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詩『海の日を』 シロクマ文芸部‘海の日を’
海の日をパンにのせて
海の日をコーヒーに浮かべて
かすかにふるえてしまう胸に
泡沫の夢が漂って
はじけて消えても はじけて消えても
素知らぬ顔で私は今日に触れていく
怪獣となって砂漠で暮らしている
かつて王子だったあなたが
もしもいつか
龍巻にのぼれたのなら
星となって森で暮らしている
かつて人魚だった私が
もしもいつか
箒にまたがれたのなら
その時は
あの海で逢いたい
何度も 何
詩『手紙には』 シロクマ文芸部お題‘手紙には’
手紙には文字しか書いていなかった
文字が主体なものだから当然なのだが
そうではなく
二枚びっしりと
ボールペンで
ギュウギュウに
所々丸めた線と
二枚目には
一枚目の筆圧の跡が
ボコボコと
目がウロウロする程
文字がひっつめてあっただけだった
このような文字を書く人なのだということと
この文字も
おそらく本来の彼の書く文字ではないのだろう
ということも背中合わせで
手紙には文字しか書いていなかっ
詩『月曜日』 シロクマ文芸部 お題『月曜日』
月曜日があと1時間で来てしまうというのに
炎の消火が終わらない
どうしよう
ここから月までどう頑張っても間に合わない
流れ星も生憎つかまらない
兎たちがお腹を空かせて待っている
余分に置いてきたベリーもきっと空っぽだ
向日葵たちにはもっと仲間が欲しいとせがまれて
リュックは詰め込んだ種でずっしり重い
明日は暗幕も張らなくてはいけないのに
早く行かなければ
早く行かなければ
目の前ではまだ炎が轟々と
詩『紫陽花を』シロクマ文芸部 お題“紫陽花を”
紫陽花を返しに来ました
もともとあなたの物ですので
蜃気楼が夜も現れるのでしょう?
月の光もヒリヒリする程乾いているのでしょう?
今はもう四六時中なのでしょう?
あれから幾時が過ぎ
そろそろかと思いまして
私はそこまで非道ではないですし
暇でもないので
ほら ご覧なさいよ
したたり落ちているでしょう
毎日欠かさず
そう 夜も共にしていたので
ほら この通り
あの時のままをポストに入れておきます
雨