2023年12月の記事一覧
感動の振幅が小さくなった。
いつの頃からか、感動することが少なくなった。その兆候がみられたのは、25歳を過ぎたあたりからだった。
映画をみても、漫画を読んでも、それほど面白いと感じられない。高校生の頃なんて「交響詩篇エウレカセブン」にどっぷりとハマリ、空を毎夜見上げては、月光号が僕を迎えにくる妄想をして楽しんでいたのに…。
やっぱり、これまでの人生でさまざまな物事に触れてきたから、似たような刺激に心身が慣れきってしまった
電話越し、16年ぶりの久しぶり。
夜食を食べてお風呂に入り、ひと息ついていた午後9時過ぎころ。パソコンでYoutubeを見ていると、LINEの着信音が突然鳴り出した。表示されている発信者は幼なじみだった。幼なじみとは29日の飲み会で会ったばかり。
『そういえば、30日はバレー部仲間で集まって宅飲みをするって言っていたっけな。こんな夜遅くに電話をしてくるってことは、きっと自分に関わることで盛り上がったんやろうな』
などと思いなが
あとどんくらい笑えるのだろうか。
とある日の午後。買い物を終えた僕は、河川敷沿いの喫茶店に入った。眼下に広がる河川敷のグラウンドでは、ユニフォーム姿の野球少年たちが一生懸命に白球を追っている。
読みかけの小説を開く。数人の小学生が、ひと夏の大冒険をするといった、ベタな内容の小説だった。ただ、30歳をこえてもなおクソガキの僕にはクリティカルにヒットするテーマだ。
物語のなかの登場人物たちは、小学生というだけあって、とてもよく笑っ
真顔に戻るエレベーター
会社員時代に、取引先の人とよく商談を行っていた。会社にはエレベーターがついており、出迎えと見送りをよくしていた。
最初の頃は、どんな表情をつくればいいのか、僕はいつも迷いがちだった。だから、同席する先輩や上司の表情を観察していた。
エレベーターの扉が開くまで、彼らはずっと真顔だった。感情が表情にあらわれる気配は微塵も感じられない。僕はそれに倣い、無表情を保った。
エレベーターの階数をしめすラ
笑みがこぼれるその瞬間を。
嬉しいとき・楽しいとき・幸せなとき・わくわくするとき…。僕たちホモ・サピエンスは、いろんな“とき”に思わず笑みをこぼす。
もちろんそれは、ポジティブな“とき”だけではない。たとえば、嫌いな人に不幸が降りかかったときや、悪だくみをしているときみたいな、一般的にネガティブとされる“とき”にも笑みがこぼれちゃうことだってあるだろう。
ただやっぱり僕は、ポジティブな意味で笑うのが大好きなのだ。そして、
10年ぶりの久しぶりを。
きたる年末の29日に、中学時代の同級生と久しぶりに集まることになった。僕も含めた男女あわせた5人で、小ぢんまりとした飲み会を居酒屋でする運びになった。
そのうちの2人とは、今でも深い交流がある。1人は保育園・小学校・中学校・高校が一緒の幼馴染の女の子だ。
そして、もう1人は中学校が一緒の男の子。彼は就職を機に東京で働いていたので、僕も東京にいた頃にしょっちゅう遊んでいた。
今回の飲み会にやっ
夜にだらんと寄りかかる。
僕は根っからの朝型人間だ。午前5時ころに起床して行動を開始し、12時くらいまで集中して物事に取り組む。個人的にはこの時間帯がゴールデンタイム。頭がとても冴えわたり、スムーズに業務や趣味が進むんだ。
12時を過ぎてからは徐々に集中力が低下していき、夕暮れ時には完全になくなっていることがほとんどだ。どれほど気持ちを奮い立たせようと努力をしてみても、まったく効果がみられない。
だから僕は、日没後は夜
旅、言葉、グラデーション
日本全国を旅していると、その土地土地の方言に出会える。
青春18きっぷを使い、鈍行電車に揺られながら目的地を目指す。長距離を移動するときは、複数の県をまたぐことは珍しくない。
暇つぶしがてらに、電車で話す人々の言葉に耳を傾ける。聞き慣れないイントネーションで、これまた聞き慣れない言葉を時折はさみながら談笑する女子高生たち。
何を喋っているのか理解できない部分が所々でてくる。そんな部分では何を
寒波に見舞われた夜。
寒さが厳しい本格的な冬に、とうとう突入した感がある。なんでも巷では、“今季最強の寒波が襲来”などと騒がれているらしい。
由利本荘市の片隅にあるここ限界集落は、一夜にして白銀世界へと早変わりした。朝起きて外に出てみると、あたり一面が真っ白に染め上げられていた。
吐く息は白く、指先がすぐにかじかんでくる。時間は午前5時ころ。分厚い雪雲に覆われた空の下で、近所の人々が雪寄せに精を出している。
みん
ためらわずに連絡できるか。
ほとんどの人に友達はいる、と思う。幼稚園や保育園からはじまり、社会人になるまでに数多くの人々と知り合った。そのなかには、親しい仲になった人もいる。
しかし、自分や周囲の環境が変わるなかで、連絡をとる機会が徐々に減っていった人も数知れない。そんな人たちと久々に話したいなと思った際、躊躇せずにメッセージを送れる人と、そうではない人がいる。
得体の知れないこの“ためらい”は多分、その人にどのくらい自
なんて名前をつけたんだろうか。
高校時代に付き合っていた彼女と、子供につける名前について話したことがある。
お互いの高校のちょうど中間地点にある、市役所に隣接している大きな公園で落ち合う。近くのベンチに並んで腰かけ、学校で起きた面白い出来事やテストの話など、なんてことはない話に興じた。
「自分の子供にどんな名前をつけたい?」
彼女から唐突に質問された。
「うーん、難しいなあ。空とか海とかって名前にしたいかな。遥佳は?」
歯医者の海で見上げる月夜。
奥歯の銀歯をなおすために歯医者に訪れた際、その隣の歯が虫歯に侵されていることが判明した。のちのちのことを考え、治しておいたほうがいいと言われたので、治療に踏み切る。
今日がその治療日だった。もともと、学生時代に約2年ほど矯正治療をしていたので、過去には頻繁に歯医者へ通っていた。矯正治療を終えてからは、歯医者へ行く機会はほとんどなかったように思える。
久方ぶりの歯の治療は、なんだか懐かしい気分に