはいいものの、この一年を振り返ると、看護という業務そのも

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【エッセイ】憂鬱に潜む可笑しさ

【エッセイ】憂鬱に潜む可笑しさ

 自分自身の元々の性質なのか、物心ついた頃から、憂鬱な気分で日常を送ることが多い。だから、自分には、憂鬱に対抗する為の手段をこれまでに沢山模索し、実践してきたという自負がある。滅多に読み返すことはないが毎年、必ず「憂鬱時の対処法百選」を考えて、ノートに書き記しているのである。
 最近、「2024年度版、憂鬱時の対処法百選」を考えるために、三、四年前のものを読み返した。「これは確かに効果がありそうだ

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