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不思議な仕事をしています

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人体模型との交渉から閑古鳥の羽毛採取まで不思議な仕事をしている人たちの日常小説シリーズです。
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記事一覧

掌編小説136(お題:理科準備室に住みます)

「増田君だね?」 民家の前に植わったアジサイの青や紫を眺めていたら、声がかかった。右にふ…

佐々木麦
4年前
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掌編小説144(お題:公園を耕しています)

このあたりはいいね、と多賀谷さんは言った。第三区児童公園。ベンチの裏に広がる草むらの一角…

佐々木麦
4年前
3

掌編小説145(お題:街灯の下でお辞儀をしています)

「混ざりません?」 益子が言うので、志岐は彼女のほうにその無表情をむけた。くるり、という…

佐々木麦
4年前
3

掌編小説151(お題:コンビニの地下で清掃をしています)

「あ、ここのコンビニよぉ」 助手席で下地さんがのんびり前方のコンビニを指さしたので、左折…

佐々木麦
4年前
9

掌編小説182(お題:画面のむこうに帰ります)

「夏目漱石は?」 「煮詰め漱石」 「三点」 「なんでだよ。漱石が無類のジャム好きだった話…

佐々木麦
3年前
9

掌編小説213(お題:梅雨前線でリンボーダンスをしています)

「おまえが増本か」 どこもかしこもシャッターが閉まった寂れた商店街の路地裏。低い中年男の…

佐々木麦
3年前
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掌編小説218(お題:ポンチョを着て出没します)

目的地付近に到着しました、とカーナビが音声案内を終了したので手近なコインパーキングにミニバンを停める。 「着きましたよ」 「あいよ、おつかれさん」 パーカーのポケットにスマートフォンを突っこんで織田さんは車を降りた。雨が降っている。フードをかぶった織田さんがうしろへまわりこんでドアを開けたのでわたしもすぐあとにつづいた。黒色の味気ないボストンバッグのうち小さなほうを引きよせ、まずは、骨組みをつくる。 「釜須ちゃんさ」と、織田さん。 「はい」 「最近、なんかあったの

掌編小説255(お題:辛気臭い蜃気楼を吐いています)

ボタンをきちんと留めていてもスーツの裾がパタパタたなびく。船首の先に広がる大海をぼんやり…

佐々木麦
3年前
3

掌編小説282(お題:閑古鳥の羽毛を拾っています)

神崎和菓子店は郊外の小さな商店街の中にあった。 例に漏れず住宅兼店舗になっていて、草色の…

佐々木麦
3年前
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掌編小説308 - 生死の境をうろうろしています

古い集合住宅の一角。六畳の洋室の片隅で、猫が壁に爪をたてている。右の前足を引っこめるとま…

佐々木麦
2年前
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掌編小説310 - 窓から鳩を飛ばしています

鳩山探偵事務所の「鳩山」はもちろん単純に俺の苗字だが、文字どおり鳩が山のように集まること…

佐々木麦
2年前
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