河端ジュン一

小説家、ゲームデザイナー。 Twitter■https://twitter.com/k…

河端ジュン一

小説家、ゲームデザイナー。 Twitter■https://twitter.com/kawabataj1 Amazon著作リスト■https://is.gd/MS43TD

マガジン

  • 2020年8月号(前半)

    このマガジンで買うとお得。記事15話ぶん収録(8/1~8/15)。記事1話あたり約20円。

  • 2020年7月号

    このマガジンで買うとお得。記事14話ぶん収録(7/19~7/31)。記事1話あたり約20円。 【ベストパートナーの定義って何?②】 【ベストパートナーの定義って何?①】 【自己評価と他者評価は別物という意識を持つと楽】 【小説を書く②】 【小説を書く①】 【教育から本当に学んだもの】 【思春期と成長】 【未知の魅力】 【外出の恐怖】 【自分すべてで勝負する】 【人と違うという価値】 【楽しめることを増やす】 【芸能人の死】 【欅坂46】

記事一覧

【好きになる理由】外見で好きになることは内面で好きになることよりも軽薄、という間違った先入観について

外見で好きになる=軽薄で、人として恥ずべき行為で、あまり表立って言うべきことじゃない。 内面で好きになる=誠実で、きっと好きになった方も人格者で、相手の内面のど…

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【楽しむための資格】「映画を見るには」「漫画を読むには」「小説を読むには」ある程度の素養がいるというけれど本当にそうか?

「ジャンルを楽しむにはある程度の素養が必要」という論調をたまに聞く。 たとえば「最近の子は漫画を読めなくなっている」という話。 動画は放っておいても流れてくる受…

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【感性は本当に鈍るのか?】神秘が死んだ、と言うと懐古心の強い大人には耳触りがいいけれど、実際のところ現代には現代の神秘が…

懐古厨という言葉がある。昔を懐かしがるばかりで、現代に適応していない、燃え殻みたいな人間、というような意味の蔑称と認識している。かなしい名前だ。   そんなふうに…

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【あの人はなぜ勤勉でないのか?】仕事第一主義が当たり前すぎて、他人の人生観に思いを向けたことがなかった

仕事のやり方はひとそれぞれで、たとえ自分と相性が合わなくとも、その人なりのやり方でがんばっているのなら、それはそれでいいじゃない、と言う考え方は受け入れられると…

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【小説を書く⑤】説得力を持たせづらいからといって、キャラクターの人格を修正する必要はない。むしろそのくらい難しい人格の方…

読者の求めるキャラクターを書くのではない、と前回言った。 なら何を書くのか。自分の中から生まれるキャラクターを書く。 あくまで自分の中にある初期衝動は、大切にし…

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【小説を書く④】一貫した行動原理を持ったキャラクターは本当に正義か

100〜
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【22世紀の家庭像】「模範的家庭」の押し売りに、うみねこの声を聞いた

100〜
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【親しい人の死と風化】悲しい思い出を、時とともに忘れるのは善か悪か

100〜
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【小説を書く③】中性的な文体をもっとも魅力的だと感じる理由

100〜
2

【運のよしあし】運が悪い、という人は実際に運が悪いのかもしれないが、それを言うことでいよいよドツボにはまっている

100〜
1

【無垢の盾】現場で純粋に頑張っているアスリートやアイドルがかわいそうだから、という理由で黒幕のダークグレーを裁けない風潮

100〜
2

【結局デザインが勝つ】僕たちは思ったよりも非合理的な印象に左右されている、という合理性

100〜
1

【境界の誤謬②】俺は長年、いくつもの例を見てきたから知ってるぜ、こんなのは○○じゃない、と声を上げるとき、選別する側でな…

100〜
1

【境界の誤謬①】教え子と同じツールを使ったことのない先生が、教え子の青春の機微を想像するのはむずかしそう。でもそれが悲劇…

100〜
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【彼の見ている私は誰か】チャップリンがチャップリンものまね大会で敗退した日の幕間

喜劇王チャールズ・チャップリンはチャップリンのものまね大会に、本人であるにもかかわらず出場し、敗退した。

100〜
2

【本の中は逃げ場という感覚がそもそも違う】物欲から解き放たれてはいないものの、僕らはきっと心理の重要性に気づきはじめてい…

100〜
3
【好きになる理由】外見で好きになることは内面で好きになることよりも軽薄、という間違った先入観について

【好きになる理由】外見で好きになることは内面で好きになることよりも軽薄、という間違った先入観について

外見で好きになる=軽薄で、人として恥ずべき行為で、あまり表立って言うべきことじゃない。

内面で好きになる=誠実で、きっと好きになった方も人格者で、相手の内面のどこを好きになったか語ることはとても素晴らしい。

この価値観が、あまりに当たり前のように「正義」として語られていることに違和感がある。

たとえば、「夢に一生懸命」「友達思い」「親を大事にする」「前向き」「ストイック」「思慮深い」「行動力

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【楽しむための資格】「映画を見るには」「漫画を読むには」「小説を読むには」ある程度の素養がいるというけれど本当にそうか?

【楽しむための資格】「映画を見るには」「漫画を読むには」「小説を読むには」ある程度の素養がいるというけれど本当にそうか?

「ジャンルを楽しむにはある程度の素養が必要」という論調をたまに聞く。

たとえば「最近の子は漫画を読めなくなっている」という話。
動画は放っておいても流れてくる受動的なメディアで、漫画は能動的にめくっていかなきゃいけないメディア。

また、漫画は独特の方法論で描かれている。
たとえばコマをどの順番で読んでゆくか、集中線やトーン効果はどんな意味をもっていて、を理解しなきゃ読めないから。

さかのぼる

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【感性は本当に鈍るのか?】神秘が死んだ、と言うと懐古心の強い大人には耳触りがいいけれど、実際のところ現代には現代の神秘が生まれている。神秘だから大人には見えにくいだけ

【感性は本当に鈍るのか?】神秘が死んだ、と言うと懐古心の強い大人には耳触りがいいけれど、実際のところ現代には現代の神秘が生まれている。神秘だから大人には見えにくいだけ

懐古厨という言葉がある。昔を懐かしがるばかりで、現代に適応していない、燃え殻みたいな人間、というような意味の蔑称と認識している。かなしい名前だ。
 
そんなふうに言われてしまう人が、世界に確かに実在することはわかる。
彼らにとっては、黄金時代ともいうべき「昔」がどうしたってずっと一番で、それ以降、あのころを越える高揚に出会えていないのだろう。
神秘が死んだ、と言いたくなる気持ちに、共感もできる。

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【あの人はなぜ勤勉でないのか?】仕事第一主義が当たり前すぎて、他人の人生観に思いを向けたことがなかった

【あの人はなぜ勤勉でないのか?】仕事第一主義が当たり前すぎて、他人の人生観に思いを向けたことがなかった

仕事のやり方はひとそれぞれで、たとえ自分と相性が合わなくとも、その人なりのやり方でがんばっているのなら、それはそれでいいじゃない、と言う考え方は受け入れられると思う。
ただ、「この人あきらかに、どうひいき目に見ても、怠惰だよな」という場合もたまにある。そのとき、怠惰だ、だから悪だ、とつい考えがちだけれど、そうして敵意を向けていたところで事態はよくならない。

じゃあ、仕事をしてくれるようにこちらが

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【小説を書く⑤】説得力を持たせづらいからといって、キャラクターの人格を修正する必要はない。むしろそのくらい難しい人格の方が、書ききったとき魅力的になる

【小説を書く⑤】説得力を持たせづらいからといって、キャラクターの人格を修正する必要はない。むしろそのくらい難しい人格の方が、書ききったとき魅力的になる

読者の求めるキャラクターを書くのではない、と前回言った。

なら何を書くのか。自分の中から生まれるキャラクターを書く。
あくまで自分の中にある初期衝動は、大切にしなければならない。

肝要なのは、最初に生まれたものを、手癖でなく誠実に、一文字一文字の精度を上げながら執筆し、それを見返すなかで、「読者への説得力はあるか」を考えること。
見返していると、説得力がないな、と思うときもくる。
そのときにや

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