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何度でも読みたい

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何度でも読みたいすてきなnoteたち。
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#小説

noteの記事タイトルの付け方について、コピーライターが真面目に考えたら、13の技にたどり着いた。

noteの記事タイトルの付け方について、コピーライターが真面目に考えたら、13の技にたどり着いた。

記事タイトル。
そいつは、今日もどこかで誰かを悩ませている。

一ヶ月かけて綴った渾身の10,000文字も、記事タイトルがイマイチだとあっけなくタイムラインの底なし沼に沈んでしまう。記事タイトルが優れていればスキ数やビュー数が大きく伸びることもある。すべてのnoteは記事タイトルに命運を握られていると言っても過言ではないだろう(敢えて大袈裟に言う)。

noteは、会員登録者者数500万人(202

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いつだって私はわがままで、空の色をかき混ぜる。

いつだって私はわがままで、空の色をかき混ぜる。

忘れられない匂いがある。

それは雨の匂い。それは草の匂い。それは土の匂い。それは汗の匂い。それはスニーカーの匂い。それは髪の匂い。それはボールの匂い。それは太陽の匂い。それは午後の匂い。それはコンクリートの匂い。それは、名前も知らない、花の匂い。

光の粒で水面が濡れる。川は明日へと流れてゆく。ゆらゆら、ゆらゆら。電車が真っ赤な橋を渡る。向こうには街がある。静かで賑やかで暗くて明るいあの街で、き

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青より青く。

青より青く。

海を見たいなあ。

夏梅(なつめ)から深夜にメッセージが届いた。僕は急いでレンタカーを手配し、夏梅に予定を確認する。ここから海までどれくらいの距離があるのか、見当もつかないのに。

まだ日が昇りきらない薄明るい田舎道。青紫の住宅街は、ひっそりと静まり返っている。夏梅の家の近くまで迎えに行くと、すっぴんの夏梅がするりと音もなく助手席に座る。

「久しぶり、けんちゃん。元気?」

春ものの薄手のセータ

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ちゃんと有料 note を書こう、あなたの商品・サービスを案内しよう:緊急事態宣言生活5日目。 P103.

ちゃんと有料 note を書こう、あなたの商品・サービスを案内しよう:緊急事態宣言生活5日目。 P103.

あなたのお店(ビジネス)のシャッターは、ちゃんと開いていますか?

たとえば、です。 note を書いているけれど、自分のやっている仕事やライフワークのことを紹介しない人がいます。もしくは有料の note を書いていない人もいます。

先に言っておきますが、それが悪いなんて言いたいわけではありません。それを大切なポリシーにしている場合だってあるのは、よくわかります。

なぜなら僕も、100%そうで

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星降る夜に、かかる虹

丘の上にある、まぁるい公園からは、海が一望できた。
ゆっくりと沈む太陽が、海を朱に染めている。

「ほら、おいで」

手を伸ばすと、愛猫のとろろが、ピョコンと私の腕に飛び乗ってくる。
3キロ近くあるとろろは、私の腕の中にすっぽりとおさまった。

冷たい空気。吹く風が体温を奪っていくけれど、とろろを抱っこしている腕の中は温かい。
とろろを抱き抱えながら、私は少しずつ暗くなっていく海を見つめる。
普段

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地べたを這いながら

地べたを這いながら

 今日は仕事納めの日だった。

 午前中残っていた仕事やデータ整理を行い、午後からは掃除。デスク上のいらなくなった紙類をひたすら捨てていった。こういうのが一年で結構たまっているものだ。共同ごみ捨て場に持っていくと、漬物樽みたいなリサイクルボックスはすでに満杯近くになっていた。もえるごみやプラスティックごみもおなじようなものだ。毎年だがどれだけのごみがこの職場から出ているのかと思う。
 時短勤務中な

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罪 #幸せをテーマに書いてみよう

罪 #幸せをテーマに書いてみよう

ぼくは罪を犯しました。
今、きみが泣いているのはぼくのせいなのです。
かわいそうに。きみは不幸にも毎日涙を流して暮らしています。

幸せとは、何も知らないことだときみは言っていました。
何でも知りたい、どれだけでも欲しいという、欲望にまみれた周囲の人間を軽蔑しながら生きてきたぼくです。
恋なんて知らなければ、目が会うだけでぼくの体温をカッと上げるきみの一挙一動にぼくの心臓は揺れない。
愛なんて知ら

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Kojiについて

Kojiについて

僕が小説を書き、それに対してKojiさんがイラストを描くコラボ作品「石狩あいロード」のあとがきに代えて、Kojiさんに対する想いを書きたいと思います。
※作品のネタバレを含みますが、御了承していただけるのであればこちらから読んでいただいても、こちらだけ読んでいただいても構いません。

本編はこちら↓

~Kojiは男でした~Kojiは男でした。

嘘です。

Kojiのことを僕は最初男だと思ってい

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短編小説「ゆなさん」

短編小説「ゆなさん」

「ゆなさんって、呼んでよ」
 はじめて参加となった、職場での忘年会。くじ引きでたまたま隣席になった彼女に、苗字をさんづけで呼びつつビールを注いだら、そんなふうに即答された。
 ぼくは瓶ビールをかたむけながら首をかしげた。ゆな。その名は彼女の本名とまったく異なっていた。苗字、名前となんのつながりも感じられない。ひと文字すら重なっていないのだ。
「ゆなさん、ですか」
「そう。みんなからもそう呼んでもら

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【短編小説】ハコダテのがごめ    ~読む小説×聴く小説~

【短編小説】ハコダテのがごめ    ~読む小説×聴く小説~

「読む小説×聴く小説」おまゆさんと幸野つみとのコラボ企画のために短編小説を書きました!

幸野つみが書いた物語を、おまゆさんが朗読し音声配信します。
また、今回、おまゆさんがとってもかわいい挿し絵を描いてくださいました!
音声配信は、この小説の投稿と同時におまゆさんのアカウントで投稿されます。
音声配信から聴いても構いません。こちらの文章から読んでも構いません。パソコンでウィンドウやタブを複数開い

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17の夏、君の背中に恋をした

17の夏、君の背中に恋をした

「手作りのものを持ちよって、パーティーしようよ」
「いいな、それ!」

そう言いだしたのは綾で、その提案に真っ先に賛同したのは、綾が片想い中の貴史だった。
それに同意するように、私と奏太が顔を見合わせると、綾と貴史も嬉しそうに顔を見合わせた。

私たちは、来月高校を卒業する。
バスケ部だった奏太と貴史。
私と綾は、マネージャーだった。
部員みんな仲がよかったけれど、特に私たち4人はいつも一緒だった

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やせっぽちのヒロイン

やせっぽちのヒロイン

 五歳の時に下半身まひ身体障害を負い、車いすに乗っていた私は養護学校中学部を卒業後、念願だった普通高校に進学した。

 あこがれだった学生服。真新しい金ボタンに何度もふれた。

 校舎にはエレベーターがなかったので、付き添いの母と共に登校した。母は普段理科準備室で待機し、教室間の移動があると私をおぶって階段を昇り降りし、あらかじめ階段下に据えておいた椅子に私を座らせた後、車いすを運んだ。

 母に

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ある日受け取った一通の手紙についての話

ある日受け取った一通の手紙についての話

毎年この時期、一本の梅の木を撮ります。この木です。

三重県にある鈴鹿の森庭園というところの巨大なしだれ梅の木。といっても、園内で一番大きな木というわけではなく、むしろ庭園の一番端っこの方にある、巨木ばかりの園内ではむしろ少し小ぶりの一本かもしれません。でも、その堂々と広げた枝ぶりに強い印象を受けました。今ではひっきりなしに人が訪れる場所になった鈴鹿の森庭園ですが、当時はそれほど人が多いわけではな

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