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自己紹介という名の遺書
あの時幕を閉じていたら、私は私の人生を『儚く美しい物語』として終えることができていたのに、と思うことがある。一番ドン底に居た時、あのまま、闇に吸い込まれるように消えていたら。
でも幸か不幸か、私は生き残っている。しかも割と元気になってしまった。今となっては、そこそこ普通に働けて、週末は適当に遊び歩いて、何か充実した風のどこにでもいるただの独身お姉さんなのだ。
今、私の人生はそんなに悪くな
10年越しの夢を捨てる時が来た #10
「佐藤さんは、いつもお弁当を自分で作ってるんですか?」
昼食を摂るために休憩室にいると、不意に声を掛けられた。いつも看護師長との面談の時に、隣でパソコンを操作している事務スタッフの中村だ。妻子のある中村は、いつもコンビニ弁当を持って休憩室に現れる。穏やかな口調で、いつも目尻に皺を寄せている眼鏡をかけた細身の男性だ。
「はい。でも、作ってるなんて大層なものではないですよ。前日の残りを適当に詰めて
私を変えてくれた女子高生
自分以外の全ての存在を敵だと思っていた思春期に、自分の価値観を完全にぶち壊された衝撃的な出逢いがあった。
高校3年生で初めて同じクラスになった有花のことを、私はそれまで認知していなかった。それは決して有花が目立たないタイプだからという訳ではなくて、1学年10クラスある規模の高校で、クラスや部活動や余暇時間の使い方のベン図においてたまたま重ならない存在のうちの1人だったということだ。
有花
ブリジット・ジョーンズと、私と清美
高校時代、友人と映画同好会みたいなものを作っていた。お互いに興味のある映画を探してきては映画館で鑑賞し、帰りに感想を語り合うというシンプルな会だった。良かったところや理解できなかったところを発表し合ったり、考察を述べたり、意見が合わない時には白熱して討論を繰り広げたりした。答えのない問題について、自分が持たぬ価値観を知ることが楽しかった。
ある日の活動で、「ブリジット・ジョーンズの日記」とい