マガジンのカバー画像

ポップカルチャーは裏切らない

640
”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

2023年ベストアルバム トップ20

2023年ベストアルバム トップ20

今年はびしっと厳選して20枚で1年を総括。ライブカルチャーの復権と揺れる世界、喜びも悲しみも猛スピードで切り替わる時流の中で、この音楽を聴いてる間はきっと大丈夫だ、と思えたアルバムを選びました。

20位 ROTH BART BARON『8』

三船雅也がドイツに拠点を移してからの1作目。ここしばらく毎年凄まじいアルバムをリリースし続てけいるが、本作はまた違う場所へ飛ぼうとする萌芽を感じた。エレキ

もっとみる
2023年ベスト映画 トップ10

2023年ベスト映画 トップ10

劇場公開から配信までの間隔がどんどん狭まって、年末には9月公開くらいの映画ならば(特にU-NEXT)配信で観れちゃうようにはなってるのだけどこうして振り返ると劇場鑑賞のインパクトはやっぱ強い。来年は恐らくここまで映画館には行けなくなるはずなので、このトップ10を大事に噛み締めます。

10位 正欲

欲望が共有されない寄る辺なさ、欲望を共有することで生まれる信頼、という点でとても根源的な問いにまつ

もっとみる
2023年ベストトラック トップ20

2023年ベストトラック トップ20

今年からは20曲に。選りすぐりの良い"うた"ばかりです。

20位 Cody・Lee(李)「さよuなら」
つくづく彼らは生活のバンドなのだな、と思う。メンバー脱退をここまで明け透けに歌にするとは。本当の想いを隠し切れないという誠実さ。

19位 Bialystocks「幸せのまわり道」
フォークの装いでどこまでリーチできるか、それを何歩先にも進めてしまう存在が、ど真ん中を撃ち抜いてきた。この温かさ

もっとみる
令和ロマン、爆発の夜を終え

令和ロマン、爆発の夜を終え

あれはそう、とても暑かった日。三密回避でステイホームな日々が続いたコロナ初年、夏にオープンしたよしもとの福岡劇場。間引かれた席の寂しげな光景。チョコレートプラネットを観に行った寄席にて私は出会ってしまう。1組目に出た令和ロマンの漫才「ナンパ」に全くの初見で心奪われたのだ。

競技漫才的な熱量とは無縁の放課後ユートピアのようなニコニコできる楽しさ。おもしろフラッシュ的な感性と「ボボボーボ・ボーボボ」

もっとみる
令和ロマン、爆発の夜に向け

令和ロマン、爆発の夜に向け

数年に渡って贔屓にしてきた芸人がブレイクを果たそうとしている。令和ロマンが12/24開催のM-1グランプリ2023の決勝に進出し、ネタを披露するのだ。昨年の敗者復活戦で大きくその名を轟かせ、その勢いを維持したまま初のファイナリストとなった今年。昨年からの待望感もあり、明らかに勢いがノリきった状態である。初決勝ながら、優勝も大いにあり得ると思う。

19時台の大型テレビ番組で彼らのネタが爆発してしま

もっとみる
メンタルヘルスと2023年のポップカルチャー③デバイス化していく心について

メンタルヘルスと2023年のポップカルチャー③デバイス化していく心について

ポケモンスリープがリリースされた時、これはとてもユニークなゲームだと思った。眠りを測定し、その深度によって出てくるポケモンが違う。だから今日は寝つきが悪いと思ったとしても、「まぁいつもと違うポケモンに出会えるからいいかぁ」と解釈すれば結果的に健やかな睡眠に繋がるのではないかと考えたのだ。生活リズムにフィットする革新的なゲームだと思った。

しかし結果的に日中はばたばたとカビゴンに食べ物を与え、どの

もっとみる
アジカン精神分析的レビュー『プラネットフォークス』/他者と生きるためのエンパシー

アジカン精神分析的レビュー『プラネットフォークス』/他者と生きるためのエンパシー

10thアルバム『プラネットフォークス』(2022.03.30)

このアルバムの制作はコロナ禍に突入する時期に大半が行われた。2020年以降、世界中で猛威を奮ったウイルスがもたらした影響は計り知れない。アジカンもライブツアーが中止となり、ライブ活動が再開になった後も観客からの声がない「リライト」や「君という花」を演奏をし続けた時期もあった。通常ではない日々を積み重ねる中で本作は少しずつ形になって

もっとみる
超常現象の現在地/「サムシング・イン・ザ・ダート」「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」

超常現象の現在地/「サムシング・イン・ザ・ダート」「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」

フィクションに触れるならせっかくだし見たことのない世界を見てみたい。そうなるとやはり超常現象が出てくるものを欲してしまう。それも約束された超大作よりも、どっちに転ぶか分からない変な予感のするやつ。そういうわけで観た2作はどちらも超常現象を今この時代に描く意味に溢れていた。

サムシング・イン・ザ・ダート「ムーンナイト」「ロキ シーズン2」というMCUドラマの傑作2本を手掛けたジャスティン・ベンソン

もっとみる