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東原そら
2021年8月5日 19:23
「さよなら」 俺の腹に生えたナイフを見下ろし、彼女は静かに呟いた。 一年前、告白された。 戸惑ったけど、俺はOKした。 でも、彼女の秘密はわかっていた。 それでも、俺は── ごめんよ、俺が君のお父さんを轢いてしまったから。 ──君に償いたかった。 涙? どうして君が泣くの?
2021年8月4日 20:06
「俺とつき合え」 校内一のイケメンに、廊下で壁ドンされた。 女子達が鬼の形相で私を睨んでいる。 受験も近いのに、面倒事はご免だ。 彼がいるから、とやんわり断った。「今日、廊下でイケメンに告白された」と、彼に報告。「あいつの内申書に細工しとく」 イケメン、面倒事になったね…
2021年8月1日 19:30
一緒に暮らさないか。 視線は窓の外に投げていた。 電車のつり革に揺られながら、隣に立つ同僚の唇が唐突に動いた。 夜の街を背景にした車内の窓には、私の火照った顔がくっきりと見える。 窓越しに同僚と視線が交差する。 私も窓越しに唇を動かす。 いいの?と。 聴覚障害の私で本当に。
2021年6月30日 20:32
俺は一人の女では満足できない。 女は常に二股だ。 だが、ルールはある。 同じ名前の女と付き合うのだ。 寝言で別の女の名前など、修羅場をまねく。 だが、本気で好きな女ができた。 俺は二人と別れ、その女に告白した。「ごめんね!彼氏と名前が違う人とは付き合わないようにしてるんだ」
2021年6月23日 22:06
空を舞う風船の糸を、つかむようだった。 私の心は、パッとつかまえられた。 きっかけは領収書の指摘のため、彼のデスクに赴いたこと。 相好を崩し、わざわざありがとう、と言ってくれた。 数ヶ月後、私は想いを告げ、彼のものになった。 バッグの中で、スマホが揺れた。 たぶん夫だろう。
2021年5月17日 15:40
一晩眠ると、変身した。 俺は目を瞠った。 腰まで届くつややかな髪が、バッサリと一夜で変貌していた。 髪で目を隠し、クラスでも控え目な性格だったその子は、あっという間にカーストの上位に登った。 昨日の放課後、俺は君の想いを拒否した。 自分を変える君は、やっぱり俺には勿体ない。
2021年5月14日 08:54
不覚だった。 一粒こぼれると、もう止められなかった。 私は膝を抱え、周囲の目をはばからず泣いた。 あなたの告白を三度も断った。 彼が別れないから。 それなのに、あなたは。 昨日ついた痛みの痕跡を癒してくれる。「君の痛みが、僕に伝わるといいのに…」 私も伝えたい。本当の想いを。
2021年4月6日 18:26
私は後輩で、あの人は先輩だった。 決して頼りになる人じゃない。 でも、なぜか気になる人だった。 気持ちは伝えず、学園生活を終えた。 社会に出たら時折、どうしているだろうと思い起こす。 LINEの友だちをスクロールする。「元気にしてますか?」 私は勇気を込めて、矢印に指を落とす。
2021年3月27日 20:29
今つき合ってる人いないし、まあいいか。 告白への答えは、軽い思いだった。 でも彼はいつも笑顔で話を聴いてくれた。 彼は他とは違う。 ある日、元カレから誘われ迫られた。 軽い気持ちで唇を重ねるも、偶然、彼がいた。 泣いていた。 彼はもういない。 私は今も帰らない日々を求めてる。
2021年3月26日 20:12
告白は気持ちの押しつけ。 そう思っていた。 同じ美化委員で、おっちょこちょいだけどいつも優しい彼に私は惹かれた。 でも押しつけは嫌。 いつしか彼は恋人ができた。 卒業式の最後の会話で「本当はずっと好きだった」と彼は苦笑いした。 もう遅い言葉に、私は漸く臆病だった自分を知った。
2021年3月18日 18:21
「好きだぁぁああ」 屋上から生徒達が叫んでいる。 うちの学校の卒業式での定番の風景だ。 在校中に告白出来なかった子達が、この場で想いを告げる。 はあ、早く帰って一杯やりたい。「優子先生好きだぁぁああ」 へ?林くん? わ、私には駄目よ。 だ、第一、あ、あなたはまだ小学生でしょ。
2021年2月3日 19:42
臆病な青春を過ごした。 弱い俺は拒絶が恐ろしく、告白の挑戦権も破棄した。 年を経ると、それが後悔という痼になり、今の自分を庇護するため、過去の自分を責めている。 あの人に逢いたい。 もはや偏執的とも言える妄執は、生涯俺を蝕むのだろうか。 失望感が去来する。 自分を破壊したい…
2021年1月28日 18:47
好きな人は親友が好きな人だ。抜けがけは無しと約束した。でも告白したい。彼は親友に告白した。わたしは陰から見ていた。嬉しそうな親友。悔しさと喜びが混ざって胸が痛い。突然、親友が彼をビンタした。理由は私を貶したからだ。男はいらない。三十を超え、私達は今も一緒だ。
2021年1月25日 19:41
幼馴染みはお互いに恋心を抱くのか。テーマを設定し、私達は協力して研究することにした。告白実験。デート実験。キス実験。S……実験。全ての実験が終了すると、互いに恋心が芽生えていた。論文を発表すると、その日のうちに停学処分が下された。中学生には最後が余計だったのだ。