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高井宏章 雑文帳

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徒然なるままに。案外、ええ事書いてます
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2019年4月の記事一覧

平成の絶版本 暴騰&暴落物語

平成の絶版本 暴騰&暴落物語

需要と供給のバランスでモノの価格は決まる。
市場経済のイロハのイである。
本もモノだ。この運命を逃れられない。市場メカニズムが働くのは、再販制度の外にある古本の世界だ。
「大ベストセラーが半年後にBOOKOFFで叩き売り」というのはありふれた光景であり、我が家の場合、「ハリポタ」という深い沼の入り口がまさにそうだった。

もちろん、逆のケースもある。
供給が途絶えた良書、絶版本の高騰である。
個人

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ロンドン 決死の弾丸ツアーガイド

ロンドン 決死の弾丸ツアーガイド

2016年から2年のロンドン駐在期間中、友人や知人を観光でご案内する機会があった。今回はその定番ルートを繋ぎ合わせたものをご紹介する。

ロンドンは案外、狭い。坂もほとんどなく、歩いても苦にならない。
「お上りさん定番スポット」で言えば、東端のタワーブリッジ、西端のバッキンガム宮殿まで1時間ちょいで歩ける。皇居一周お散歩と大して変わらない。夕方なんかは中心街はアホみたいに渋滞する。徒歩最強である。

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「国境なき医師団」に寄付する利己的な理由

「国境なき医師団」に寄付する利己的な理由

私はロンドンに駐在していた2017年から、「国境なき医師団」英国支部(以下、MSF UK)への寄付をはじめた。
年間100ポンド程度、円換算で1万5000円くらいだから、大した額ではない。

「国境なき医師団」の存在自体を知らない方はさすがに少ないだろうが、念のため、Wikipedia先生から。

国境なき医師団(仏: Médecins Sans Frontières、略称: MSF)は1971年

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自分を「整える」ものの大切さ

自分を「整える」ものの大切さ

大型連休が接近していますね。
連休明けたら令和。そして、毎年恒例「5月病」の季節ですね!
例によってWikipedia先生より。

日本においては、新年度の4月には入学や就職、異動、クラス替え、一人暮らしなど新しい環境への期待があり、やる気があるものの、その環境に適応できないでいると人によってはうつ病に似た症状がしばしば5月のゴールデンウィーク明け頃から起こることが多いためこの名称がある。医学的な

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安い!広い!面白い! 欧州民泊漂流記

安い!広い!面白い! 欧州民泊漂流記

(こちらは新潮社フォーサイトでの連載を再構成したものです。転載を快諾いただいた編集部のご厚意に感謝いたします)

「ウチはもう、家族旅行はエアビーばっかり。民泊ね、民泊」

ある夏の日のロンドンのオフィス。現地スタッフのお姉さまがふと漏らしたつぶやきが我が家の欧州漂流の旅を一変させるとは思いもしなかった…。

「高くつくのが悩みで……」

というほど大げさな話ではありませんが、私の家族は2016年

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ギターを置くならこんな風に

ギターを置くならこんな風に

私が生涯初のギターを買ったのは2011年の秋、39歳の時だった。
きっかけは、ありがちかもしれないが、その年に起きた東日本大震災。長年、「いつかは」と思いつつ、先延ばしにしていたのだが、「人間、いつ死ぬか分からないな」と改めて痛感して、ある週末、近所のイオンの楽器屋でサクッと買ってしまった。

「欲しけりゃとっとと買えば良かったのに」という話なのだが、躊躇した理由はいくつかあった。

ギターという

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Brexit迷走の謎を知る最良の教材

Brexit迷走の謎を知る最良の教材

独選「大人の必読マンガ」案内(11)
浦沢直樹 ・勝鹿北星・長崎尚志『MASTERキートン』英国・アイルランドでは、頭文字を大文字で表記する「The Troubles」という特別な言い回しがある。
日本語として定着している「トラブル」という一般名詞のイメージとは違い、この言葉には血生臭い歴史が染みついている。テロや弾圧で3000人以上の死者を出した北アイルランド問題を指す婉曲表現だからだ。

当初

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「口コミ」ロングセラーの作り方

「口コミ」ロングセラーの作り方

なぜ『おカネの教室』は売れ続けているのか

2018年3月の発売から9刷を重ねるロングセラーとなっている『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密(しごとのわ)』(インプレス)。大手メディアへの露出がほとんどないまま、じわじわと部数を伸ばしている原動力はネット中心の「口コミ」の力だ。情報発信力の高い応援団の存在感や、読者のSNSへの「全レス」など口コミ拡散の舞台裏や狙いを著者の高井浩章氏に聞

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「地獄の現場」で父から学んだこと

「地獄の現場」で父から学んだこと

「好きな季節は?」という定番の話題がある。
人の好みに口を挟むつもりはないが、冬派の「キリっと空気が冷えて澄んだ感じが好き」といった言葉を聞くと毎度、私は思う。

「ああ、この人、冬に外仕事したことないんだろうな…」

「手伝い」と言う強制児童労働私の両親は看板屋を営んでいた。
高井三兄弟は子ども時代、しょっちゅう手伝いに駆り出された。
自宅1階の「仕事場」で看板を作る作業や、店舗などでの看板取り

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新社会人に伝えたい3つのこと

新社会人に伝えたい3つのこと

いつもわりとかっちりしたネタ(と本人は思っている)を書いているので、今日はゆるくいきます。

オジサン、もう会社勤めも四半世紀に迫ろうという歳でして、これまでたくさんの新人さんとお付き合いしてきました。自分の会社だけじゃなくて、この時期、街には「見るからに」というBoys&Girlsがあふれていて、それを風物詩としてみてきたわけであります。

そんなオジサンとして、ふと、アドバイスというか提案をし

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「いじめっ子」への処方箋

「いじめっ子」への処方箋

タイトル画像は、私がいつも財布に忍ばせている小さな紙きれだ。
裏に「はっぽへ ちっちより」とある。「はっぽ」は次女、「ちっち」は長女のこと。
これは一時期、妹をいじめる癖がついてしまった長女が次女に贈った手紙だ。15年以上、私はこの小さな手紙を大切にしてきた。

「いじめられっ子」だった私さて、ここで話はさらに40年ほど前に飛ぶ。
私は小学校の低学年まで「家庭内いじめられっ子」だった。5歳上の長兄

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