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雑記集

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雑草という名前の草はない。 雑記という名前の記事もない。
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#人生

Sugoroku

Sugoroku

そしてふりだしにもどる

どこかを目指して行くのです。あるいは、どこかを目指すなんてしないでも出かけるのです。で、ここがゴールかななんて思う場所に着くのです。あるいは、そこがゴールだなんて気はしないけれど、ふうっとひと息ついてしまう瞬間が訪れるのです。そこに至ったかと思ったら、そこがまたスタート地点だということに気付くのです。句読点。息継ぎ。中継基地。そんなようなものかもしれません。

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現世の通行証

現世の通行証

問いを出されると、いい答えを言わなきゃという気になります。出題者の意図した関門を、私はクリアできる者ですよ〜とアピールしたくなるのです。そんな、出題者にすり寄ることもないでしょうに、そういう気になりがちなのが私なのです。

いい問題は、答えがその人によってちがう問題です。答える人の考え、その道筋、根拠としたその人の経験がしっかりしていれば、それもまた正解とされるような問題。いえ、正解といいますか

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小魚の群泳

小魚の群泳

私は33歳ですが、こどものようだと言われることがあります。それを嫌じゃないと思う私がいます。

趣味の世界に没頭していると言ってもさしつかえないのが私です。かつては、いま私が趣味としていることで生きて行ければいいと思っていました。今でも、まるっきりそのことを思わないわけではありません。けれど、そうなっていませんし、そのためにする苦労、勉強なんかに時間を費やす間さえ、その趣味の世界に捧げてしまう

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跳ねっ返りの子

跳ねっ返りの子

生まれたまちに、ずっといます。子どものころからいたまちで、いま、ぼくは結婚して子どもを育ててもいます。そんな未来がくるなんて、みじんも思ったことなかったです。

もっと、どっか行っちゃうのかと思っていました。でも、ぼくにとって大事だったのは、どこへ行くのかではなく、何をするのかだったのかもしれません。それがこのまちでもできることならば、特別どこかへ行く必要はない。そういうことなのかもしれません

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トイレに行くタイミングを図った足跡なんて、明日にでも消えるかもしれない。

トイレに行くタイミングを図った足跡なんて、明日にでも消えるかもしれない。

アイドルだって総理大臣だって、トイレに行って、出すものを出している。ひょっとしたら、トイレ以外でも出したかもしれない。そんなこと考える必要はないとおっしゃる方もあるかもしれない。確かにおっしゃるとおり、考えても考えなくても、出るものは出るだろう。

でもそうしたら、考えても考えなくてもその通りになるものは、考えなくてもいいのだろうか。たとえば、ぼくもあなたも、遅かれ早かれ必ず死に至る。そのこと

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西東京市へようこそ

西東京市へようこそ

ぼくは、生まれたまちを離れて住んだことがありません。ずっとひとつの街に住み続けているのです。同じ市内での引っ越しは2度ほどしています。一度は、両親が一戸建てを市内に建てたとき。もういちどは、じぶんが結婚したときです。

この2度目の引っ越しはまた少し変わっています。1度目の引っ越しを経験するまで住んでいたマンションに、結婚して妻となった女性とふたたび住むための引っ越しだったからです。同じマンシ

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バナナ・スムージーの朝

バナナ・スムージーの朝

なるようになるさ、なるようにしかならぬ。きみはきみのしたようになっているし、ぼくもまたそれに同じ。なんてことを言ったら、根も葉もないだろうか。茎と花くらいはあってもよさそうじゃないか? 切り花かもしれないじゃない。

今からぼくが漫画家になることは、きっともうないだろう。そんなことを思う、ぼく(33)。でも、わからないじゃないか、あと50年くらい生きるうちに何があって、何になるかなんてわからな

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偽りの装い

偽りの装い

じぶんを偽らない生き方は、なかなかしんどいものだと思います。どこかしらで、大なり小なりの仮面を被ってしまいがちです。「ほんとうのわたし」の「ある面」を、あなたはきっと見たくないでしょうから……などという(余計な)気まわしによって、わたしは偽りの仮面をかぶってしまうことがあるように思います。

「ほんとうのわたし」をそのまんま見せることが、ある時点でのわたしとあなたに少し苦しい思いをさせるという理

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ぼくの心臓

ぼくの心臓

「あなたは、時間にしがみついていやしないか?」

ぼくにそう問う者があらわれたとする。問うてきたのは、老齢の男かもしれないし、いたいけな少女かもしれない。美女でも犬でも総理大臣でも軟体動物でもかまわない。問うてくる者の姿かたちは問題じゃない。問いの内容が重要なのだ。(好きな人に贈るラヴレターの用紙に、ファミリーレストランの卓上にさしてある紙ナプキンを選ぶか、文具の専門店に置いてあるきれいなレタ

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あるになる

あるになる

みんなこどもだったわけですよね、いま生きてる大人たちみな。こどもは赤ちゃんだったし、赤ちゃんは胎児だったんですよね。胎児は受精卵だったし、べつべつの卵子と精子でした。それらは親たちのからだの中でつくられたものでした。目に見えるかたちでなかったものが、存在するようになったのがわたしであり、あなたなのですね。そんな、目にも見えなかったしありもしなかったものが服を着ていっちょまえに立ったり座ったり、話し

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道・楽・人・生

道・楽・人・生

買ったのに読まずに埋もれている本が、わたしの家にはたくさんあります。買ったことを忘れてしまっているものも中にはありますが、買ったことを覚えていて、なにかのふしにそのことを思い出して、ひっぱり出してきて読み始めるということがあります。

人間関係においても、知り合っていたけれど、深い仲になったのはあとになってからということがありますね。「あいつとはもともと地元の同級生だったけど、最近仕事で関わっ

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赤魔道士の憂鬱

赤魔道士の憂鬱

「赤魔道士の憂鬱」という名前をつけたバンドでも組んでみようかしらと、ぼくは妄想したことがあります。

「赤魔道士」というのは、家庭用ゲーム機のゲームソフトとしてはじまり、たいへん大きなコンテンツになった「ファイナルファンタジー」というロールプレイングゲームの中にでてくる「ジョブ」のひとつです。

その「ジョブ」にはいろいろあって、格闘技に長けたジョブだとか魔法に長けたジョブだとかダメージの

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11時を寝て過ごす

11時を寝て過ごす

「じぶんの年齢を3で割ったのが、いまの人生の時刻」という考えに則っていえば、今の僕はちょうど午前11時をまわったところです。

なるほど、18歳とかそこらでただいま高校を卒業していかん! としている人たちに向かって先生が語れば、「君たちはまだ朝の6時なのだから、これからどうとでもなる」という励ましの意味を伝える行為にもなるわけですね。うがった見方をすれば、たとえ18歳の時点でどんなに順風満帆で

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「わたし」の代謝

「わたし」の代謝

最近読んだ哲学関連の本に、「永遠に生きられるのはいいことか」といったような問いについて論じるものがあった。それは「死は悪いことか」と考えることにもつながる。

永遠に生きられたとしても、私らしい私が遠い未来にいなくなってしまったら、それは同一人物としての私がずっと生き続けていることになるだろうか。というのも、永遠に生き続けて、長い時間をかけてゆっくり人格が変質していった結果、かつての私とはまる

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