フォローしませんか?
シェア
Mg.Asano
2024年5月9日 15:16
「空、それは別々の」丘のうえに流れる風は星は永遠なのだと疑うこと知らず転がる言葉の先に伸びる影は君の其れとよく似た形をしていてどんなにか記憶を手繰りみてもその存在に重なることはなくまるで欠伸をする猫のように小さな諦めを寄せては丸めもふもふとした陽だまりそこに、溶かしこんで忘れた振りの背中で
2024年5月6日 23:36
「ツナグ」真夜中の真っ白な砂浜はとても温かく触り心地がよくて知らせなど無いままに鼻歌まじりな足跡だけがそれは何処までもそう、どこまでも優しく続いている僕を愛していた君は君を愛した僕に手を振って当たり前だけどこうやって、きっと人は強くなっていくんだ
2024年5月4日 22:47
「月は海の子」夜の黒と昊のひかり交わり琥珀を孕んだ海が拡がりゆく真白な星の砂が鳴く此処にいるのだと知らせるようにいずれ月がうまれ君は愛されそして、やがて母なる海へと還りゆく
2024年5月3日 10:38
「黒執事」僕は君に呪いをかけるゆっくりながらも、着実に君はとても優しいひとだずっといいひとで居られるよう僕が、君に呪いを掛けてあげる
2024年5月2日 13:16
「何処へでも行ける」行き場を失った夜更けの風空はあんなにも広いのにこの壁なければ飛べるのに睨みつけた其れは言うお前が勝手に此処へきたいつだって壁は壁でしかない吹き溜まり、迷い風動けぬ壁を恨むは筋違いくすり笑うて広き空を仰ぐ
2024年4月29日 19:00
「鈍色の空に、」彩なき空に描かれた虹に時おり綯交じる鈍色の砂の海風、吹けばゆらり流れて拡がる紋様に星読みたちはその瞳を伏せた憎しみを棄てても尚、消えることのない哀しみはどんな色ならば赦されると言うのだろう
2024年4月27日 23:35
「大切なもの」さあ、行こうか俺たちが最も輝けるあの場所へ夜明けの来ない夜はないと何処かの誰かが唄う夜更けに朝陽を待たずして眠ったあいつは今ごろ鼻を掻いて笑うておるか陽のあたる場所だけがこの世の全てと思うことなかれ夜明けの来ない夜はあるただ暗闇のなかにも光は、……ある。
2024年4月25日 22:57
「わらべな唄のよに」雲のごとく流れるせせらぎ水石に弾ける笑い声が陽にとけるいつの日だったかつぶらな手から放たれた笹舟は小石に挟まれ行き場を失くしていたこんなはずじゃ無かったとおの子はしゃがんで喉を潰すあぶくたった煮え立った煮えたかどうだか解りもせずにただ時を待つ、その背中は静かなる雨のなかにて
2024年4月21日 18:26
「想像の杜」身体なきひかり彷徨う夜の杜想像の額に意識をあつめただひとつだけの真実をさがすさわさわと聴こえてくる草木のうわさな声に耳をふさいでつんと張った奥深い湖水小石を投げ込めば波紋が滅ぼすひかり彷徨う夜の杜のなか投げ込まれた小石は石であることに安堵したように想像の心を空へと解き放つ
2024年4月20日 11:28
「古酒」去りゆく背中に魂が添い寝するほんの少しの諦めと確かにあった君への想いと明日を夢みた誰かの声と忘れてしまった昨日のゆびきり時計のなかに閉じ込められた涙のいろをした強めの島酒また 今夜も君は、僕を酔わせてはくれなかった
2024年4月19日 13:46
「オシバナ」逆さに流れる揃いの時間出逢ったばかりの霞なサクラ散りゆく蕾を雫で吊るして風ふく枝に背あずけ眠る空は子守唄にくるまれたどこまでも透明な独りきりの海破壊ばかりを繰り返すそうすることの意味を知るためいつかの蝶に夜を重ね醒めない夏の桜に夢をみる
2024年4月9日 19:51
「君雨に眠る」やわらかく延々と降りつづく優しい雨が好きだった其はゆっくりと種を蒔いていく君の温もりに似てるからじきに雨はあがり虹が遊ぶ無邪気に足もと転がって水たまりには恋文を映すだろう窓の外では白い街爪のさきまで濡れてゆくそんな雨のような君が静かにいつまでも降り続いてた
2024年4月7日 19:59
「暗号化された夢」暗号化されたふたつの心を明かりのない夢のなかでただ、ひたすら朝まで書き続けていた孞追、うまく並ばない文字透明が強すぎて歪んだ時空胸に突き刺した筆がゆっくりと漆黒に染まっていく嗚呼、思い出した確か僕は何よりも闇だった
2024年4月5日 14:07
「恋を背に」白いツバメが鳴いた夜は流れる風は少しだけ優しくひと知れず流した涙の分だけ一人静と湖へと還りゆく春を逐われた幼き雛は移り香残して生きては行けぬさぁ 飛び立て夢にまでみた桃源郷へひとり逞しくその翼を信じて