マガジンのカバー画像

140文字小説

306
Twitterで日々投稿している140文字小説をまとめたものです。
運営しているクリエイター

#告白

償いと涙 (140文字小説)

償いと涙 (140文字小説)

「さよなら」
 俺の腹に生えたナイフを見下ろし、彼女は静かに呟いた。

 一年前、告白された。
 戸惑ったけど、俺はOKした。
 でも、彼女の秘密はわかっていた。
 それでも、俺は──

 ごめんよ、俺が君のお父さんを轢いてしまったから。

 ──君に償いたかった。

 涙?
 どうして君が泣くの?

嫉妬の権力(ちから) (140文字小説)

嫉妬の権力(ちから) (140文字小説)

「俺とつき合え」

 校内一のイケメンに、廊下で壁ドンされた。

 女子達が鬼の形相で私を睨んでいる。

 受験も近いのに、面倒事はご免だ。

 彼がいるから、とやんわり断った。

「今日、廊下でイケメンに告白された」と、彼に報告。

「あいつの内申書に細工しとく」

 イケメン、面倒事になったね…

窓越しの告白 (140文字小説)

窓越しの告白 (140文字小説)

 一緒に暮らさないか。

 視線は窓の外に投げていた。

 電車のつり革に揺られながら、隣に立つ同僚の唇が唐突に動いた。

 夜の街を背景にした車内の窓には、私の火照った顔がくっきりと見える。

 窓越しに同僚と視線が交差する。

 私も窓越しに唇を動かす。

 いいの?と。

 聴覚障害の私で本当に。

交際の鉄則 (140文字小説)

交際の鉄則 (140文字小説)

 俺は一人の女では満足できない。

 女は常に二股だ。

 だが、ルールはある。

 同じ名前の女と付き合うのだ。

 寝言で別の女の名前など、修羅場をまねく。

 だが、本気で好きな女ができた。

 俺は二人と別れ、その女に告白した。

「ごめんね!彼氏と名前が違う人とは付き合わないようにしてるんだ」

糸の心 (140文字小説)

糸の心 (140文字小説)

 空を舞う風船の糸を、つかむようだった。

 私の心は、パッとつかまえられた。

 きっかけは領収書の指摘のため、彼のデスクに赴いたこと。

 相好を崩し、わざわざありがとう、と言ってくれた。

 数ヶ月後、私は想いを告げ、彼のものになった。

 バッグの中で、スマホが揺れた。

 たぶん夫だろう。

彼女は変身ヒーロー (140文字小説)

彼女は変身ヒーロー (140文字小説)

 一晩眠ると、変身した。

 俺は目を瞠った。

 腰まで届くつややかな髪が、バッサリと一夜で変貌していた。

 髪で目を隠し、クラスでも控え目な性格だったその子は、あっという間にカーストの上位に登った。

 昨日の放課後、俺は君の想いを拒否した。

 自分を変える君は、やっぱり俺には勿体ない。

もう私はこわれる (140文字小説)

もう私はこわれる (140文字小説)

 不覚だった。

 一粒こぼれると、もう止められなかった。

 私は膝を抱え、周囲の目をはばからず泣いた。

 あなたの告白を三度も断った。

 彼が別れないから。

 それなのに、あなたは。

 昨日ついた痛みの痕跡を癒してくれる。

「君の痛みが、僕に伝わるといいのに…」

 私も伝えたい。本当の想いを。

あの頃は、臆病だった(前編) (140文字小説)

あの頃は、臆病だった(前編) (140文字小説)

 私は後輩で、あの人は先輩だった。

 決して頼りになる人じゃない。

 でも、なぜか気になる人だった。

 気持ちは伝えず、学園生活を終えた。

 社会に出たら時折、どうしているだろうと思い起こす。

 LINEの友だちをスクロールする。

「元気にしてますか?」

 私は勇気を込めて、矢印に指を落とす。

帰らない日々 (140文字小説)

帰らない日々 (140文字小説)

 今つき合ってる人いないし、まあいいか。

 告白への答えは、軽い思いだった。

 でも彼はいつも笑顔で話を聴いてくれた。

 彼は他とは違う。

 ある日、元カレから誘われ迫られた。

 軽い気持ちで唇を重ねるも、偶然、彼がいた。

 泣いていた。

 彼はもういない。

 私は今も帰らない日々を求めてる。

真実の想い (140文字小説)

真実の想い (140文字小説)

 告白は気持ちの押しつけ。

 そう思っていた。

 同じ美化委員で、おっちょこちょいだけどいつも優しい彼に私は惹かれた。

 でも押しつけは嫌。

 いつしか彼は恋人ができた。

 卒業式の最後の会話で「本当はずっと好きだった」と彼は苦笑いした。

 もう遅い言葉に、私は漸く臆病だった自分を知った。

立つ鳥悔いを残さず (140文字小説)

立つ鳥悔いを残さず (140文字小説)

「好きだぁぁああ」

 屋上から生徒達が叫んでいる。

 うちの学校の卒業式での定番の風景だ。

 在校中に告白出来なかった子達が、この場で想いを告げる。

 はあ、早く帰って一杯やりたい。

「優子先生好きだぁぁああ」

 へ?林くん?

 わ、私には駄目よ。

 だ、第一、あ、あなたはまだ小学生でしょ。

悔と壊 (Twitter140文字小説)

悔と壊 (Twitter140文字小説)

 臆病な青春を過ごした。
 弱い俺は拒絶が恐ろしく、告白の挑戦権も破棄した。
 年を経ると、それが後悔という痼になり、今の自分を庇護するため、過去の自分を責めている。
 あの人に逢いたい。
 もはや偏執的とも言える妄執は、生涯俺を蝕むのだろうか。
 失望感が去来する。
 自分を破壊したい…

ONLY ONE (Twitter140文字小説)

ONLY ONE (Twitter140文字小説)

好きな人は親友が好きな人だ。
抜けがけは無しと約束した。
でも告白したい。
彼は親友に告白した。
わたしは陰から見ていた。
嬉しそうな親友。
悔しさと喜びが混ざって胸が痛い。
突然、親友が彼をビンタした。
理由は私を貶したからだ。

男はいらない。
三十を超え、私達は今も一緒だ。

研究課題は「恋」です! (Twitter140文字小説)

研究課題は「恋」です! (Twitter140文字小説)

幼馴染みはお互いに恋心を抱くのか。
テーマを設定し、私達は協力して研究することにした。
告白実験。
デート実験。
キス実験。
S……実験。
全ての実験が終了すると、互いに恋心が芽生えていた。
論文を発表すると、その日のうちに停学処分が下された。
中学生には最後が余計だったのだ。