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#ミステリー小説が好き

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人気の記事一覧

短編小説 | 拳銃🔫

 小さな頃に、今は亡き父から一挺の拳銃を譲り受けた。 「依緒、よくお聞き。この拳銃には2発の弾がこめられている。いざという時に使うがいい」  そう言い残して父は亡くなった。父が亡くなったことよりも、死に際に差し出された拳銃を見て驚いて、私たち母娘は顔を見合わせた。 「ねぇ、お母さん、お父さんが言ったこと、ホント?」 「さぁ、どうかしらね。でも確かにオモチャのようには見えないわね」 「これ、どうする?しまっておく?」 「そうね、本物だとしたら、そこら辺に捨てるわけには

かげみぼう(第1話)

■あらすじ大学時代の後輩、砂川楓に招かれて栃木県日光市にやってきた水瀬。彼女は「白い街路」と呼ばれる土地に何やら恐怖感をもっているようだが、相談にのっていると、行く先行く先で水瀬は「広小路」という人物に間違われ、広小路を追うも捕まえられず、泊まった旅館で出会った一ノ瀬という男から、それは「かげみぼう」と呼ばれる怪異だと教えられる。 かげみぼうの謎は残る中、水瀬は「白い街路」の調査に乗り出す。その最中、夜間に砂川が白い街路に向かうことを不審に思い、後をつけると、二十五年前に姿を

白い街路(かげみぼう第2話)

■前回の話はこちら■本編 砂川とは彼女の郷里で落ち合うことになった。  日光駅前からバスに乗ること約二十分。いろは坂という長く、とぐろを巻いた蛇のような山道を眺めて、大谷川沿いにかすめて行ったところに、最寄りのバス停はあった。  バスに乗っている間から不安だったのだが、辿り着いてみるとその不安は一層強くなった。バスは街中を横断するように走っていたのだが、車窓から見える民家や商店がみな雨戸やシャッターで閉ざされており、日中のことなのに人っ子一人歩いていない。観光地からほんの少し

歴史改変小説を読む ifの世界線

 数日前にフィリップ・ロスの『プロット・アゲンスト・アメリカ』を読み終わりました。  出版社の解説にあるように、1940年のアメリカ大統領選挙でルーズベルトではなく、リンドバーグが大統領に選ばれていたら、というifの世界を書く小説なんですね。  ifの世界=架空の世界線を書く小説を「歴史改変SF」と呼ぶようです。SFとはいうものの、他ジャンルの作家の小説も多いのが特徴です。フィリップ・ロスも、現代米文学界を代表する作家の一人でした。  私は、ディストピア小説=自由がなく

【オススメ】没入する推理/ミステリー小説を書いてみた『失われた旋律』

完成しました! ぜひ、犯人を推理してみて謎を解明してみてください🔍 【タイトル】 『失われた旋律』 【主な登場人物】 🔍秋山 一樹(あきやま かずき) 年齢: 35歳 職業: 警察官(刑事) 性格: 冷静で論理的、几帳面だが、過去のトラウマを抱えており、夜は悪夢に悩まされることがある。事件に対して非常に執念深く、真実を追求する姿勢を崩さない。 背景: 10年前に妹を失うという悲劇を経験して以来、犯罪被害者のために全力を尽くすことを誓う。 🔍佐々木 奈央(ささき なお

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バカ売れしている間取り図ミステリーを読んでみた【#読書感想文】

私は読書好きだが、あまのじゃくなので、ベストセラー作品とか、○○賞受賞なんて作品は、あまり手に取らない。 だが今回、縁あって、2023年一番読まれた小説、 雨穴・著『変な家』を読んでみた。 YouTubeの動画がきっかけで、書籍、マンガ化、映画化と、売れに売れている作品だ。 知人が購入を検討している一軒家には、不可解な点が多すぎる。 二重扉、窓のない子ども部屋…。 相談を受けたオカルト専門のフリーライターと設計士が、間取り図から読み解く不動産ミステリーである。 読む前

【犯人は誰だ】没入する推理/ミステリー小説を書いてみた『真実の追求者』

完成しました! ぜひ、犯人を推理してみて謎を解明してみてください🔍 【タイトル】 『真実の追求者』 【登場人物】 🔍佐藤 拓也(さとう たくや) 職業: 私立探偵 性格: 冷静沈着、洞察力が鋭く、常に理論的 背景: 元刑事で、過去の事件で仲間を失ったことがトラウマになっている。そのため、感情を押し殺して仕事に没頭している。 🔍田中 玲奈(たなか れいな) 職業: ジャーナリスト 性格: 勇敢で情熱的、真実を追求することに執着している 背景: 社会の闇を暴くために危険

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【オススメ】推理/ミステリー小説(謎物語)

\オリジナル推理/ミステリー小説/ 完成しました! ぜひ、この謎を推理してみてください🔍 【タイトル】 『影の交錯〜サツ人事件の謎〜』 【登場人物】 🔍主人公:浅倉 理沙(あさくら りさ) ・年齢:35歳 ・職業:刑事 ・性格:冷静沈着で頭脳明晰。直感に優れ、洞察力が鋭いが、過去にトラウマを抱えており、他人と心を開いて接するのが苦手。 ・関係:10年前の事件で相棒を亡くし、その事件の解決を誓っている。 🔍相棒:中村 健太(なかむら けんた) ・年齢:28歳 ・職

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【短編】面白い推理/ミステリー小説(謎物語)

【タイトル】 『街角の影』 【登場人物】 🔍主人公: サラ・ハーパー - 若手の女性探偵。知識豊富で勘が鋭く、街の闇を見抜く力を持つ。 🔍サラの親友 ジェイク・ウィルソン - サラの幼馴染であり、彼女の相棒的存在。元警察官で、サラの調査に協力する。 🔍被害者 エミリー・マーシャル - 若手の有望な建築家。ある日突然行方不明となり、事件の中心となる。 🔍容疑者:??? 推理してみてください。 🔍その他の関係者: エミリーの恋人、建築関係者、街の住人など。 プロロ

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キラーアイドル (完全版)

本作品のすべてまたは一部を無断で複製、転載、配信、送信したり、ホームページ上に転載することを固く禁止します。 また、本作の内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。 本作品購入時にご承諾いただいた規約により、有償・無償にかかわらず本作品を第三者に譲渡することはできません。 本作品を示すサムネイルなどのイメージ画像は、再ダウンロード時に予告なく変更される場合があります。 著作権と使用 本作に含まれる画像の著作権は著者に帰属します。無断での複製、再配布、商業利用などは禁

2024年4月の読書記録&感想文(ネタバレあり)

3月にたくさん読みすぎて少し読むスピード減速 しかし月末はGW突入で読む時間があり滑り込みで冊数稼げました。 ①紅蓮館の殺人 阿津川 辰海 タイトルから気になって購入した作品 かなりページ数があり,分厚かったので,購入してから読み始めるまで時間がかかりましたが,いざ読み始めると結構面白くあっという間に読んでしまった作品でした。 主人公と友人の葛城が山火事にあい,館に避難するところから始まるのですが,迫り来る火の手と館で起こる殺人事件。 現名探偵葛城VS主人公の憧れの人

2024年6月読書記録&感想文(ネタバレあり)

6月分です!5月に結構読んだので、そのせいか6月はあまり読めなかったです。 相変わらず微ネタバレ感想どぞ ①密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック 鴨崎 暖 密室殺人に無罪判決で出たことで、多くの密室殺人が起きているという架空の日本でのお話し 主人公たちはとある館で様々な密室殺人現場と出くわす クローズドサークルものは私の大好物でもあるのですが、クローズドサークルと密室というのは相性抜群。 こちらの館で起きる事件は全て密室殺人になります。 密室というと内側から鍵

【気になる】推理/ミステリー小説を書いてみた話-消えた絆-

完成しました! ぜひ、この謎を推理してみてください🔍 【タイトル】 『消えた絆』 【登場人物】 🔍主人公:綾乃(あやの) 性格:冷静沈着で知性溢れる女性探偵。過去のトラウマから人間関係を避ける傾向があるが、正義感が強く、不正を許さない。 関係:幼馴染であり警察官の亮(りょう)とは協力関係にあるが、過去の事件で距離を置いている。 🔍警察官:亮(りょう) ・性格:熱血漢で正義感が強い。綾乃に対して未練があり、彼女を守りたいと思っている。 ・関係:幼馴染の綾乃とは微妙な

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【作品情報まとめ】浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』

【2024年11月22日(金)映画公開予定】 怒濤の伏線回収に驚嘆&共感が止まらない! 浅倉秋成さんによる大ヒットミステリー小説『六人の嘘つきな大学生』の関連情報をご紹介します。 ■ あらすじ成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、

【合本版で夏のイッキ読み!】電子書籍で楽しむ、名作ミステリー・シリーズ5選

こんにちは! 電子書籍も紙の書籍も積読が魔窟のようになっているつくだ@書籍編集×ライターです。 皆さん、書店さんで現在開催中の「夏の文庫フェア」は行かれましたか? では、オンライン書店でのセールはチェックされましたか? リアル書店が「文庫フェア」で盛り上がっているように、オンライン書店では、電子書籍がお得に買えるフェアで盛り上がっています。 そこで今回はKindle本(電子書籍)の合本版のセールについて、ご紹介しようと思います。 合本版とは、シリーズものの本を1冊にまと

【気になる】面白い推理/ミステリー小説を書いてみた-消えた刻印-

完成しました! ぜひ、この謎を推理してみてください🔍 【タイトル】 『消えた刻印』 【登場人物】 🔍北村誠一郎 40代後半の敏腕刑事。鋭い洞察力と冷静な判断力を持ち、どんな難事件も解決してきた。少し頑固なところもあるが、同僚からの信頼は厚い。独身で、仕事一筋。 🔍相馬雅也 30代前半の若手刑事。北村の部下であり、熱血漢。北村を尊敬しており、彼の教えを忠実に守るが、時には突っ走りすぎることも。既婚で一人娘がいる。 🔍高橋真奈美 40代前半の考古学者。エレガントで知的

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【短編小説】 「スマホを見ないと死んじゃう病」 突撃Boys(4日目)

9カ月振りの再開です。m(__)m 【短編小説】 「スマホを見ないと死んじゃう病」 長谷部恵子(2日目)かぷぷ (note.com) 【短編小説】 「スマホを見ないと死んじゃう病」 笹塚康太 (3日目)|かぷぷ (note.com)  10月6日  午後8時  事件発生から84時間が経過した。完治まであと84時間。  そして、「突撃Boys」のチキンレースが始まった。  まずは時間を遡ろう。  10月3日、「スマホを見ないと死んじゃう病」事件当日、慶太、コムコム、卓

【読書感想文】 逆転美人 | 驚嘆の声を漏らさずにはいられなかった!

こんばんは。haruです。 最近本を読むのにハマっておりまして、今回は初めての試みになりますが読書感想文を書いてみようと思います。 完全ネタバレなし、、ですが少しだけ匂わせたい!(笑) うーん、でも匂わせたら絶対に面白くないしなあ…とひとりで葛藤しているところでございます。 「書けばなるようになるか」とまあ行き当たりばったりですが、とにかく衝撃を受けている今のうちに皆様にご紹介しておこうと思います。 今までに無かった。ミステリー革命 今回ご紹介する「逆転美人」という

【犯人は誰だ】面白い推理/ミステリー小説を書いてみた『ロンドンの謎めく邸宅』

完成しました! ぜひ、犯人を推理してみて謎を解明してみてください🔍 【タイトル】 『ロンドンの謎めく邸宅』 【登場人物】 🔍桜木 花子 若手の探偵で、洞察力に優れているが、感情的な一面も持つ。 🔍佐々木 健太 - 花子の親友であり、元刑事。冷静沈着で分析力が高い。 🔍橘 茉里 謎めいた美女で、ロンドンの社交界で活動している。事件の鍵を握る存在。 🔍犯人:??? 推理してみてください。 プロローグ〜謎めいた招待〜 『みなさん、お楽しみいただけていますか?今

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【気になる】推理/ミステリー小説を作ってみた(探偵/警察/犯人/刑事)

完成しました! ぜひ、この謎を推理してみてください🔍 【タイトル】 『終わりなき夜』 【登場人物】 🔍松田 涼介(まつだ りょうすけ) 職業:刑事 性格:冷静沈着で、鋭い観察力を持つ。感情を表に出さないタイプだが、正義感が強く、困っている人を見捨てられない。 背景:過去に家族を事件で失い、それがきっかけで刑事になった。彼の過去には未解決の謎が多く、時折そのトラウマに悩まされる。 🔍藤田 真琴(ふじた まこと) 職業:ジャーナリスト 性格:大胆不敵で、真実を追求する情

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伏線が縦横無尽に飛び回る結城真一郎の最新作『難問の多い料理店』より、第一話を特別先行公開!!

第一話をお読みいただく前に2022年夏、『#真相をお話しします』の大ヒットで一躍話題となったミステリ作家、結城真一郎。現代的でキャッチ―な設定と、衝撃的な展開、リーダビリティを重視した文章で一躍話題を博した『#真相をお話しします』は、2023年の本屋大賞にもノミネートされました。 そんな結城さんの2年ぶりとなる超待望の新作『難問の多い料理店』が、来たる6月26日(水)に刊行となります。 舞台は、東京・六本木の、ある怪しげなレストラン。そこに集うのは、料理配達サービス「ビー

ミスティー・ナイツ(第24話 美しき島フォルモッサ)

 南洋の青い空を飛ぶスカイ・カーの眼前に、小さな島が見えてきた。フォルモッサである。ここは日本の領海内だが気候的には熱帯で、美山が偽名で合法的に購入したのだ。  もっとも地球温暖化ならぬ地球熱中化の影響で日本の熱帯化がじわりじわりとだが確実に、ホラー映画に登場するゴーストよろしく現実化してるので、やがては全国的にハワイみたいな気候になるかもしれなかった。  やがて島は徐々に大きく見えてくる。真っ青な大洋に浮かぶ、緑の宝石のようだった。美山の脳裏に、その島の情景が浮かぶ。どこま

【この家・・・何かおかしい。】雨穴作  変な家【小説紹介 感想】

いつもご覧いただきありがとうございます。 きゅうりです。 皆さんは、「変な家」をご存じですか? 2024年現在、映画化されて話題になっている作品です。 私はまだ、映画を視聴していませんが(笑)。 概要 「変な家」は、ウェブライターの「雨穴」さんがウェブメディア「オモコロ」に投稿された作品です。その後、YouTube、書籍、漫画、映画など様々なメディアで展開されています。 これから述べるのは、小説版です。 本作は、第一章~第四章で構成されています。 物語は、「とある一軒家

介護は孤独だと感じているあなたに【#ミステリー小説が好き】

「昔と雰囲気、変わったね~」 久々に再会したかつての同僚に、こう言われた。 彼女と知り合った頃、私は母がもう治らない病気だと知った。彼女が県外に嫁ぐことになって職場を去った時には、私は介護や病院通いに明け暮れていた。 その後、メールや年賀状のやりとりが細々続き、母が亡くなったことを知ると、「遅れてごめんね」と丁寧に書き添えた香典を送ってくれた。 ありがたい友である。 コロナ禍がようやくおさまり、数年ぶりに会った友は、 「昔は、ちょっとピリピリというか、張りつめたカンジが

忘却のカタルシス (完全版)

表紙デザイン:秋山龍一 ① わたしはふと、昔のことを思い返していた。記憶の奥底に眠る断片が、静かに蘇ってくる。 それは、まだ私が小さかった頃のことだ。蒸し暑い梅雨が明けた頃、蝉が鳴き始めた。蝉の声はまるで耳を劈くかのように煩く、空気中に重くのしかかっていた。 世間一般では、日韓ワールドカップに湧いて賑わいを見せていた時期でもあった。 そのためであろうか。街では居酒屋など軒並み、店内にてテレビを設置してあり、見知らぬ人同士で盛り上がりを見せていた。 人間何か同じ目標

文学の森殺人事件 第一話

 私が西園寺一と出会ったのは、数年前に「西園寺探偵事務所」の求人広告を手に取り、能力を認められ、採用されたからだ。しばらくして彼の右腕として一緒に行動を共にして、その度に彼に尊敬の念を抱いた。とはいえ、アメリカ人の私に一から(来日した当時はほとんど日本語を喋れなかった)日本語をレクチャーし、日本の魅力に改めて気付かせてくれた彼には感謝の言葉しかない。  私が事件に遭遇する前に趣味である読書が思わぬ形で、殺人に発展していくとは想像だにしなかった。  はじまりは何気ない談話からだ

欲望のキャパシティ

新連載です。読んでみてください。感想などコメントしていただけると執筆の励みになります。😊

言葉の宝箱1304【ひとつの問題を右から左から、上から下から、いろんな角度で見てみる。今まで常識に縛られて見えなかったことが、見えるようになる】

・驕るべからず。慢心はどんな弱気よりも人間を堕落させるんやで P18 ・手放しの信頼ほど、裏切られた時の衝撃も大きいものだ P43 ・戦に出た時はな。自分はひとりやと思わないといけない。 たったひとり、自分自身の足で立って、頭で考えて、敵と戦うのや。 仲間は大事やけど、頼りきってもあかんのや P78 ・勝つのは大事な事だけど、強ければいい、 勝てるなら何をやってもいいというのは、スポーツじゃない(略) そんな考え方は人間を堕落させるし、 ルールを持たない原始社会に戻って

櫻田智也『サーチライトと誘蛾灯』

 ブラウン神父シリーズや亜愛一郎シリーズが好きな人には是非オススメしたい、一連の系譜を継ぐ推理小説。  探偵役は、虫を愛してやまないちょっととぼけた青年。彼の行く先々で起こる事件を、彼はちょっとしたひっかかりを元に解決していく。  連作短編で読みやすいし、コメディタッチだから難しさも感じさせない。思わずくすりと笑ってしまうこの小説、オススメです。

【2024】クローズドサークルミステリーのおすすめ20選*名作から最新作まで♪

外界と隔絶された空間で起こる事件にハラハラドキドキが止まらない、クローズドサークルミステリー小説。 海に浮かぶ島、雪に閉ざされた山荘、道路が寸断されたお屋敷など、人気の名作から最近刊行された話題作まで、クローズドサークルのミステリー小説をおすすめ20選としてピックアップしました。ぜひ、読んでみてくださいね♪ 綾辻行人『十角館の殺人』映像化が難しいといわれながら、2024年にHuluで映像化され、話題となった十角館の殺人。クローズドサークルミステリーの名作ですよね。 綾辻行

ページをめくる手がとまらない韓国ミステリー!推し本『誘拐の日』

以前読書会で紹介されて気になっていた本です。読みたーいとなって手に取ったら期待以上に面白かったので推し本紹介します。 あらすじは上に引用させていただいたとおりなので、私からは「何が良かったか」を書いていきたいと思います。 あとがきも含めて495ページあるんですが、「どうなるの?これからどうなるの?」と先の展開が気になりすぎて、ページをめくる手が止まりませんでした!というのも、シーンが切り替わる毎、章が変わる毎に最後の一文が毎回気になる一文で終わってるんですよね。「え…?ど

明神しじま『あれは子どものための歌』

 ミステリー要素アリのファンタジーが好きな人に朗報!この本は、話が進んでいくなかで、だんだんと真相が明かされていくタイプの謎があるファンタジーです。  一話一話、独立した話として読んでもよいのだけど、やはり連作短編として固め読みするのが是非ともオススメ。最後の物語では、それまでの物語が全て合わさって、素敵なエンディングが待っています。  ちなみに個別の話として私が好きなのは、並行して語られる三つの話が最後には重なりあって一つの物語になる「商人の空誓文」と、ロマンス要素ありの「

文学の森殺人事件 エピローグ

 私たちが『西園寺探偵事務所』に帰宅したのは夜の十一時過ぎだった。西園寺は約六時間で事件を解決した訳だが、その割にはどこか顔色が悪かった。とはいえ、尊敬していた二階堂ゆみが殺害された事実を受け止められないのは誰だって同じだろう。気掛かりなのは大島徹と名和田茜のことだ。彼らは赤羽雄一と三木剛という例えようのないクズのせいで、事件にかかわってしまっていたのではないのか? 特に大島は二階堂ゆみを尊敬していて、彼女のような作家になるために上京してきた苦労人だ。そんな彼が嘘の供述をして

文学の森殺人事件 第三話

「ご静粛にお願いします」二階堂ゆみの担当編集者の三木剛は言った。「先生は国内だけに留まらず世界各国で人気があります。先生は常々ひとり、ひとりが国際的に通用する力を持って、日本のミステリー、いや、日本の作家の底上げをしなければならないと仰っています」そして彼は続けた。「まさか文学の森に気分を害する人間がいると思わなかったので、信じられません」  三木はそう言うと、身に付けていた黒のスーツからハンカチを出し、汗を拭っていた。 彼は汗をかきやすい体質だった。記者からのインタビューに

言葉の宝箱1295【運なんてものは結局、たいした努力もせずに世のなかとうまく折りあいをつけるってことだからね。そして、折りあいをつけるってのは、だれかが勝手に決めやがった社会の規則とやらを守るってことなんだよ】

・人間はだれでも眼に見えない袋をふたつ持ってる。 ひとつは幸運の詰まった袋で、もうひとつは不運が押しこまれてる袋だ。 両方とも袋のなかの量は決ってるから、 早く使いきってしまえば、あとはもう補充されることはない P22 ・運なんてものは結局、たいした努力もせずに世のなかと うまく折りあいをつけるってことだからね。 そして、折りあいをつけるってのは、 だれかが勝手に決めやがった 社会の規則とやらを守るってことなんだよ P44 ・こういうときはだれも他人を信用しちゃいけないん

言葉の宝箱1294【論理というものは最終的には原則への信頼によって構築される】

・論理というものは最終的には原則への信頼によって構築される。 裁判制度も私有財産制度もこれなしには成り立たない。 それが壊れてきたんだ(略) 社会を成立させてる論理そのものの破綻なんだよ、たぶん。 わたしたちは行きつくところまで行きついてしまった。 社会全体が金属疲労を起こし、 どのボルトを締めなおしてもどうにもならなくなった P7 ・目的を持ってる男は強い P175

【推理小説】『十角館の殺人』を再読し改めて「これはミステリ好きほど騙されるわ!」と納得した理由

※『十角館の殺人』について思い切りネタバレするので未読・未見の方はご注意ください。   ――あぁ、おもしろかった。やっぱりすごい。  最近何かと、というか映像化で話題沸騰中の綾辻行人『十角館の殺人 新装改訂版』(講談社文庫/税別695円)を、久しぶりに読み返してみた。  それで思ったのは、あぁこれはミステリが好きな人ほどキレイに騙されるようにできているな、ということ。  いや、私だけなのか? どうだろう。  少なくともこの本を初めて読んだ20代前半 ―25年くらい前

「十角館の殺人」途中まで読みました。(ネタばれ無し)読書初心者感想

最近本屋さんに「十角館の殺人」が入り口に置いてあって、 調べてみたら超有名な推理小説だと知りました。 今ドラマ化で実写にもなってて、漫画化もされてる様子。 名探偵コナンと金田一少年の事件簿は好きなので、ミステリーは好きなのですがちゃんとした推理小説読むのはこれが初めて。 頑張って読んでみました。 ネタばれはなし! 登場人物が多くて難しい! 登場人物が多く、しかもみんなあだ名で呼ばれています。 有名な推理小説家由来とのことですが、知らない名前もある。 とにかく人物を覚

文学の森殺人事件 第六話

「彼女が盗作していたのに認めないから腹が立ってそう叫んでしまったのかもな。俺は気が短い方だから思ったことを口に出さないと気が済まなくなる時があるのさ。もちろん、今では後悔しているよ。でもさ、まさか死ぬとは思っていなかった。疑われるのは仕方がないけど、俺は犯人ではないよ」 「二階堂ゆみが盗作していた?」 「死んだ人のことを悪く言いたくないが、彼女は盗作して富や名声を得ていた。それはネットやSNSでも指摘されてる事実さ。歌手やバンドがメロディや歌詞をアレンジして使うように、二階堂

文学の森殺人事件 第十話

「あなたは少し声が高いようですね」 「ええ。生まれつき声が高いのです。それが何か?」 「いえ、気になったものですから」 「あなたの周りで彼女に恨みを持つ人間はいますか?」 「私が思うに、二階堂ゆみに対して恨みを持つというよりか、彼女の周りにいる人間そのものが一癖も二癖もあります。三木剛さんをご存じでしょうか?」 「先ほど話しましたよ。ですが、彼にはアリバイがありました」 「彼は担当編集者として全ての権限を握っていました」 「なぜそのことを?」 「彼が私に代筆を頼むように仕向け

文学の森殺人事件 第七話

 昼の四時に「文学の森」の二Fフロアに移動すると、著名なミステリー作家のディスプレイが展示してあった。江戸川乱歩、横溝正史、鮎川哲也、西村京太郎、など日本の推理小説の礎を築いた文豪の貴重な資料だ。彼らが生涯残した手紙、原稿、日記、作品などを紹介していた。特に目を引いたのは彼らの紹介映像だった。ミステリーに疎い人間でも興味を持って貰うために主催者が計画していたのだろう。あるいは文豪の残した軌跡を辿るのが狙いなのかもしれないが。  事件発生時、現場に残った人物は帰すわけにはいかな

文学の森殺人事件 第十一話

「小説家を諦める?」 「自分の限界を知ったというか。これ以上小説を書き続けても意味なんてないと自覚したんです。二階堂ゆみさんも自伝で『自分の才能に限界を感じたら辞めるべきだと』書いてましたから。私は春彦の小説を批評した割に、自分の小説に対しても自信が持てずにいます」 「私が思うに小説に完璧なんてありません。先ずはいろいろな作家の本を読んでそこから完璧を追い求めるだけです。申し訳ありません。話が脱線しましたね」と西園寺は言った。 「いえ、そうだと思います」立壁由紀は言った。「才

私の読書歴と読書熱が再熱した話

◆きっかけ〜小学生の頃 私の読書歴を振り返ってみると、小学生の頃まで遡る 家の本棚にはほとんど本はなかったが、母が若い頃かなりの読書家だったらしく、読書は良いものだと聞いて興味をもち、図書館に通ってとりあえず読みやすそうな児童書から読み始めた。 当時は児童書の表紙のイラストや挿絵がかわいい作品 魔女や魔法ものが好きだったため、そうしたワードがタイトルに入った作品をよく読んでいたと記憶している もう何年も前の話なので読んだ本も内容もだいぶ忘れてしまったが、以下の3作が好き

文学の森殺人事件 第二話

『文学の森』講座の会場は渋谷区道玄坂を登ったオフィスにあり、二階建ての比較的広い外観をしていた。この日も、マスコミと彼女のファンやあるいは作家志望者たちが、まるで蟻塚に吸い込まれるように集まっていた。もちろんその中にはベテランでなかなか日の目を見ない日陰者たちもいた。  私たちは無事に受付を済ませると、受付嬢が笑顔で中を案内してくれた。 「こんにちは。スコット・ジェファーソンさん!」 「大島、お前も来ていたのか」  春の『文学の森』で親交を深めた太った男が「大島徹という者です

2024年1月の読書記録&感想文(ネタバレあり)

2024年の1月は下記の4冊を読みました。 2023年末にブクログに登録し始めたのもあり、本のラインナップはネットでおすすめされたものを中心に、出かけ先や病院の待ち時間に読んだ作品が多かったので、軽くて持ち歩きしやすいページ数も少なめの作品が中心となりました。 多少ぼかした表現をしていますが、基本的にネタバレありで書いていますので、お気をつけください ①許されようとは思いません  芹沢 央 ミステリーの短編が5作品収められています ・「目撃者はいなかった」誤受注してし

文学の森殺人事件 第五話

 昼の三時に「文学の森」講座に警察が到着した。警部補の進藤達哉と新人の佐々岡司の二人組だった。彼らは壇上で倒れていた二階堂ゆみの嘔吐物に目を向けると、直ぐに鑑識に報告して、調査に乗り出した。その上で病死とは考えられないと断定した。なぜ、このような事件が起こってしまったのかと我々は頭を悩ませた。もちろん重要参考人と思われる人物に関しては勝手に帰宅したらいけないと念を押していて、明らかに事件に関係ないと思われる人物には酷な話なのも承知の上だった。とはいえ、現実を受け止めなければな

文学の森殺人事件 第九話

「私は二階堂先生から感謝されていたんですよ。私の性格上、他人とトラブルは絶えませんでしたが、彼女は富と名声を手に入れたことが何よりも嬉しいと言っていました。個人的に恨みを持つのは世界中の一部のアンチか。あるいは『文学の森』で受講した長田という青年ですかね」三木は言った。 「長田さんとも過去にトラブルがあったそうですね」 「一編集者として彼の書いた小説を読んで『プロの道は諦めた方がいい』と助言したら逆恨みして、悪口を言いふらしているのでしょう。実際に彼は何をやっても上手くいかな

文学の森殺人事件 第十三話

 夜の七時『文学の森』講座で西園寺一は最後の確認がしたいと私に声をかけた。彼は一同が集まる前に進藤警部補に八人の容疑者の身柄を拘束して、逃げられないようにした。とはいえ、恩田薫にはアリバイがない。恩田という人物はとにかく謎が多い。どこか恩田の姿は謎めいていて、気味が悪いが、警察の目を欺くほど頭脳明晰ではないだろう。西園寺はこれまで収集した情報が確かなら犯人の正体はだいたい見当が付いたようだった。 「西園寺さん、話とは何のことですか?」 「スコット君、君は鈍いね」 「何とでも言

2024年2月の読書記録&感想文(ネタバレあり)

2月は2冊読みました。先月に比べると大分少なめです。 本は出かけ先で読むことが多いので,あまり出かけることが少なかった2月はあまり多く読むことができませんでした。 ではネタバレありきのレビューどうぞ ①死刑にいたる病 櫛木 理宇 法律を学ぶ大学生の主人公が連続殺人鬼として捕まっている昔馴染みの人物から1通の手紙をもらう。一審では死刑判決が出ている彼から他の事件は自分がやったが、一件の事件はやってない。冤罪ということを証明してほしいと頼まれた主人公は悩んだ末に依頼を受け独

文学の森殺人事件 第八話

「悪い噂?」 「実際に二階堂先生は取材で警察に話を聞いたり、旅をされたりなど非常に真摯に仕事と向き合っていました。彼女が他人の文章をそのまま盗作するのはあり得ないことです」 「話が食い違ってきますね」 「嘘を嘘と見分けられない人に真実を語るのは難しいかもしれません」 「あまりこのようなことを言いたくはありません」西園寺は言った。「ではなぜSNSなどで二階堂先生が盗作をしていると話題になるのですか?」 「西園寺さんは誰かが流した悪意のある嘘の情報を信じるのですか?」  西園寺は