掌編小説311 - アインシュタインの選択
「鵜ノ沢海里です。趣味は天体観測。鵜ノ沢の『鵜』はペリカン目ウ科の鳥の総称で、日本では古くから漁業や観光業の友でした。というわけで、ぜひ鵜ノ沢とも仲よくしてくれたらうれしいです」
一礼して着席するとぱちぱちとまばらな拍手が起こった。自己紹介をするとき、僕はいつもこの定型文を使う。小学生のときにつくったひな形からほとんど手を加えていないので子供じみて聞こえるかなと不安もあったけれど、拍手はあたたかかったし、何人かの生徒は小さく笑ってくれている。よかった。先生が次を促して、うし