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半世紀前から普通の人生に挑戦した車椅子おばあちゃんの物語

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語1~58
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2024年2月の記事一覧

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉖

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉖

「雪の日、普通に2児の母になりました」

初夏の公園
広い芝生の広場のベンチで
初めてできたママ友と楽しいおしゃべり
「実は、来年の2月が予定日なんだけど」
と、そこまで言った瞬間
「え、ええっ」
とママ友
「え、どうしたの」
「私も来年の2月」
「え、ええっ」
「鳥肌立ったわぁ」
彼女も2月に第二子を出産予定だったのです。
お互いに無事女の子を出産
それぞれの二人の子供を連れて、よく一緒に遊びま

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉗

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉗

「エレベーターに足をはさんじゃった!」

次女が産まれてしばらくしたころに、
夫が仕事に行っている平日に、義姉が知人を連れて迎えにきて
義母は以前住んでいた街へ帰っていきました。
私は、娘二人の世話でなにも手伝えませんでしたので
昼食にせめてもの気持ちで出前を頼み
うな重をお出ししておもてなしをしました。
けれど、義姉達の冷ややかな対応が今でも心を暗くさせます。
おそらくは、
「嫁に追い出された」

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉘

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉘

「ママー、おしっこでるぅ」


おっぱい、おむつ、洗濯、ごはん、買い物、片付け、長男犬の世話、
家事に終わりはありません。
世の中のお母さん達はどれほど頑張っているのでしょうか
私は、とても一人ではできませんでした。
実家の両親と妹が強力なサポーターになり、週に何度も出動してくれていました。
実家が近ければよいのですが、車で片道40~50分はかかります。
父は主に買い物に行ってくれました。洗濯物

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉙

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「いざ、幼稚園」

さて、長女は大変です。
3歳になるころからいろいろやらされ始めます
育児雑誌を読んで
「なるほど、なるほど」
教育テレビをみて
「うん、うん」
ママ友と話して
「そうなんだぁ」
先ずは
「耳は3歳までに作られる」
と聞いて
「ピアノを習わせたい」
実は、夫は学生時代バンドを組んでいて
フルートを吹きながらボーカルを担当していました
私は超音痴なのですが、娘たちは夫の遺伝子を受け

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉚

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「幼稚園でのお付き合いって」

制服、リュック、体操着、上履きなどを買い揃え
手作りの通園バック、スモックの上着にアップリケや
教材、お道具箱の名前書き、いろいろな書類の記入、

入園式までの準備ってこんなに大変とは思いませんでした
お裁縫は大の苦手です

しかし、
「やらねばならぬ」と意を決してミシンを購入しました。
養護学校で少しだけ習った記憶があるだけです
ちんぷんかんぷんの糸通しから、縫

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉛

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「ようちえんいきたくない」

「お邪魔します」
まさかこんなことになるとは思わず、
散らかったわが家へ、今日はじめましてのママ友と
そのお友達ママ友、それぞれ幼稚園の同じクラスの女の子と
その弟くん、ご一行様6名
ふたりともとってもきれいな、奥様
ひとりは、お腹の大きい妊婦さんママです。
二人はご近所で、下の子も同い年という以前からの仲良しでした
何故、私に声をかけた?
興味本位?
いやいや、親切

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉜

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「ご当選おめでとうございます」

「幼稚園なんて、行かなくったってどうってことない
別に、それで人生がどうのこうのってなるわけじゃないし
だいたい、まだ5~6年しか生きていない子供が
社会に適応だの不適応だの関係ないでしょ
何を隠そう、あなたのママは幼稚園どころか
小学校だって2年生の2学期から行き始めて
5年生と6年生はほとんど行ってないんだから
でも、ぜんぜん大丈夫」
と言ってあげたい
ああ、

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉝

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「Have a good time. 」

2度目のハワイ!
2人の子連れ車椅子ママとおばあちゃんとまだオムツも取れていない赤ちゃん連れママ
御一行6名様
初めての空港で子供たちはキョロキョロしています
優しい空港のスタッフさんにに声をかけられたりして
無事搭乗できました
初めての機内食にワクワクの長女
メニューはハンバーグでした、ハンバーグが大好きだった長女は
よろこんで
「パクッ」
が、顔がゆ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉞

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「「当たって砕けろ」精神を心から後悔」

今日は二女の年少組さんの遠足です
一緒に動物園へ行きます。
みんなはお母さんやお父さんと一緒に
うれしそうにバスに乗りこんでいます。
が、私は、バスには乗れません。
いったいどのようにして動物園まで行ったのでしょう
すっかり忘れてしまいました
どなたか付き添いのお父様にバスに乗せていただいたのかもしれません
もしかしたら、自分の車に娘を乗せて
バスの後をつ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉟

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「まんまと、作戦成功です」

♪おかあさんたち、みてみてきょうは
うれしいうれしいそつえんしき~♪

毎日、長女が卒園式の歌の練習をしています
私はそれを聞きながらいつも必ず涙ぐんでしまうので
みんなに気づかれないようにごまかすのが大変でした。

♪こんなにおおきくなりました、もうすぐいちねんせい♪

♪ほんとにこんなに大きくなって、入園した頃思い出す♪
小さかったあなたが、もうすぐ一年生♪

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㊱

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「落ち着いて、落ち着いて」

1999年の早春
「あ~、し・あ・わ・せ」
と、1日の家事を終え、子供達が寝静まった後
真夜中に一人で浴槽に浸かっている時でした
「ふ~」
そういえばさっきテレビでやってたなぁ
ふと思い出し
『乳がんの自己診断方法』とやらをやってみました
「あるわけないけどね~」
・・・
「え?」
「ん?」
右の乳房に小豆ぐらいのしこりが…
「まさか…ね」
何度触りなおしても
やっぱ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㊲

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「がん細胞は出ませんでした」

落ち着かない1週間を過ごし、再び大学病院へ
「たしかに影が写っていますが、これが悪いものかどうかは組織を調べてみないとわかりません」
「形があまりよくないので、ちょっと気になりますね」
「胸に針を刺して組織をとる検査をしたほういいと思います」
モニターの画像を見ながら先生から説明がありました。

「そうですか」
「わかりました」
心のどこかで
「大丈夫ですよ」

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