フォローしませんか?
シェア
東原そら
2020年11月27日 22:17
ふいに手を絡ませてみた。 ビクッとした反応がとても愛おしい。 触れる肌は熱く湿り、強張っている。 とても緊張しているのだろう。 こんなシチュエーションに不馴れなことがよくわかる。 もう少しいじわるをしてみようか。「この繋ぎ方なんて言うか知ってる?」 頬を赤らめ彼はその答えを言う。あとがき積極女子と消極男子シリーズです。積極的な女性は書いていて、とても楽しい
2020年11月28日 22:02
もくもくと湯気が踊り、乳色の霞みが視界を白にする。 白色の世界の彩り溢れる場所で私は大事な子を育む。 突如、子は拐われた。 彼は美味の肉を頬張る。「もお!大事に育ててたのに」 私は頬に大きな風船を二つ作る。「この世は弱肉強食なんだよ」 ニヤリと口角を上げる彼は本当に悪役だ。あとがき鍋が美味しい季節になりました。鍋をイメージして書きましたが、少しわかりづらか
2020年11月29日 18:18
「あーん」「いやだ」「あーん」「いやだ……」「はい!あーん!」「はい……」 ゴホッ、とむせる陸くんに私はここぞとばかりにニヤリとする。「もう一個だよーっ」「二時間遅刻は悪かったよ!もうハバネロたこ焼きは勘弁」 いつもと逆転の立場。 あと少しお仕置きは許されるよね。あとがき 彼女達で1本短編を書こうと思えるほど、元気な二人です。(笑) 彼女達は適当
2020年11月30日 18:37
スゥとつめたい風が肌を刺す。 コートのポケットからほどよい熱さのカイロを取り出し、頬の暖を取る。 ふと、ふわりと綿が舞う。 違う。 雪だ。 鈍色の空から今年最初のプレゼント。 高いヒールの踵を返し、近くのコンビニへ足を向ける。 今日は熱燗かな。 ベランダで銀に染まる街を肴にしよっと。
2020年11月26日 17:51
何処かで誰かが必要としてくれるはず。 それは全部幻想だったみたい。 誰からも無用な人間もいたんだね。 屋上の私は「さよなら」と最後のSNS。 誰からも視認されない私は世界の爪弾き者。 覚悟と涙と共に右手が震える。「死ぬな」「ダメだよ」と数多のリプライ。 私、世界にいてもいいの?あとがき何処かで誰かが必要としてくれるはずです。痛ましいニュースが多い世の中で
2020年11月25日 22:42
「魔法が使えたらいいのになぁ」 彼女はよく本気か冗談か区別がつかない。「それはどっち?」 区別がつかない時、僕はこう訊くように自分に課している。「本気」 今日は本気だったらしい。「だって相変わらず伝わらないしさ」 彼女は何を伝えたいのだろう。 僕は二択すらわからないのに。あとがき気持ちを伝えたい積極女子と鈍感男子の恋模様を、形にしたいと思って作りました。
2020年11月24日 22:11
パラパラと頁を捲る。 書き写した授業の記録は綺麗に整えられている。 彼女の几帳面な性格がよく伺える。 ふと奇異なメモが目に止まる。『KA好''き』 K.A.?俺じゃない。「坂口!やっぱ返して!」 彼女は頬を真っ赤にして引ったくった。 動揺する俺を周囲は冷やかす。「一樹~振られたな~」あとがきニヤニヤとしたい青春をイメージして作りました。青春はいいで
2020年11月23日 19:37
「よっ」とシュートする。 美しい放物線が描かれゴールへ一直線のはずが、急に球威が落ち、むなしく地面へ落下する。 ふぅと軽い溜め息を吐くと、友達の会話の輪に入る。 ガンっと頭に鈍痛が波紋のように広がる。 首で振り向くと女子野球のエースがいた。「ゴミはゴミ箱でしょ、バカなの」あとがき中編で浮かんだネタを短編にしてみた作品です。描写にまだ課題があると感じた作品です。
2020年11月22日 22:11
きっとどこかで、また…… 最後のデート、映画館の帰路で君は言った。 夕陽が反射した君の雫を、俺は今も夢でみる。 君と観た映画のリバイバル。 想いにさよならしようと1900円を払う。 重い扉を開く手がかち合う。 目と目が触れると、君は言った。「きっとどこかで、また会ったね」あとがき再会をテーマにした作品です。結構、自信作だったんですが、あまりTwitterで
2020年11月21日 20:38
グラスを洗いながら、ふと思う。 手が泡を纏わせている。 気を配っても手にはつく。 纏う泡はひどく汚ならしく目に映る。 私もそう嫌悪されてるのかしら。 汚ならしく纏わりつく洗剤のようだと。 あなたがあの人と結婚しても、私は貴方を愛してる。 流すと消える、ただ泡にはなってやるものか。 あとがき 粘着質な女性を描きたく執筆した作品です。 粘着質をなにに喩えられる
2020年11月21日 20:35
「おめえらの誰かが、俺をマッポに売るつもりだ」「ボス。俺達はそんな真似はしませんぜ」「俺が今からこいつを投げた奴が裏切り者だ」「なんですか?それ?」「消費期限が切れた菓子パンだよ」「腐ってんじゃねぇですかい?」「裏切り者にゃ丁度いいだろ。おめぇにやるよ、ユダ」 あとがき 最後の晩餐を現在風にアレンジしました。 台詞だけ見ると、犯罪者集団みたいですね(笑)
2020年11月21日 20:32
想像よりスッと闖入された。 抗うはずの腹直筋は盾の役目を果たさず、簡単に破れた。 針の痛みがまだ脳に刺さるかもしれない。 尖った痛みではなく、鈍い痛みがじわりと波紋のように広がる。「……ごめんね」 女が雫を垂らす。 いいから行けと、おとがいで示す。 掌に紅葉。 花冷えだが、まだ早えだろ。 あとがき 悪い男なりの優しさを表現したく、執筆してみました。 ラ
2020年11月20日 21:46
「君は変わらないね。今も続いてるの?」 凛は修に尋ねる。「約束だからね」 そう言うと修はすっとダイキリを喉に滑らせた。「覚えてたんだ」 俯く凛は口元が綻ぶ。「先生は?」 同窓会を楽しむ元生徒達に目を遣り、凛は答える。「あの頃のままよ」「じゃ俺と結婚してよ」「約束だものね」あとがき全体的にふわりとして、読者の方はよく内容が掴めないのではないかと思う反省
2020年11月20日 21:41
「来週なにがあるか知ってる?」 茜は水を向ける。「梅沢富美男の誕生日だろ」と陸は空を仰ぎながらとぼける。「なにそれ?そんなの知らないよ」 茜はもういいと頬を風船にしてさっさと歩き出す。「恥ずいから言わねぇよ」 呟く陸の鞄には初デート記念のキーホルダーがきらりと煌めく。あとがき困った時の茜と陸シリーズです。この二人は勝手に動いてくれるので、作者としては非常に楽です