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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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#読書

【読書】人生は痛いものだとしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこく

【読書】人生は痛いものだとしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこく

しつこくしつこくしつこくしつこく語りかける、花村萬月の「ハイドロサルファイト・コンク」を読んだぞ!
「なんでこの作品への賛否で世間は荒れ狂っていないんだ!」と思いながら読んだ。

血液のがんになった作者の体験をもとにした、フィクションと一応銘打った、ノンフィクションに見える小説。
もともとの血液に放射線をあびせて殺し、ほかの人の血液を輸血して入れ替える治療で、血液型が変わり、顔かたちが変わり、爪が

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【読書】台北プライベートアイ2(ネタバレなし)

【読書】台北プライベートアイ2(ネタバレなし)

前作は風呂で読んだから紙がしけちゃったけど、今回は夏なので湯船の影響を受けない。
かわりにマウントレーニアのコーヒーをトートバッグに入れて、フタしてるから大丈夫だろう、って忘れててしっかりシミになっていた。

なんで毎回半月で好きな本をボロボロにできるんだ!

台湾のミステリー「DV8 台北プライベートアイ2」
読みづらい。進まない。わき道にそれる。
登場人物がやたらと多く、主人公は本筋と関係ある

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【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

R・A・ハインライン「ルナ・ゲートの彼方」を読みました。

見た目で本を選んでいるので、この、あえて派手じゃない、といって古臭くもない、表紙が気に入った。

でも、amazonにはまた違ったテイストのカバーしか載ってない。美しいけど、本格派の難解なSFと似たタッチ。

新しいほうは「トライガン」の内藤泰弘によるもの。
小中学生から楽しめる「ジュブナイルSF」のシリーズなので、あえて少し昔の少年マン

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【読書記録】ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」

【読書記録】ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」

文学を学んでいないから、ちゃんとした文章の書き方も、おさえておくべき古典も知らない。

ブックオフでそれっぽいオーラを出してたら「さては古典やな」というのが僕の文学に対する姿勢です。
だから英文学で重要な、ヴァージニア・ウルフという方も全く存じ上げず…。
すごく良かった。
今思えば、ドストエフスキーを読んでたときは無理してた。通好みとされてる音楽や味付けを、わかったフリじゃなくて、
「あ!これ好き

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【本好き日記】ヤーレンズ出井の禁煙、海外小説ツアーを経まして、四国のあやしい古本屋へ

【本好き日記】ヤーレンズ出井の禁煙、海外小説ツアーを経まして、四国のあやしい古本屋へ

年に一度の本棚整理の準備をしています。
8月は僕だけじゃないだろうけど異常なだるさ。
温度差と無気力が原因なのはわかってるのに、何これ軽めの熱中症?症状の出ないコロナ?と疑うぐらいだった。

読み切れなかった本も、難しいけどなんか好きな本も、自分ごときが感想書けない本もいっぱい出てくる。

台風の時に家にこもって、秘密基地みたいにして分厚い文芸誌を読むのよくね? って思ってできるだけお菓子を買い込

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北海道の刺身

北海道の刺身

河﨑秋子はちゃんと北海道では誰もが知る超有名作家になってるんですか?短編集「土に贖う」のうちの一遍でもいいから、学校でちゃんと読ませてるんですか?
 
トロの刺身を食べただけでマグロ全体が生きていたことを想像できるように、数ページの短編ひとつで北海道の大地と寒さが頭に注入される。
この本は北海道の刺身。北海道の切り身。北海道のえんがわ。

地方小説としてすごくかっこいい。このテキストは四国で書いて

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【読書】団鬼六「大穴」

【読書】団鬼六「大穴」

昭和30年代、大阪。
勝負事に強くてリア充の恭太郎と、彼の言うままに金をもらって授業の代返をする耕平。
対照的な大学生コンビの、湿度高めのねっとりした昭和大阪キャンパスライフ。

話は大学生ふたりが小豆相場に大金を出す場面から始まる。
僕はあずき相場とたぬき蕎麦の違いもわからないけど、
「台風が来ると穀物がとれなくなって相場が上がるから、買い占めておけば儲かる」みたいなこと。
今だと、新NISAで

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【読書】「木挽町のあだ討ち」怒涛の伏線殺法!

【読書】「木挽町のあだ討ち」怒涛の伏線殺法!

女物の衣装をまとった武士、菊之助が父のかたきと称して大柄な博徒、作兵衛を斬った。

かたき討ちの現場にいた5人の目撃者が、それぞれの出自と菊之助について語る。

爽快な時代小説かと思ったらこんな挑戦的な作品か!

全編がインタビューみたいな読者への語り掛け形式で、話が前に進まず、回想で過去が明らかになっていくから、軽快ではない。

ゆったりゆったりスロースタートで、3人目でアクセルがかかってきて、

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【読書記録】北の大地の怒りを感じた「肉弾」

【読書記録】北の大地の怒りを感じた「肉弾」

河﨑秋子「肉弾」を読みました。
この小説に贈られた言葉「熊文学の新たなる傑作」が気になりすぎて。なんせ「熊嵐」が好きですから。クマのプーさんも。

狩猟と小説は相性がいい。
自然の描写から、どこに敵が潜んでいるかわからないホラー的な怖さ、最期には自然との共存といったテーマ性も感じる。どこをとっても読みごたえがある。
熊の習性として、獲物を一度で殺して終わりじゃなくて、しばらくとっておくところもいい

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【読書】内田裕也✕モブ・ノリオ JOHNNY TOO BAD

【読書】内田裕也✕モブ・ノリオ JOHNNY TOO BAD

硬派でいく。ウジャジャけた人間は登場しない。

変なかたちの本を読んだ。
内田裕也の対談集「ロックントーク」と、モブ・ノリオの小説「ゲットー・ミュージック」
二冊をくっつけてグラフィティや顔写真で飾って、上からでかいカバーでくっつけた「JOHNNY TOO BAD」。

内田裕也がそもそもよく分からない。政見放送がネタにされていたのと晩年の樹木希林さんとの謎の夫婦関係でしか知らない。

その人を語

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海外のさんざんな体験談、なんぼあってもいいですからね

海外のさんざんな体験談、なんぼあってもいいですからね

本を買っても最後まで読みきれない状態だったけど「地図と拳」「バッタを倒すぜアフリカへ」の分厚い2冊が一気に面白く読めた。
ちゃんと面白いものを集中できる場所に持ってけば読めるんだ。嬉しい。ゲームへの興味は以前より薄いままだけど。

ところで、最近面白かった動画は、元芸人のレンタルぶさいくという方が、フィリピンに就職してめちゃくちゃな目に遭う話。

「バッタを倒すぜアフリカへ」の中にも、作者がモーリ

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【読書】タイトルの由来が驚きの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

【読書】タイトルの由来が驚きの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

聞いたことはあるけど内容は知らない話を読むシリーズ。(以前には蠅の王やフランケンシュタインなど読みました)

なんとなく、「郵便配達員が旦那のいない時間に来て奥さんと不倫する話」かと思っていた。
なぜ不倫に関する話なのかは知っていたのか謎でそれは当たってたんだけど、郵便配達員ではなかった。

ストーリー序盤の男女がくっつくまでが、島耕作ぐらいのテンポ感ですすむ。
犯罪歴があってろくでなしの男と、な

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西村亨「自分以外全員他人」で人生からドロップアウトしたくなった思春期に戻る

西村亨「自分以外全員他人」で人生からドロップアウトしたくなった思春期に戻る

たぶんですけど、みんな意味もなく人生からドロップアウトしたいと思った日々があったはず。あっても口にしないだけ。何度も人生が無意味だと思った日があるはず。
年齢を重ねて「しんどいこともあるけど、見たいところも好きな人もいるしボチボチ生きていこう」とか思いながら生きているうちに、若いころの憂鬱なんてなくなって長生きを望むようになるもんだと思う。

「自分以外全員他人」は、若いころからうっすら死にたい気

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【読書記録】丸山ゴンザレス「タバコの煙、旅の記憶」

【読書記録】丸山ゴンザレス「タバコの煙、旅の記憶」

丸山ゴンザレス「タバコの煙、旅の記憶」を買った。
かなり高い国のタバコ一箱ぐらいの値段。

海外の危険地帯ジャーナリストの著者が、タバコに関連した場面について語る。
対応を間違えたら殺される相手とのやりとりの中で、ふっ、とタバコを一本吸って出た言葉。
初めて見る、吸い方のわからないタバコに苦戦していたら通りがかりの男が吸い方を教えてくれて、そのまま持っていかれた話。

ニューヨークやパリの地下都市

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