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蛸文(たこふみ)の読書記録

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僕の読書記録です。月に3〜4冊ぐらいのペースで更新してます。
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#人間

【四色問題】難問をめぐる数学ドラマ

【四色問題】難問をめぐる数学ドラマ

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜四色問題とは?〜本書は、「四色問題」が解かれるまでの、数学者たちの苦悩の歴史を通じた数学ドラマが描かれている。

まず、「四色問題」とは何か?
最大でも四色あればどんな地図でも隣り合う国々が違う色になるように塗り分けられるのか?という問題である。

一見簡単そうなこの問題に、多くの数学者が挑戦し、問題が解かれるまで124年の歳月を費やすこととなった。
数学の

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【夜雨の声】こころの中に自然がある

【夜雨の声】こころの中に自然がある

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜読むほどに味わい深くなる岡潔さんの言葉〜「数学する身体」をきっかけに知った岡潔という日本を代表する数学者。「数学する人生」「春宵十話」「人間の建設」などを読んできたが、どれを読んでも興味深い。
岡潔さんの文章は平易な言葉だが、理解が出来ない点が多い。しかし、何か自分の内面に新しい空間を生み出すような快感がある。
おそらく、この感覚が岡潔さんの言う「頭で理解す

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【景気を読みとく数学入門】経済学と数学をバランス良く

【景気を読みとく数学入門】経済学と数学をバランス良く

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜経済を題材にした数学本〜本書は数学入門と銘打っていながら、その実態は経済学の本とも言える。
長い不況はなぜ起こるのか?バブルはなぜ起きるのか?そういった経済の疑問を数式を駆使して一般向けに解説している一冊である。なかなか面白いアプローチで非常に楽しんで読めた。

数式を駆使する、と言っても難しい公式や数学理論が出てくるわけではなく、使われる数式は平易なものば

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【ひとはなぜ戦争をするのか】天才2人の戦争論

【ひとはなぜ戦争をするのか】天才2人の戦争論

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜忘れ去られていた、天才2人による戦争論〜アインシュタインとフロイトが「戦争」をテーマに書簡を交わしていた。
そんなものがあったのか、と僕はこの存在を知った時に驚いた。

20世紀を代表する物理学者と心理学者が書簡を交わしていた、というのに、その存在はほとんど聞いたことが無かった。

発端は1932年に国際連盟からアインシュタインへなされた依頼だ。
「今の文明

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【ニュータイプの時代】新しい世界のための新しいタイプの人物像

【ニュータイプの時代】新しい世界のための新しいタイプの人物像

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜安易な自己啓発本ではない〜「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」「ビジネスの未来」に引き続き、3冊目となる山口周さんの著作。
山口周さんは非常に好きな著作家さんの1人である。「良い社会とはなんだろう?」という疑問を考えるにあたり、前2冊で新しい視点を与えてくれた。

さて、本書はタイトルから見るに「新しい時代で生き抜くために求められる人材」を語るよ

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【学生との対話】問うことの重要性

【学生との対話】問うことの重要性

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜学ぶ意義、学問の意義〜先日読んだ岡潔さんとの対談「人間の建設」でその存在を知った小林秀雄さん。

岡潔さんと小林秀雄さんに共通する考え方は、学問は知識ではなく精神を高めるものである、という点だ。

学問は人間が幸福になるために存在し、自分の血肉とするためには心から精神から理解しようと努めなければいけない。
学問の先にあるのは人間の存在で、人間のために学問を

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【人間・この劇的なるもの】美しく力強い人間論

【人間・この劇的なるもの】美しく力強い人間論

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

はじめに。
本書は間違いなく素晴らしい一冊である。
しかしながら、以下に書く僕の拙文により著者がただのニヒリストや個性否定論者のように思われてしまうのは不本意である。
この記事を読んでそういう風に感じてしまうのであれば、それは間違いなく僕の文章力に原因があり、本書は決してそういう安易な内容の本ではない、という事はまずお伝えしておきたい。

〜本質を捉えた言葉

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【人間の建設】何度でも読みたくなる天才2人の対談

【人間の建設】何度でも読みたくなる天才2人の対談

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜文系的天才と理系的天才の対話〜本書は、日本語による近代批評の表現を確立した小林秀雄さんと、多変数解析関数論の分野で独創的な業績を残した岡潔さん、2人の対談である。なお、数学関連の本を読んでいると頻繁に出てくる岡潔さんの著書を読んでみたくなり本書を手に取ったわけで、不勉強ながら対談相手の小林秀雄さんについては全く知らない人だった。

しかし、頭の良い人たちの

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【哲学と宗教 全史】日本人の弱点を体系的学ぶ名著

【哲学と宗教 全史】日本人の弱点を体系的学ぶ名著

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜時系列順に学ぶ哲学と宗教〜めちゃめちゃ面白い!
これは間違いなく今年僕が読んだ本の中で、NO.1だ。

哲学や宗教、というのはなんともとっつきにくい分野で、僕もかなり苦手な分野だ。マルクスの「資本論」やプラトン、アリストテレスなどに挑戦したことがあるが、いずれも途中で読むのをやめている。
聖書にも挑戦したこともあるが、こちらも同じ結果だった。

哲学と宗教

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【数学する身体】数学は身体と心をつなぐ

【数学する身体】数学は身体と心をつなぐ

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜数学する身体〜「数学する身体」
読み終えた後に「なんて素晴らしいタイトルなんだろう」と感じる。

本書は、数学をテーマに書かれたエッセイであり「数学とは何か」「数学とは何であるべきか」を問うものである。
序盤こそ数学に関する話があるものの、中盤からは数学を通した「身体性と心」に関する話題へと移り変わる。

僕らは数学を道具として使うことを当然とし、実際に数

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