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映画レビュー【映画の中の人生】

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悩み事だらけの私は、映画で描かれる人々の生き方を観て、励まされ、救われ、生きる術を学んできました。そして、わずか2時間前後のストーリーに凝縮されたキャラクターたちの人生から、本当… もっと読む
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#人生を変える

ホリデイ(2006)

ホリデイ(2006)

失恋した2人の女性が休暇旅行で見つけた愛
新しい環境へ飛び込む勇気を与えてくれる

どんなに好きでもうまくいかない恋って、ありますよね。『ハート・オブ・ウーマン』『恋愛適齢期』など、大人の微妙な恋愛心理を細やかに描き出すナンシー・メイヤーズ監督が、そんな切ない恋の悩みを抱えた2人の女性を主人公に、キュートでロマンチックなラブストーリーを完成させました。

2000年代初頭、欧米で流行していた「ホー

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それでも夜は明ける(2013)

それでも夜は明ける(2013)

黒人奴隷の苦難の日々が辛すぎる
俳優の渾身の演技が生み出した狂気の世界 

南北戦争以前、アメリカ南部で黒人が奴隷として虐げられるなか、仕事のためにアメリカへ来た黒人など、「自由黒人」という地位を与えられ、北部で普通の生活をしていた人々もいたそうです。

1841年、アメリカ北部で自由黒人として家族と穏やかに暮らしていたアフリカ系アメリカ人ソロモン・ノーサップは、白人紳士に誘拐されて南部へ売り飛

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100歳の少年と12通の手紙(2009)

100歳の少年と12通の手紙(2009)

限りある人生を精一杯生きる
改めて見つめ直す“人生の意味”

死期が目前に迫った時の悲しみや苦しみは想像を絶しますが、そうなった時、人は何を考え、どう生きていくのでしょうか。この物語の主人公である10歳の少年オスカーは、神に寄り添い、心を成長させることで、わずかに残された日々を謳歌しました。

ひたむきなオスカーが“短くて長い”人生の中で感じ、学んだことは、“人生の意味”を見失いがちな悩める現代人

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わたしは最悪。(2021)

わたしは最悪。(2021)

結婚、子ども、キャリア……、理想的な人生とは?
アラサー女性のやるせなくも、刺激的な自分探し

ダークで、シニカルな視点で女性の生き方を見つめたノルウェー映画です。

自分にピッタリあった生き方を模索する女性ユリアの20代半ばから30代までの日常が12編のエピソードで綴られています。

恋もキャリアも、なんとなく満ち足りないと感じ、新しいものに目移りしてしまうユリアの行動はかなり突飛で、〈わたし

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さよなら、僕のマンハッタン(2017)

さよなら、僕のマンハッタン(2017)

人生に悩み、もがく大人たち必見
大人の街ニューヨークに癒されるヒューマンドラマ

大都会ニューヨークを舞台に、人生の進路に惑う青年の心の成長を描くヒューマンドラマです。

政治や経済、文化や芸術など、さまざまな分野で革新的なムーブメントを起こしてきたニューヨークは、その華麗でエキサイティングなイメージから、夢や憧れの街として、多くの人々の心を捉えてきました。

しかし、夢を叶えた成功者がいる反面、

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プアン/友だちと呼ばせて(2021)

プアン/友だちと呼ばせて(2021)

失われた愛を求める過去への旅
洗練された映像で魅せるタイ映画

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(’17年)で注目されたタイ出身のバズ・プーンピリヤ監督による、ニューヨークとタイを舞台にした、ちょっぴりほろ苦い友情と愛の物語です。

『恋する惑星』(’94年)、『2046』(‘04年)のウォン・カーウァイがプーンピリヤ監督の才能に惚れこみ、製作総指揮を務めています。

ウードが元カノに会い

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ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画(2019)

ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画(2019)

不可能に挑んだインドの火星探査ミッションとは?
ポジティブになれる楽しいインド映画

2014年、インドがアジアで初めて火星探査機「マンガルヤーン」の打上げに成功しました。その快挙までの軌跡をユーモラスに描いた本作は、インド映画らしいポジティブなパワーに溢れた作品です。

未熟な技術や低予算、天候の問題など、次々に訪れる困難をインドの“ジュガード”(創意工夫)の精神で解決していきます。その中心にな

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AIR/エア(2023)

AIR/エア(2023)

世界的ブランド “エア・ジョーダン”を生み出した
仕事に熱いナイキの社員が起こした痛快逆転劇!

共同脚本を務めたヒューマンドラマ『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(‘98年)が高い評価を受けたマット・デイモンとベン・アフレック。その後、2人とも主演映画は引きも切らず、とくにマット・デイモンは演技派俳優として圧倒的な存在感を発揮。また、ベン・アフレックは監督を手がけた『アルゴ』(’12年)が

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イン・ザ・ハイツ(2021)

イン・ザ・ハイツ(2021)

移民たちのラテンパワーがみなぎる!
元気になれるミュージカル映画

ニューヨークのマンハッタン北部に実在する地区ワシントンハイツはドミニカやプエルトリコなど、ヒスパニック系の移民たちが暮らすコミュニティとして知られています。

そんな大都会ニューヨークの片隅で、逆境にめげず、自分らしい生き方を模索する移民の若者たちの姿を追った傑作ミュージカルの映画化です。

映画は、南の島のような穏やかな海辺でド

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60歳のラブレター(2009)

60歳のラブレター(2009)

人生の終盤で気づく、本当に大切なこと
かけがえのない人のために贈る渾身のラブレター

3組の熟年のカップルが織り成す味わい深いラブストーリーです。

原案は、三井住友信託銀行が2000年より行っている同名の応募企画。「長年連れ添った夫婦が口に出しては言えない感謝の言葉を1枚のハガキに綴る」というピュアなコンセプトは、すったもんだの大人の世界で疲れ果てた人々の心に響いたのか、企画開始1年で書籍化、2

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フリーダム・ライターズ(2007)

フリーダム・ライターズ(2007)

「書くこと」で自由をつかんだ
熱血教師と移民の高校生たちの感動の記録

近年、ブログやインスタ、YouTubeなど、SNSを通して、自らを発信することで人生を変えている人々が大勢います。それぞれの意見や経験を、それぞれのアイデアで表現した投稿を読んだり、動画を見たりしていると、人間は誰もみな特別で、無限の可能性を秘めているのだ、とつくづく感じます。

この映画は、弱冠23歳の女性教師と無力の高校生

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ハウルの動く城(2004)

ハウルの動く城(2004)

老いの戸惑いも、戦争の苦しみも乗り越えて! 
恋する90歳のソフィー婆ちゃんの活躍に注目

戦争や高齢化社会など、世の中には憂慮すべき問題が溢れ、最良の解決策は当分見つかりそうにありません。

宮崎駿監督の『ハウルの動く城』は、これらの厳しい現実を反映させながらも、押し付けがましいメッセージはありません。“素直な心で感じてほしい”というのが監督の願いで、公開時、作品を宣伝するための資料は一切公開し

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ミス・フランスになりたい!(2020)

ミス・フランスになりたい!(2020)

自分らしく生きる勇気を与えてくれる
フランスらしい個性的なサクセスストーリー

フランスの美人コンテスト「“ミス・フランス”になりたい」という無謀な夢に挑戦した“男性”の、苦難と愛に満ちた道のりが描かれます。

孤独感に押しつぶされるアレックスは、たくましくて誇り高いローラ(ティボール・ド・モンタレンベール)や、厳しくも情に厚い下宿先の女主人ヨランダ(イザベル・ナンティ)などの貧しくも心豊かな仲間

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世界最速のインディアン(2005)

世界最速のインディアン(2005)

あきらめず、挑戦することの素晴らしさを伝える
心が癒され、元気になれる良質のロードムービー

ニュージーランドからアメリカへ、〈世界最速のインディアン〉になるために旅立った伝説的ライダー、バート・マンローの夢と勇気のロードムービーです。

2007年に日本公開された映画ですが、名優アンソニー・ホプキンス主演作ながら、それほど大きな話題にはならなかった気がします。でも、本当に楽しくて、素敵な映画です

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