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高井宏章 雑文帳

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徒然なるままに。案外、ええ事書いてます
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2019年7月の記事一覧

陰謀論の「甘い夢」を打ち砕いた文豪

陰謀論の「甘い夢」を打ち砕いた文豪

陰謀論は、甘い。濃厚な蜜の味がする。
私はそれをよく知っている。少年のころ、どっぷりと陰謀論に浸かっていたからだ。それは、とてもエキサイティングで、甘美な時間だった。
だが、私はある作家のおかげで、その夢から覚めた。
覚めてみると、それは「甘い夢」どころか、黒歴史としか言いようのない悪夢であった。
当時の自分を思い返すと、苦笑と冷や汗が同時に漏れだすような気まずさに襲われる。

私が目を覚まして3

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主流派経済学への強烈なアンチテーゼ『父が娘に語る美しく、深く、とんでもなくわかりやすい経済の話』

主流派経済学への強烈なアンチテーゼ『父が娘に語る美しく、深く、とんでもなくわかりやすい経済の話』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に7月17日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteにも転載しています。

原題は”Talking To My Daughter About Economy”。
昨今の経済・ビジネス書の常で、邦題はいささか冗長だが、タイトル通り、父から娘への語りかけというスタイルでつづられたこの本は、いくつかの理由で類書とは一味違う魅力を放っている。

『父が娘に語る美し

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挑戦!noteバッジコンプリートへの道

挑戦!noteバッジコンプリートへの道

note書きの同志諸君。
周知のとおり、我々は昨日7月24日、運営側から挑戦状を受け取った。
コレである。

「カイゼン」なんて可愛らしいネーミングに騙されてはいけない。
これは公然たる我々note書きに対する挑戦である。
私は「ゼルダ」をやれば全装備をマックスまで強化し、追加コンテンツも購入してマスターバイクもゲットするような人間だ。

(公式からキャプチャ。ロンドン時代にやりこみました)

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おかしな世界と朝の3つの微苦笑

おかしな世界と朝の3つの微苦笑

読みかけた「三体」の先が気になるのに、通勤電車投稿シリーズに着手してしまい、禁欲的なのか快楽的なのかよく分からなくなっている高井です、こんにちは。
投稿する気になったダメ押しは最寄りの押上駅で見かけたオカシなものなのですが、その前に2つ、朝から新聞で見かけて笑ってしまった案件を。

まず、朝日小学生新聞。お金に関する新連載、今回は金利のお話。銀行の役割と単利、複利の違いなど、内容はオーソドックスで

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「おカネの教室」韓国語版の面白すぎるローカライズ

「おカネの教室」韓国語版の面白すぎるローカライズ

ああ、やっと話せる……。
アホ投稿「『千の引き出し』もつ男」に書いたように、自慢話好きな私にとって、この1年、辛かった……。

「おカネの教室」の韓国語版、8月12日に発売!いやー、デビュー作にして自著の翻訳が出るなんて、想像もしてなかったですねぇ。
めでたい!

版元は、熊津シンクビッグ( Woongjin Thinkbig)。
韓国の出版事情には疎いのですが、出版含めた教育ビジネスの大手企業の

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「千の引き出し」持つ男

「千の引き出し」持つ男

私は褒められると伸びるタイプだ。
このnoteなど典型で、フォロワーやビューが伸び、「スキ」が増えると、ホイホイと書きたくなる。
要は、お調子者なのである。

世の中にはそうでない方もいる。
たとえば最近、コルクの佐渡島さんのnoteを読んで「へえ」とうなった。

少しだけ引用する。太字は高井。

子育て、新人漫画家の育成で、リラックスさせて伸ばすことが、僕はうまくない。そのことをテーマにコーチン

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「究極のUX」のヒントは近所の銭湯にあった

「究極のUX」のヒントは近所の銭湯にあった

今、私は動揺している。
ほんの浮気のつもりだったのに、本気で惚れてしまいそうなのだ。
といっても、ご期待に沿えるような家庭崩壊系の話ではない。
銭湯の話である。
3連休に絡めて引っ越し、室内は「シッチャカメッチャカ」からようやく「ガッチャガチャ」ぐらいまでたどり着き、ネット環境もできた。
うん。
手も足も腰もパンパンだし、自分へのご褒美で銭湯ぐらい言ってもバチは当たるまい。
さっそくGoogle先

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車内スマホ率 東京vsロンドン 通勤投稿シリーズその3

車内スマホ率 東京vsロンドン 通勤投稿シリーズその3

本日も通勤車内で投稿できるかな、に挑戦。
お題は、車内スマホいじり率日英比較、であります。
ただいま7人がけの椅子の真ん中に座ってまして、向かいの席はスマホ6にタブレット1で、7というより8とカウントしたい状態。
私の列は、両隣2件と私(これ書いてるからね)の5人。端の2人のうち、1人は紙の本。なんか嬉しいな。率でいうと、9割超える。

で、記憶で書きますけど、ロンドンのセントラル線でもよく同じよ

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「損して得する?」コーヒーの収支決算

「損して得する?」コーヒーの収支決算

いきなり私事で恐縮ですが、この三連休に絡めて、高井家はお引越しをする。5人家族ともなると、引っ越しは一大プロジェクトの様相を呈する。
しかも、明日には荷物搬出だというのに、本棚16本分の書籍の8割方は未梱包だ。そう書いている本人も信じられない。
しかも、某社から頼まれた原稿やら何やら、宿題が数本たまっている。

うん。
こんなときこそ、落ち着いて、コーヒーでも飲んで、noteを書いて、一息つくべき

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あまりに過酷な「天職」との出会い 『紛争地の看護師』

あまりに過酷な「天職」との出会い 『紛争地の看護師』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に7月1日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteにも転載しています。

「国境なき医師団」で活動する日本人看護師の話題の手記は、私にとって期待したテーマに対する満額回答以上の読書、そして意外な面で深く考えさせられる読書になった。

『紛争地の看護師』小学館 白川優子/著

まず感想より先にお伝えしておきたい。この本はできるだけ多くの人に読まれるべきだ。多

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最後に傘をさす人 出勤雑感・梅雨空編

最後に傘をさす人 出勤雑感・梅雨空編

梅雨ですねぇ。
今朝、最寄り駅への道すがら、プライドとアイデンティティが揺らぐ案件があったので、また小文をば。前回のこれが好評だったので調子に乗ってます。

さあ、オフィスに着くまでに間に合うか!

タイトルに書いたように、私は「最後に傘をさす人」だ。
そこそこ降っていて、周囲はみんな傘をさすような雨でも、なかなか傘を開かない。
この傾向は、2段階の進化を経て、かなりの高偏差値を誇る特性となった。

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「体罰根絶」への0.01%の迷い

「体罰根絶」への0.01%の迷い

タイトルで容認派と誤解されないよう、先手を打ちます。
私は、自分の経験を含めて体罰を忌み嫌っているし、根絶すべきだと信じている。
ちなみに両親からは一度たりとも体罰を受けたことはない。私自身は3人の娘に手を上げたことなど一度もないし、そんなことを考えたこともない。
体罰は、受けた被害者だけでなく、それを目撃した人にも、いわゆるPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こしかねない。
そんなものが教

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兄貴という不思議 高井三兄弟物語

兄貴という不思議 高井三兄弟物語

こちらの投稿はツイッターのアンケートで要望が多かったネタです。noteの投稿の告知だけでなく、たまにリクエスト企画やりますので、ぜひこちらからフォローを!

「ダビスタ」ファンなら痛感するように、配合が同じでも産駒のバラツキは大きい。駿馬もいれば、駄馬もいるし、気性良しもいれば気性難もいる。(注:「 ダービースタリオン」は競走馬育成ゲーム。Wiki参照)
ダビスタを持ち出さなくても、兄弟がいる方、

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「よつばと!」で英語を学ぼう!

「よつばと!」で英語を学ぼう!

独選「大人の必読マンガ」案内(14)
あずまきよひこ『よつばと!』『YOTSUBA&!』私は現地の書店をのぞくことを海外旅行の楽しみの1つにしている。
欧州各国では、少し大きな書店には、たいてい日本の漫画コーナーがあった。他のコミックとは別枠で"MANGA"と表記されているケースが多い。何人か、MANGAを「原書」で読むために日本語を勉強してるという若者に会ったこともある。
今回は、この「原書」に

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