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#推薦図書

週末読書メモ83. 『読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術』

週末読書メモ83. 『読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

何かを書きたい人、書かずにはいられない人へ。書くことへの向き合い方が変わるような1冊。

「読み手目線で書こう」「分かりやすく書こう」、そんな巷ある文章術の本とは一線を画す内容。けれど、書く人にとって、とても大切なことがこの本の中にありました。

筆者は、電通で24年間勤めたのち、現在は「青年失業家」と自称しフリーランスとして執筆活動をされている田

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週末読書メモ78. 『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』

週末読書メモ78. 『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

1千年もの年月を生き抜いた大国が紡ぎ出す一大叙事詩。

ヴェネツィア。日本人からすると、イタリアの一観光地としての印象が大きい場所ですが、歴史上では「地中海の女王」と呼ばれるほどの繁栄したことがありました。

そして特筆すべきことは、冒頭にあるように、国家が生き抜いた年数。

5世紀から18世紀までの1千年以上。日本史だと、古墳時代から江戸の徳川吉

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第8回 大塚英志がよみがえらせた江藤淳の現在性|三宅香帆

第8回 大塚英志がよみがえらせた江藤淳の現在性|三宅香帆

批評家が「人」について語る?本書は、批評家・大塚英志が、文芸批評家・江藤淳と、江藤淳と同じ系譜に連なる日本の文芸作品について評論した一冊となっている。

論じられた江藤淳とは、戦後活躍した文芸批評家である。一方、論じた大塚英志は彼より30歳ほど年下のサブカルチャー批評家。政治から漫画、文芸批評に至るまで、さまざまな分野の批評をおこなっている。

そんな大塚英志が、江藤淳のことを批評した本。――なん

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「本屋、はじめました」 辻山良雄

「本屋、はじめました」 辻山良雄

「この人は何かしらそれに捧げている」ということが暗黙裡にも見ている人に伝わらないと、見ている人のこころは動かせないし、ましてや足を運ばせることはないと思います。」

「本屋、はじめました」 辻山良雄

「本屋Title」のことは、本や雑誌で紹介されていたので知っていましたが、この本の著者・辻山良雄さんが「本屋Title」を開業するまで、書店の「リブロ」に勤めていたことを僕は知りませんでした。

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新聞書評の研究2019-2021(総論)

新聞書評の研究2019-2021(総論)

新聞書評は「知のターミナル」3年で9300タイトル、編著者7700

出版社や著者にとって、出版物が新聞の書評に掲載されるのは特別なことです。雑誌などの他の媒体の書評とも、amazonのレビューともまったく違います。

新聞部数の減少にも関わらず、なお書評の世界の頂点に君臨しているというのが、筆者の実感です。その理由は後述しますが、新聞書評は今でも、知の世界に大きな影響力を持っています。紹介されれ

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社会人芸大生が勉強の合間に買って読んだアート関連書籍・2022.7~9月編

社会人芸大生が勉強の合間に買って読んだアート関連書籍・2022.7~9月編

皆さま、本、読んでますか?

ついに3年目をむかえたこのシリーズ。2022年は四半期ごとに更新中です。

相変わらず活字にまみれているわたしが、勉強と趣味もかねて手に取ったアート関連本(それ以外もいろいろ)を紹介&勝手におすすめします。
なんか面白そう!と思えるような本と出会うきっかけになったら嬉しいです。

ちなみに2021年編はこちら。

2020年編はこちらです。今から読んでも面白い本ばかり

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第2回 中島梓の説く「誰に批判されても構わない文章」|三宅香帆

第2回 中島梓の説く「誰に批判されても構わない文章」|三宅香帆

書いても、反応は返ってこない書くことは難しい。

自分のなにかを言葉にして、発信し、そして相手に読んでもらう。そのうえで相手がそれを面白いと思ってくれる。こんなに難しいことはない。なぜなら読者は目の前にいないからだ。

喋ることなら、まだ、目の前に相手がいてくれることが多い。相手がいれば、どんな喋り方を面白いと感じてそうか、どんなことを聞きたがってそうか、なんとなくわかる。そして軌道修正ができる。

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本をもらう、本をあげる|工藤郁子さんが選ぶ「絶版本」

本をもらう、本をあげる|工藤郁子さんが選ぶ「絶版本」

 私淑する先生は、いつもにこにこしながら峻しいことを言う。「​​自分の研究の独創性を過大評価せずに、自分は平凡な論文を書くよりも重要な本の翻訳をした方がよいのではないかと真剣に自問すべきです」。
 私は純朴なので、ちゃんとたまに自問している。大抵は「渡世の義理」と弁明する。または、重要な本の広め方にも色々あって、研究であれば、先達を倒そうとする後進の批判という形もとれるはずだと答える。しかし、芯を

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2022年終了が惜しい LIXIL出版の書籍たち

2022年終了が惜しい LIXIL出版の書籍たち

本が売れなくなった。そう言われて久しいですね。
でも、紙の本が好きで、本屋さんパトロールが好きで、積ん読も肯定派なわたし個人の感覚では、この10年くらいでしょうか、ますますニッチでピンポイントだったり、所有することが嬉しくなるような装幀だったり、見た目も中身も唯一無二な本に出会うことが増えてきたなぁと思っています。

そんな訳で今回は、まだ出会ってないだけで、絶対に好きな方がきっといらっしゃるはず

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須賀敦子さんの訳が素晴らしいタブッキ2冊 ~ほか翻訳が素敵な海外文学を

須賀敦子さんの訳が素晴らしいタブッキ2冊 ~ほか翻訳が素敵な海外文学を

 アントニオ・タブッキの著書を2冊読んでいて、須賀敦子さんの翻訳にほれぼれしました。

『供述によるとペレイラは……』『島とクジラと女をめぐる断片』の2冊です。

 かなり個性の異なる2冊ですが、どちらも翻訳の日本語が素敵(私の好み)で、するする読めてしまいます。
 あらためて「須賀敦子さん、すごい!」と思いました。

 海外文学を読むときは翻訳との相性もあるので、こういう出合いはとてもうれしいで

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第62回 『クララとお日さま』 カズオ・イシグロ著

第62回 『クララとお日さま』 カズオ・イシグロ著

 こんばんは、JUNBUN太郎です!

 今夜も「読書はコスパ最高のコスプレです」のお時間がやってきました。本は自分以外の人間になりきる最も安あがりな道具。この番組では、リスナーのみなさんから寄せられる、読書体験ならぬコスプレ体験を、毎週ひとつご紹介していきます。
 ではさっそくリスナーからのお便りをご紹介しましょう。
 ラジオネーム、ババガールさん。

 JUNBUN太郎さん、こんばんはー。
 

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