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2020年の漫画界を傑作と共に振り返る 第一回(予定)

いろいろな意味で、とんでもなく印象深い一年間となった2020年。

漫画界の話題は鬼滅の刃に全て持っていかれた…、という感じですが、
その影では、たくさんの傑作も続々と生まれました。

特に印象に残っている作品をピックアップしつつ、漫画界全体についても振り返っていけたらと思っています。

■勇者の「その後の日常」を描く傑作2本2020年の夏に単行本1巻が発売された『そのへんのアクタ』『葬送のフリー

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特に印象に残ってる【漫画】:読書メモ2020年5月 事情を知らない無能な新婚旅行

特に印象に残ってる【漫画】:読書メモ2020年5月 事情を知らない無能な新婚旅行

漫画はどれも面白い。
ということで、今月も「特に」印象に残っているものをピックアップしていきます。

傑作。

設定を読めば内容も構成も想像でき、
正直、あまり期待してなかったのですが、
人物の描き方も、展開も見事です。

全国の小学校の図書室に設置すべき作品です!

宝島社の「このマンガがすごい!」に選ばれるだけのことはあります。

でも、私が読んだのはまだ一巻。
この先、どう展開していくのか気

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行き詰まりのビジネスモデルを変えるために:『アニメプロデューサーになろう!』

行き詰まりのビジネスモデルを変えるために:『アニメプロデューサーになろう!』

『けものフレンズ』などで知られるヤオヨロズ株式会社の福原慶匡さんが記した本『アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み 』(星海社新書)は、
1冊で一気に学べる「アニメ製作の教科書」と銘打っているだけあり、
実践的な情報が網羅されている貴重な一冊です。

ただ、前半に熱い言葉が並んでいるわりに、
「現在の問題だらけの構造を、どう変えていくのか」が
ほぼ触れられないまま終わっ

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読書メモ2020年1月~2月:クールジャパンやキャッシュレスや社内起業など

読書メモ2020年1月~2月:クールジャパンやキャッシュレスや社内起業など

今年始めの二ヶ月に読んだ本から、いくつか挙げていきます。

海外ではジャーナリスト出身の投資家がよく見られる
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なぜ日本ではあまり見られないのか、が気になります。
そのあたりの詳しい分析も読みたかったです。

本書に出てきた「にしなかバレー」「五反田バレー」が気になります。このウェブ記事が参考になります。

でも、下記にすごく納得。

CVCは自社の事業との相乗効果を重視するため採算は度外

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「コンテンツが生きている状態」を作ろう:必読の一冊『オタク経済圏創世記』

「コンテンツが生きている状態」を作ろう:必読の一冊『オタク経済圏創世記』

今まさに、こういうことを求めていたんだ!

そんな本にタイミング良く出会えると、本当に嬉しくなります。

ウェブ記事 「ゲーム・アニメ産業が海外展開で必要なものとは」…ブシロード中山氏と文化人類学者三原氏が語る日系コンテンツの未来 がとても示唆に富む内容だったので、ここに登場する
ブシロード執行役員の中山淳雄さんの著書『オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件』

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編集者の「初期衝動」を文学フリマで取り戻そう 〜編集者の「小売」体験〜

編集者の「初期衝動」を文学フリマで取り戻そう 〜編集者の「小売」体験〜

2019年11月24日(日) に初めて出展してみた「文学フリマ」の魅力について、前の記事(「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう)でまとめてみました。

しかし! 

そんな客観的な分析はさておき、ぜひ書いておきたいこと、それは…

僕にとって「文学フリマ」は、編集者の初期衝動を思い出させてくれる機会でもあった、ということです。

■生粋の「本作り大好き」な記憶が蘇る

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「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう

「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう

2019年11月24日(日) に東京流通センターで開催された
「第二十九回 文学フリマ東京」にブース出展して、大学時代に描いた絵本などを冊子にして頒布してみました。

飾り付けからして準備不足は明白で、さっぱり売れませんでしたが、今回の目的は「同人誌即売会に自らブースを出展して、自分が作った冊子を並べてみる」だったので、収穫はあり余るほどでした。

そして、強く思いました。

出版業界の人たちこそ

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本屋は「テーマパーク」になる:出版不況でも児童書だけは伸びてる理由

本屋は「テーマパーク」になる:出版不況でも児童書だけは伸びてる理由

減少が続く出版物売上の中で、2006年と2018年を比べ、唯一プラスの値を示しているのが、児童書ジャンルです。

その要因を考えていく先には、
これから本屋がどうあるべきか
出版物がどうあるべきか
のヒントが詰まっているように感じます。

■唯一、売上が伸びている児童書の市場2006年に約900億円の売上だったのに対し、2018年は約1,010億円です。

出版物の総売上が2018年は約1兆5

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特に面白かった漫画:読書メモ2019年10月~12月

特に面白かった漫画:読書メモ2019年10月~12月

漫画はどれも面白い。

「面白かった漫画」を挙げていくとキリがないので、「特に面白かった漫画」に絞って記していきます。

随時追加予定です。

前作『大家さんと僕』も傑作だったけど、
それを大きく上回る大傑作。

ここがよかった、あそこがよかった、と一晩中語らいたくなるほど。

矢部さんの次回作が楽しみです。

もう漫画は描かない、的なことを言ったりしてますが、それはありえないと思う。
これだけの

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読書メモ:2019年11月

読書メモ:2019年11月

今月も、読んだ本から、いくつか記していきます。

巻末の著者と深津貴之さんの対談が一番面白かった。

ここをもっと膨らませて一冊にしてほしかったです。

「ビズケット」を主催してみたり、「文学フリマ」に出展してみたり、
リトルプリントの可能性に興味があるので、ぴったりの内容でした。

さっそく、ここに掲載されていた「EditNetプリンテック」で冊子を作ってみました。サポートもしっかりしてるし、オ

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読書メモ:2019年10月

読書メモ:2019年10月

今月も、読んだ本から、いくつか記していきます。

「うわ! この本、めちゃくちゃ面白い!」
はじめの数十ページで完全につかまれましれた。

そして、ワクワクしながら一気に読み進めました。

・・・あんまり面白くなかった。。。

駄作、とまでは言いません。書いてあることは、ごくごく平凡です。

ただ、さすが広告マン? 導入の惹きつけ方は本当に見事なのです。
だからこそ、高低差で、読み終えた後は、すご

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悔しいけど、編集者から見て、「編集も完璧」な本

悔しいけど、編集者から見て、「編集も完璧」な本

編集者、という仕事柄、
物語の作り方、みたいなテーマの本に対しては
どうしても見る目が厳しくなってしまいます。

仮にも、プロの漫画家さんや作家さんに、
「ここをこうしたほうが、もっと物語が動き出すと思います」とか「ここは思い切って、丸ごと削ってしまったほうがいいんじゃないでしょうか」とか、意見するようなことを日々やっているわけです。

物語の構成や創作術みたいなものは、それ相応には、学んできてい

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個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』を初開催しました

個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』を初開催しました

個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』を2019年9月28日(土)、浅草の台東館で初開催しました。

誤解を恐れず、すごーくわかりやすく説明すると、
漫画の同人誌即売会「コミケ」のビジネス書版、です。

仕事や生活で培ったノウハウやスキルを、各自がうすい冊子にして、それぞれのブースで、値段を付けて、販売しました。

いわば、「ビジネスマンの文化祭」です。

僕も「水の(ような)書店」として

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読書メモ:2019年9月

読書メモ:2019年9月

9月に読んだ本から、いくつか紹介していきます。

>>> 良かった本、面白かった本はこちらをご覧ください。

とても丁寧に、余すところ無く記そうとしている姿勢が好感の持てる一冊。何度も読み返すことになりそう。

前から気になっていた本、ようやく読めました。

正直なところ、あまり新しい発見はなかったです。

「だよね。そういうことを僕はやってきたんだよね」という確認ができた、という点では得るものも

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