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【景気を読みとく数学入門】経済学と数学をバランス良く

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜経済を題材にした数学本〜

本書は数学入門と銘打っていながら、その実態は経済学の本とも言える。
長い不況はなぜ起こるのか?バブルはなぜ起きるのか?そういった経済の疑問を数式を駆使して一般向けに解説している一冊である。なかなか面白いアプローチで非常に楽しんで読めた。

数式を駆使する、と言っても難しい公式や数学理論が出てくるわけではなく、使われる数式は平易なものばかり。数学から離れている人にも十分読める内容だ。
経済のニュースや話題を聞いてもうまく理解出来ない人は、本書が一つの大きなヒントになることは間違いないだろう。


〜経済学は「生臭い」〜

さて、著者があとがきでも書いていたが、経済学は「生臭い」学問である。

性向や思考、快楽さなど、「定性的」とも言える人間の感情や考えを、「定量的」に数式で表してしまう。自分の考え方や感情を目の前で数式にされてしまうのは、自身の心のうちを見透かされているような気になってしまう。

経済学とは、すなわち、人の考えや行動を数値化して分析する学問と言える。そういった学問が、心理学と結びついて行動経済学が生まれるのも当然の帰結なのだろう。

本書では古典経済学にも多少触れているが、その時代から「人間はこういう行動をする」「人間はこの時こう考える」というモデルが想定されて、分析がなされている。
その時代時代での人間の印象に経済モデルが影響を受けているところも経済学の面白さのひとつだと思う。

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