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おすすめの本一覧

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「誰かにおすすめしたい!」と思った本をまとめています。ジャンル不問。
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#エッセイ

著…草刈民代『バレエ漬け』

著…草刈民代『バレエ漬け』

 バレエが全てで当たり前という生活を送ってきた。

 だから、「なぜバレエを始めたのか」と質問されても答えられなかった。

 踊りたいという衝動。

 それは、本能のようなものではないだろうか。

 という文が印象的なエッセイ。

 もっともっと踊りたい。

 もっと上手くなりたい。

 稽古をしていてもエネルギーを持て余して、踊りに対する欲求をどこにぶつけて良いか分からない…。

 それくらいエ

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著…アシュリー・ヘギ 『アシュリー 〜All About Ashley〜』

著…アシュリー・ヘギ 『アシュリー 〜All About Ashley〜』

 普段、わたしは本の帯を捨ててしまいがち。

 しかし、この本の帯は捨てられずにいます。

 わたしが購入したこの本は第10刷で、その帯には「17歳となったアシュリーを追った~(中略)」「17歳のアシュリー(2009年4月30日現在)」と書かれています。

 …アシュリーは4月21日午前9時に亡くなったので…、4月30日までは生きられませんでした。

 この帯が彼女の「もっと生きたかった」という想

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著…倉田真由美『ラブ中。』

著…倉田真由美『ラブ中。』

 20年近く前に出版された本なので、どうしても内容に古さはあるのですが、気楽な気持ちで読める恋愛エッセイ。

 まず、この本の冒頭に、

 と書いてあって、わたしは思わず仰天しました。

 この記事を読んでくださっているそこのあなたには、そういう経験ってありますか?

 心の底から本気で惚れた人と付き合った経験って。

 わたしにはありません。

 今までの人生の中で彼氏は数人いたけれど、はっきり

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著…有栖川有栖 写真…川口宗道『作家の犯行現場』

著…有栖川有栖 写真…川口宗道『作家の犯行現場』

 作家の有栖川有栖氏がミステリー性のある場所や物から放たれる空気に触れて綴った旅エッセイ。

 軍艦島。
 明石海峡大橋。
 出羽三山湯殿山の即身仏。
 満奇洞(まきどう。横溝正史『金田一耕助 ファイル1 八ツ墓村』)。
 江戸川乱歩邸の蔵。
 能登金剛(松本清張『ゼロの焦点』)などなど…。

 小説好き、特にミステリー小説好きにはたまらない場所や物を網羅しています。

 ああ、旅に出たい! 聖地

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著…朝井リョウ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』

著…朝井リョウ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』

 青春時代にしか味わえない切ないエピソードと笑えるエピソードとが、絶妙のバランスで織り込まれているエッセイ。

 20あるエピソードのうち、1つめのタイトルを読んですぐわたしは「ぷっ!」と吹き出してしまいました。

 電車やバスの中でなく、自宅で読んで本当に良かった…!

 1つめのエピソードのタイトルは、…なんと『便意に司られる』。

 …小説『桐島、部活やめるってよ』で華々しくデビューを飾り、

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著…酒井順子『儒教と負け犬』

著…酒井順子『儒教と負け犬』

 著者がソウルと上海を旅して、それぞれの地の女性たちから独身事情と結婚事情を聞く、という本。

 時折、不倫事情についても触れられています。

 国も違えば文化も違うけれど不倫が蔓延っているのは共通しているのね…人間の倫理観ってどうなっているんだろう…とわたしはこの本を読んでいて妙に考えさせられてしまいました。

 と著者がきっぱり言い切っているのが痛快。

 「不倫したら即死刑」になったとしたら

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著…片桐はいり『もぎりよ今夜も有難う』

著…片桐はいり『もぎりよ今夜も有難う』

 ご本人もあとがきでおっしゃっている通り、この本を読んだら、片桐はいりさんの名前が「映画館もぎり」にしか見えなくなります。

 映画は勿論、映画館が好きだ! という人にはたまらないエッセイ。

 片桐はいりさんって、俳優になる前はもぎり(映画館でチケットを切ってくれるスタッフのこと)をやっていたのですね。

 俳優になってスクリーンに映る側になった後も、趣味で時折もぎりをやっていた。

 本当に映

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著…三浦しをん『お友だちからお願いします』

著…三浦しをん『お友だちからお願いします』

 恋の始まりを予感させるタイトルと表紙ではあるけれど、恋愛っけはぜーんぜん! 無いエッセイ。

 運転が苦手な自分の運転免許を「殺しのライセンス」と称するなど、三浦さんの独特のセンスが光ります。

 こ、殺さないで…!

 安全運転をお願いします。

 中でも、お祖母さまとのエピソードが楽しいです。

 お祖母さまが御自分のおっぱいを「おしなびさん」と呼んでいる、というくだりではわたしも思わず声を

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著…遠藤周作『現代誘惑論 遠藤周作初期エッセイ』

著…遠藤周作『現代誘惑論 遠藤周作初期エッセイ』

 「本当の誘惑者」とは何か? という考えや、初恋の破れやすさ、男女間の友情が成立するか否か等についても語ったエッセイ集。

 著者はこう述べます。

 手ごわい女性を避けて、軽い女性を手当たり次第に漁って、経験人数だけを自慢するような男性のことは、誘惑者とは呼べない。

 「馬鹿」と訳すのが適当である。

 まるで、バスやロープウェイで楽に山へ行ったのに「自分は登山家だ」と自称するのと同じようなも

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著…伊集院静『それでも前へ進む』

著…伊集院静『それでも前へ進む』

 かつてJR東日本の車内誌『トランヴェール』に掲載されていたエッセイ『車窓に揺れる記憶』と、語り下ろしエッセイ『それでも前へ進む』を加えた本。

 四季の移ろい、身近な人たち(若くして亡くなった弟さん、妻・夏目雅子さん等)の死についての想い、そして3.11以降を生きる人たちへのメッセージが綴られています。

 読んでいると、自分がゆったりと心地よく列車に揺られて旅をしながら人生を振り返っているかの

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著…浅田真央 写真…川島小鳥『また、この場所で』

著…浅田真央 写真…川島小鳥『また、この場所で』

 真央ちゃんとスケートを練習している子どもたちとの信頼関係が伝わってくる、爽やかなフォトエッセイ。

 という真央ちゃんの言葉が素敵!

 子供って大人のことを本当によく見ていますよね。

 その大人が自分のことをどう思っているのか、鋭く見抜く力を持っている。

 真央ちゃんにスケートを教えてもらえる子供たちは幸せですね。

 真央ちゃんが有名人だから、とかでは無くて。

 とても貴重な体験だと思

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著…北大路魯山人『春夏秋冬 料理王国』

著…北大路魯山人『春夏秋冬 料理王国』

 料理は芸術だ! 料理についての自分なりの美学を持ちたまえ! 自分の好物について説明する時ろくな表現が出来ないような奴は料理人としてなっとらん!

 …という叫びが聴こえてきそうなエッセイ。 

 わたしはちょうどお腹が空いている時にこの本を読み始めてしまい、ページを捲る度にお腹がキュルキュル鳴りました。

 しかし、この本が面白いので、ついついお腹をそのままにして読み進めてしまいました。

 

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著…宮下奈都『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』

著…宮下奈都『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』

 お料理にまつわるエッセイ本。

 ただし、空腹を激しく刺激する内容ではありません。

 心をホッと満たしてくれる家族愛のことを綴った本だからです。

 この本を読んでいると、自分の心がいかに飢えていたか気づかされます。

 特にご家族とのエピソードが素敵。

 なぜでしょう。

 こうしたエピソードを読んでいると、わたしはつい泣けてくるのです。

 ああ、きっとこのおうちの料理は心を込めて作られ

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著…杏『杏のふむふむ』

著…杏『杏のふむふむ』

 まるで杏さんが穏やかな声で朗読してくれているような、ゆったりとした気分で読めるエッセイ。

 小学生の頃、絵本『どろんこハリー』から取って、愛犬に「ハリー」と名付けたという可愛らしいエピソード。

 また、ハリーを「弟」と呼んでいること。

 そして、「弟」との思い出を綴る言葉の一つ一つがあたたかいです。

 この「弟」にとって自分は妹分でもありライバルでもあった…と懐かしそうに語る様子から、今

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