#展覧会
北斎のビッグウェーブ
「この絵だわ」
すみだ北斎美術館の一角で、ウサギとカメは一枚の浮世絵に目を奪われていた。白い水しぶきを纏った大波が、今まさに、小舟を漕ぐ人の頭上に襲いかかろうとしていた。
遠くに見える富士山が、波間からその様子を静かに見守っている。言わずと知れた、葛飾北斎の描く富嶽三十六景の神奈川沖浪裏だ。
絵の中の波はまるで生きているかのように、今にも額縁から飛び出してきそうだった。
「流石は北斎のビッグウ
謎をよぶ デ・キリコ展
国際子ども図書館を過ぎたウサギとカメは、やがて東京都美術館に到着した。正面玄関のエスカレーターを降り、二人は「デ・キリコ展」の世界に身を委ねた。
ジョルジョ・デ・キリコ。その人物は謎に包まれている。時に画風を変え、さらには自らの作品を偽作だと訴え、裁判にまで発展させた画家だ。デ・キリコの作品は、まるで時空が歪んだかのような、不思議な雰囲気を纏っており、二人はその深遠なる謎に向かった。
「デ・キ