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わたしは最悪。(2021)

結婚、子ども、キャリア……、理想的な人生とは?
アラサー女性のやるせなくも、刺激的な自分探し

 
ダークで、シニカルな視点で女性の生き方を見つめたノルウェー映画です。

自分にピッタリあった生き方を模索する女性ユリアの20代半ばから30代までの日常が12編のエピソードで綴られています。

恋もキャリアも、なんとなく満ち足りないと感じ、新しいものに目移りしてしまうユリアの行動はかなり突飛で、〈わたしは最悪。〉と自嘲してしまうのも、うなずけます。それでも、理想の人生を求め続けるユリアの姿に次第に寄り添ってしまいます。

アーティスティックな街ノルウェー・オスロを舞台にした斬新なラブストーリーは、第94回アカデミー賞®で脚本賞と国際長編映画賞にノミネートされるなど、世界的な評価を受けました。

【ストーリー】
成績優秀で医学部に進学したユリア(レナーテ・レインスヴェ)は安定のために医師になることに疑問を持ち、やりがいを感じた心理学を学ぶことに。しかし、自分は「視力がいい」と感じたことから、心理学を辞め、カメラマンを志すも、またもや辞め、現在は書店員をしています。
恋愛では、数人の恋人を経て、グラフィックノベル作家として成功した年上の男性アクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)と恋に落ち、同棲を始めます。

子どもがほしいアクセルと、まだ自由でいたいユリアが揉めるエピソードや、多忙なアクセルに合わせる生活に虚しさを感じるユリアが偶然出会った男性アイヴィン(ヘルベルト・ノルドルム)と“どこから浮気か?”と語り合うエピソードなど、結婚や子ども、キャリアといった人生のターニングポイントに直面したアラサーの女性の戸惑いが赤裸々に描かれます。

ユリアを演じたレナーテ・レインスヴェは本作が映画初主演。あどけなさが残り、とてもかわいらしい風貌ですが、大胆な性描写にも挑戦して、悩めるユリアを見事に演じ切り、第74回カンヌ国際映画祭女優賞に輝きました。

自分の感性の赴くままに生きてきたユリアですが、やがては尽きる命の現実に直面し、自分の生き方を見つめ直すことになります。

「理想の人生」を生きたいけれど、そもそも、何が「理想的なのか?」と感じている人も多いでしょう。

好きな人と結婚して、やりたい仕事をして、愛しい我が子がいる人生は理想的なのでしょうか?〈最悪〉なユリアとともに、自分なりの〈最高〉な生き方を考えてみてはいかがでしょうか?


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