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イラスト使ってもらいましたnote

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イラスト使ってもらいました。さまざまな方の物語を読むことができて、とても楽しいです。描いた者としてこんな特権もあるんですね。よければご覧ください。
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#ショートショート

メイキング【イラスト使ってもらったマガジンについて】0110

メイキング【イラスト使ってもらったマガジンについて】0110

描いたイラストをみんフォトに登録し始めてから、使ってもらったイラストをマガジンにまとめるようになりました。

いやぁ、人の記事をマガジンにまとめるのって、初めはめちゃくちゃ緊張しましたね。
なんか勝手にまとめてるやついるぞ、とか怒られるのでは…と心配していましたが、ありがたいことにマガジンをフォローしてくれる方、マガジンを通じてスキやコメントをしてくれる方が遊びに来てくれて、作ってよかったなあと思

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歌詞/夜明けにサクラが吹雪いたら

歌詞/夜明けにサクラが吹雪いたら

夜明けにサクラが吹雪いたら
誰が気づいてくれるの?

たまたま通りがかった
朝帰りの女の子かな

夜明けに星が舞い降ったら
誰が気づいてくれるの?

眠れない夜に置き去りの
タバコをふかしたベランダで

ひっそり 出会った 美しい世界
君だけのものにしてもいいけど

好きな人がいるなら
絵葉書で伝えておくれ

ラッパ隊の音
小刻みなドラム
音のない景色の真ん中で
聴こえてきた行進はきっと
希望の世

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「ふわふわらいどおん」

「ふわふわらいどおん」

(雨が降りだす。)

男・あ。

男 語り・(口を開けて空をぼーっと眺める。)空から何か降ってくると口を開けてしまう。雨でも…(雪が降る)雪でも…(雷が落ちる)

(口の中に雷が。)

雷様 声・こちらに来なさい。

(雷の光に口を開けたまま連れてかれる。)

雷様 声・ふわふわらいどおん

(雲の上につく。雲の上にはソファーやテレビや机や扉がある。)

雷様・今日から君が暮らす場所だ。

男・…

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私が好きになった人は大学の教師で、仔猫に無条件の愛を与えていた

私が好きになった人は大学の教師で、仔猫に無条件の愛を与えていた

「銀座」と聞くと背筋が伸びる。

高級ブランドショップ。洗練された街並み。行き交う人々も、街並みに合わせるように整った服装をしている。ジャージ姿にスニーカーの人なんてどこにもいない。銀座だから、そういう人しか集まらないのかもしれない。銀座というひとつの街からはみ出さないように、馴染んでみせたい。

私は、自宅のドレッサーの前でいつもより丁寧に身支度をした。髪にスプレーをして湿らせ、丁寧に乾かしてブ

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ショートショート:モスキート高橋

ショートショート:モスキート高橋

 テレビをつけると、最近暗いニュースばかりが報道されている。容姿端麗で博識そうなアナウンサーが、ここ連日過重労働による失踪が増えているということを、深刻そうな表情で伝えていた。僕自身は、そのニュースをどこか他人事のように、聞いている。

*

 まだ寒い日が続くちょうど冬と春の中間地点、僕は昨夜からある深刻な問題に悩まされていた。

 それは、季節外れの小さな吸血鬼。つまり、蚊のことである。蚊だと

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幽霊船が沈まぬ朝を

幽霊船が沈まぬ朝を

冬垂れのなか
挫いたオールを引き摺りながら
私は駅へと帆を張ります

蛮性に満ちた列車への乗車はいつも心の奥が震えております
しかしながらも駅へと向かう潮の流れには逆らえず
群衆を渦の中心へと巻き込む魔の地帯

朝の切り傷の様な冷たい空気が
より私に深傷を負わせ
氷山の裏側でひっそりと私船と氷は衝突いたしました

休んで船を修理してる暇がないと
勘違いを繰り返し
連日幽霊船の様な朽ちき帆を靡かせ

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春驟雨

春驟雨

「春驟雨(はるしゅうう)」
窓際で小説を読みながら、本に出てきた単語の響きが心地よくて、私は何度か小さく口にする。

春驟雨、春驟雨。

軽やかに窓を叩く雨音に混じって、夕暮れにきらりと光が爆ぜた。

人が何かに出会うときも、雷に打たれる、なんて表現をするっけ。
頁をめくる手に、俄かに力が入る。

雨に濡れた草木が柔らかに匂い立っていた。

春雷を待つ。

春驟雨(はるしゅうう)

掌編小説200(お題:屋上からのアピール)

掌編小説200(お題:屋上からのアピール)

夜って結局でっかい影じゃん、とあいつは言った。

半袖を着ていた気がする。だったら六月か、あるいは七月ぐらいのことだったんだろう。昼休み。あいつはいちご牛乳をストローで啜って、風で膨らむ教室のカーテンをぼんやりながめていた。

「たとえば、昼間の俺たちが隠しているもの、抑えつけているもの……逆さまの自分がじつは同じ身体をシェアしててさ。でもそれが昼間に暴れたら社会的に問題だから、みんな夜こっそり解

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ショートショート「寄星虫」

ショートショート「寄星虫」

「ねえ、ママー」

 その男の子は、図鑑を見ながら甘えた声を上げた。

「キセイチュウってなあにー?」

 幼児が読むには厚くて高価すぎるその図鑑を買ったのは祖父母だった。

 子どもの教育に効果があると思って祖父母に買わせるよう誘導したのは母親だったが、今となっては子どもが読むたびに繰り出してくる「なあに?」攻撃にうんざりし、図鑑を買わせたことを後悔していた。

 今も、息子の声が聞こえてはいた

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がんばれ!ゆうき

がんばれ!ゆうき

ある日の午後。

小学校からランドセル姿の子ども達がワラワラと出てくる。
「ゆうき~」
「ゆうき~」
勇気くんらしき子がランドセルを揺らしながら走ってくる。
小学1,2年のちっちゃな男の子。
「ゆうき~こっち~」 
あっつ!男の子がこけた。
「ゆうき~」
「がんばれ、ゆうき~」
男の子が立ち上がり!ふんばってこっちにくる。
「ゆうき~」
「ゆうき~ がんばれ、こっちだ!」
「ゆうき~」 「がんばれ

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