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私には何もない


「私には何もない」


このタイトルで第1話が始まるドラマがある。

____『G線上のあなたと私』だ。(2019年にTBSでドラマ化)

このドラマで主人公の小暮也映子が、
「バイオリン背負ってなかったら、私って一体何者なんだよ」
と呟く場面があるのだが、今の私はそれを自分と重ねてしまう。

「結婚指輪つけてなかったら、私って一体何者なんだろう?」


無職だけど、結婚しているから一応専業主婦、、、?

でも、お金に余裕はなく、本当は今すぐにでも働かなきゃいけない状況。
それに、家事や料理は得意じゃない、というか、大嫌いだ。

こんな状態で、
「わたし専業主婦です」
なんて口が裂けても自分からは名乗れない、言いたくない。

だから「今何してるの?」と聞かれると、
いつも「無職なんです〜」って苦笑いで答えているからか、
初対面の人からはたいてい『未婚×年齢不詳』と捉えられることが多い。
それでいいと思ってる。


結婚する前までは、結婚指輪って毎日欠かさず着けるものだと思っていた。

でも、どうやら私は、時々着けたり外したりしたいタイプになってしまったようだ。

誰にどう言われるわけでもないのに、
「なーんだ、結婚してるんだから余裕じゃん、いいじゃん」
って思われたくないのと、

自分がもう既婚者で、今後の人生設計と向き合わなきゃいけない存在だという現実からの逃避であると思っている。

それに、たまにつける方が存在のデカさを思い知ることができるし、
これはサイコパスだよって思われそうだけど、
なんか自分が二人存在してるみたいで、それがまたいい。

最近はどちらかというと着けていない時の方が増えているから、
役所に手続きに行く時とか、病院に行く時だけは着けるようにしている。

だって、
「結婚指輪してなかったら私って一体何者なんだよ」
って思っちゃうから。

これ、逆の立場で考えたら結構イヤかもしれない。

結婚した相手が、指輪を着けたり外したりして生活しているなんて。

「黙ってずっと着けとけよ」

きっとそう言っちゃうんだろうなぁ、ほんとサイテーだ。

でも、私の相手は気づいていないのか気にしていないのか、何も言ってこない。


今日はインフルエンザのワクチン接種を打ちに病院へ行った。

去年までは職場で当たり前のように受けていたけど、無職となった今は自分で予約するしかない。

「4,000円、、、?」

そんなにするのかワクチンって。

たとえ給与が低くても、やっぱり正社員って守られてんだなって実感した瞬間だった。

あ、そうそう、
今日は病院に行くということで、久しぶりに結婚指輪を左手の薬指にはめた。

自分の手元がちらりと目に入るたびに、
「もっとカジュアルな指輪にすればよかったよなー」とか、
無職のピンチ人間のくせにそんなことを思ってしまう。


病院終わり、カフェに寄ることにした。

お金はないけど、晴れた平日の昼間に一人でカフェに行く時間が本当に好き。

おそらくHSP気質な私は、定員の態度が悪いとすごく嫌な気持ちになるのだけど、ここの定員さんは明るくていい感じだった。

「お好きな席にお座りください〜」と言われたので一番好みの席に座ると、
仕切りのようなものを挟んだ隣の席に、小さな男の子とそのお母さんが座っていた。

静かにお母さんと食事をするその男の子を見て、可愛いなと思った。

そして、可愛いと思えた自分にとてもホッとした。

だって、たいていは他人の子供を可愛いと思えないからだ。

イオンモールとかで走り回って大声を出している子供とか見ると、いつもうんざりする。ほんと無理だ~って。

そんな自分をこの年齢になって割と心配しているのだ。

来年で29歳。子供を真剣に考える年齢だから、、、。

たぶん私のパートナーは、子供ができたら真っすぐ育児に向き合う人だと思う。

でも冷静だから、今はお金がないという理由で、向こうも今後どうしようという状況なのだと思う。
(もちろんこればかりは授かりものだからどうなるかは分からないのだけど、そもそも真剣に向き合い始めるのはいつにするのか、という話で。)

というか、つい買い物をしまくってしまう無職の私がいたらそう思うのも当然だわなぁ

産めよと言われたらまだ産みたくないし、産むなと言われたら産みたくなる。

わたしはいつだって天邪鬼だ。

最近は少しずつ子供(正確には赤ちゃん)を可愛いと思えるようになってきて、
欲しいかもしれないと少しずつ思えるようになってきた。

もちろん、痛いのは本当に嫌だし怖いことには変わりない。命懸けにも程がある。
代わってくれよ兄貴、って本気で思ってる。

あと、シンプルに顔が可愛い赤ちゃんや子供っていいよね癒し(なんかごめんなさい)

それに、もしパートナーに似た性格の子供がいたら、マジで可愛いだろうなとは思うのよ、ほんとに。

まぁ、自分も昔はおてんば娘でとても可愛かったらしいから、多分可愛い(はい?)

パートナーのミニバージョンがいたらって考えるのはよろしくないとは思うのだけど、想像したら可愛すぎて色々食べさせてあげたくなる。お金ないのに。

あとはもう、お金と体力だよね〜〜〜〜~

お金があれば産後ケアホテルとかにも行けるんでしょ、、、ええやん涙

「子供が生まれたら自分の時間が一切なくなる」っていう意識が強すぎて
これまでずっと嫌だなって思ってたけど、案外そういう時代でもないのかなっていう気もしていて。

ただ、それってお金に余裕がある人に限るのかなと思っているの。

そんなこんなで、まずは就活をしろよっていう状況なんですね私。

でも、働くことが割とトラウマになってしまってて、その一歩がなかなかに重い。

それでも、
働かなきゃ明日の飯も危うい人だっているんだよボケがーーーーー!!!
ってくらい目の前で言われたら、それもそうねって思ってしまうんだろうけど。


『女性活躍社会』と呼ばれる今の時代だが、
私にトラウマを与えたのは紛れもなくその❝社会で活躍する女❞だった。

もう辞めて半年以上経つのに、その人のことを考えるとムカついてイライラして吐き気がしてくる。

別にあからさまにいじめられてたとかではない、
まぁ、相当な嫌味を言われたりはしてたけど。

マジで苦手なタイプの女だったー。
これに尽きる。

まぁ、私もそれを黙っておけないタイプなので、直属の上司に相談もしてたし、同期や周りの先輩にめっちゃ愚痴ってたけど。

別に相手に伝わってもいいと思ってた。だって嫌いなんだもん、、(笑)

さすがに多少は態度にも出てしまってただろうから、失礼な事はしないけど向こうにとってもそりゃあ都合は悪かっただろうと思う。

そういう人って、
「◯◯さんって真面目だから大変そう〜〜〜しんぱ〜い。ちゃんと家で眠れてますか〜?」とか言ってくるんだよな。

あなたがいなければ無問題です♡っていつも心の中で呟いてた。

仕事を放棄したりは絶対しなかった(できなかった)けど、
嫌なことは上の人に直接言ってしまうっていう意味では、
私も最近の若者だったのかもしれない。

その部署から異動した時、その人以上に嫌味な人なんてもちろんいなくて、
やっぱりあの人は異常だったんだって気づいた。
よく異動まで耐え抜いたな自分、って辞めてからの方が思ってしまう。

でも、そういう嫌な人って絶対他にもいるから、
次の職場でもまたそういうモンスターが現れたら最悪だな、、、。


お前なんかモンスターボールに閉じ込めてやる、、、!!!
旅にはゼッテー連れて行かないけどな、、、、!!!!!


こんな強気な発言してるけど、よく考えたらポケモンゲームでは昔から、
草むらからポケモンが現れるたびに極力逃げて、
戦って少しでも傷付いたらすぐにポケモンセンターで回復させてもらう

というのを繰り返していた。

あの頃から、傷つくのを避けて生きていたんだ、、、。(深く考えすぎ)

おっと、気がつけば1時間以上も夢中で文章を打ち込んでいた。

買い物を済ませて家に帰って、洗濯物を取り込んで夕飯を作らないと。

くるくる回って位置が定まらない私の結婚指輪のように、
感情と行動も不安定なまま、私の日々は続いていく・・・。

(おしまい)










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