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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉛

「ようちえんいきたくない」


「お邪魔します」
まさかこんなことになるとは思わず、
散らかったわが家へ、今日はじめましてのママ友と
そのお友達ママ友、それぞれ幼稚園の同じクラスの女の子と
その弟くん、ご一行様6名
ふたりともとってもきれいな、奥様
ひとりは、お腹の大きい妊婦さんママです。
二人はご近所で、下の子も同い年という以前からの仲良しでした
何故、私に声をかけた?
興味本位?
いやいや、親切心?
頭の中は「????」
だけれど
「どうぞ~上がってください」
ちょうどお昼時でしたが、気の利いた買い置きもなく
「え、お昼ご飯?」
「どうしよう」
とりあえず、お茶を淹れていると
「おなかすいた~」という不満げな子供たち
散らかった家に不釣り合いな2人のママ友
「どうしよう」
「どうすればいいんだ」
パニック状態の私は、食パンをトーストしておもてなしをしたのでした
一人一枚
他には何もありません
なんだか気まずい空気が流れ
ちょっと居心地悪そうに
御一行様は早々にお帰りになりました
「ふう~」
ピザを頼むとか、ウーバーはなかったけれど何か出前でも頼むとか
すればよかったのですが、そのときはまったく思いつきませんでした。
初対面で家に遊びに来られるなんて、幼稚園ママ友ってすごい
と思いましたが、私の経験不足からの対応の悪さで
気まずい思いをさせてしまい申し訳なかったと思っています。
きっと仲良くしてくださろうと声をかけてくださったのだと思います。
妊婦さんママ友とは小学校へあがってからも
ずっと仲良くしていただきました

幼稚園は親が参加する行事もたくさんありました。
発表会、運動会、遠足、親子レクリエーション、
などなど、親子で一緒に体操したり、お遊戯したり、
そういう時はおばあちゃん(母)の出番です。
若いお母さん達に混ざって
「いちに!いちに!」
「まだまだいける!」
と大奮闘
ほんとうにありがたかったです。

お弁当も週に3日ほど、早起きをして初めてのお弁当作りです。
好きなものだけ入れて、残さず食べられように工夫して、
少しは見栄えも考えて(まだキャラ弁はあまりなかったと思います)
毎日小さなお弁当箱と奮闘です。
週に1日、お迎えの日もありました。
下の子の相手もして、愛犬長男たつのりくんのお世話もして
一日はあっという間に過ぎていきます。
 
しばらくすると、娘の様子に変化が
夕食の時間になると
シクシク泣き出してしまう、
大好きなハンバーグにも手を付けず
「よるになると、あしたになっちゃう、ようちえんいきたくない」
 
あの頃の自分に言ってあげたい
「娘ちゃんは疲れているのよ、新しい幼稚園という社会で
1日神経を使い、頑張って
やっとおうちに帰れるって元気を出しておうちに帰ると
やれピアノ、やれ体操クラブ、やれママ友とのお付き合いでお出かけ…
それ、娘ちゃんがやりたがってた?
ママが、普通のママになるためにやりたかっただけでしょ?」

さあ、どうする、ママ!
 

 


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