黄昏坊主

読みやすくて、ちょっと考えさせられる オリジナルの短編小説風の物語を中心に 書いていこ…

黄昏坊主

読みやすくて、ちょっと考えさせられる オリジナルの短編小説風の物語を中心に 書いていこうと思います。 ひとつでも あなたに刺さる物語があったら 嬉しいなー。

記事一覧

本当にやりたいことはどこにある?『sixteen』

街の外れにある河原に面した公園。 人目につかない日陰を選んで腰を下ろす。 ポケットからくしゃくしゃになったタバコを取り出し、 空に向かって煙を吐き出す。 人目につ…

黄昏坊主
3週間前
15

俺にもあったはず...『がむしゃらのブルース』

吐いた言葉を自分に突きつけ、 追い込むように走り続けてきた。 垢抜けた空は、俺への退職祝いだろうか? 光陰矢のごとし。 昨日で会社員生活は終わった。 がむしゃらに…

黄昏坊主
4週間前
42

ともに生きる言葉たち~オレなら戦って敗れたい~

『修羅の門』 って漫画が大好きです! この漫画は、 ”陸奥圓明流”という千年続く古武術を継いだ 陸奥九十九という主人公が地上最強を目指す物語。 男だったら血が騒ぐ…

黄昏坊主
4週間前
21

あなたがあなたであったから...『凛』

雨にも負けず 風にも負けず 凛と咲く花を眺めていた。 羨ましくもあり、 切なくもあり、 不器用でもある。 ありのままの自分でいる あなたは美しい。 世界が壊れてしま…

黄昏坊主
1か月前
30

ウブだったあの頃を思い出すショートストーリー『Passing Days』

懐かしいな。 一人暮らしのアパート。 大学の卒業記念に親からもらった 高価なウイスキー。 いつ開けようかと思っていたけれど、 なんだか今日は飲みたい気分。 働き出し…

黄昏坊主
1か月前
9

夢とDREAM~ミッション編~

*わけのわからない話になると思うので、 できたら 夢とDREAM〜不思議編〜 を先に読んで頂きたく思います。 人生で叶えたい大きな目標=夢 であるならば、 夢=ミッショ…

黄昏坊主
1か月前
6

夢とDREAM~不思議編~

夢って不思議じゃないですか? って質問を投げかけた時、多くの人は寝ている時に見る夢を頭に描くと思います。 夢の中では空を飛ぶこともあるし、 誰かに追いかけられて…

黄昏坊主
1か月前
4

負け犬なんかじゃない『野良犬ー月に酔う夜ー』

めずらしいな、お前がそんな顔してるのは。 何度目だろう? 口を開きかけて、 でも結局出るのはため息で、 またグラスを口元に持っていく。 何度目のときだったろう? …

黄昏坊主
1か月前
4

夕暮れ時に少年が心躍らせたこととは...『夏の日の少年』

飛行場が近くにある以外は、 のどかでなにもない街。 ゆったりと流れる時間にやきもきする。 もうすぐ夏休みも終わり。 だいたいの子供が憂鬱を感じているだろう。 でも…

黄昏坊主
1か月前
2

閉じこもっていた部屋を出られたのは...『YAIBA』

誰もいない部屋で一人ぼっち。 自分で埋めた鍵穴を見つめる。 笑顔を隠しながら、 もう二度とこの扉を開かないと誓ったのは、 いつのことだっただろう。 なにが悪かった…

黄昏坊主
1か月前
3

知らなくて良かったことを知ってしまった『憂鬱を知った猫』

オレの嗅覚はずば抜けている。 ここらの猫界隈でもダントツだろう。 嗅覚とは何も鼻がいいってだけじゃない。 食い物がありそうだという直感、 危険な他の動物が近づいて…

黄昏坊主
1か月前
4

どうしようもなくあなたに会いたくなる『単車にのって』

仕事サボって君の街へ、 単車にのって会いに行くよ。 仕事をサボってきたなんて言ったら、 きっと君は怒るんだろうな。 でもね、会いたいよ。 4月から君は大学生。 一…

黄昏坊主
1か月前
5

私たちは誰かの悲しみの上で生きている『Battle Boots』

赤い紙を渡された。 あの子に最後の別れを言わなきゃならない。 誰が始めたかもわからない戦争で、 何のために争っているかもわからない戦争で、 行きたくもないところに…

黄昏坊主
1か月前
2

今の現状に憂いている人に贈るショートストーリー『タクシードライバー』

「どこまでだい?」 タクシードライバーはぶっきらぼうに聞いてきた。 過ぎ去っても過ぎ去っても灯りの中を進んでいく。 深夜だというのに眠らない街の中で、俺は眠るた…

黄昏坊主
2か月前
2

こんな俺たちは悪い子でしょうか?『under the U.K』

ロマンチックが嫌いだから優しくできないんだ。 小さな街に似つかわしい、小さな国道沿いのタバコ屋の親父はシャッターを洗っていた。 左の足元にはアルミ製のボコボコの…

黄昏坊主
2か月前
3

運命ってことを考えたくなるショートストーリー『啾啾ーしゅうしゅうー』

俺、中川啓太は、今日も汗びっしょりだった。 営業のワンボックスカーに大量の段ボールを詰め、取引先をくまなくめぐっていく。 取引先は主に飲食店だ。 食品会社の営業兼…

黄昏坊主
2か月前
2
本当にやりたいことはどこにある?『sixteen』

本当にやりたいことはどこにある?『sixteen』

街の外れにある河原に面した公園。
人目につかない日陰を選んで腰を下ろす。
ポケットからくしゃくしゃになったタバコを取り出し、
空に向かって煙を吐き出す。

人目につかないところを選んだのは、
見つかって停学や退学になることが怖いんじゃない。

つまんないことをいちいちうるさく言う大人とはしゃべるのも面倒だし、
誰かに何かを話したところで、
俺の思いを分かってくれる人がいるとは思えないからだ。

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俺にもあったはず...『がむしゃらのブルース』

俺にもあったはず...『がむしゃらのブルース』

吐いた言葉を自分に突きつけ、
追い込むように走り続けてきた。

垢抜けた空は、俺への退職祝いだろうか?

光陰矢のごとし。
昨日で会社員生活は終わった。
がむしゃらに走ってきた分、
あっという間の時間は、
思い出の引き出しも少ない。

今日くらいゆっくりとお昼まで寝ているんだろうなと思っていたが、
朝から玄関を開けてしまう。
まばゆい日差しは、
今日から何をしていいのだろう?という
俺の気持ちとは

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ともに生きる言葉たち~オレなら戦って敗れたい~

ともに生きる言葉たち~オレなら戦って敗れたい~

『修羅の門』
って漫画が大好きです!

この漫画は、
”陸奥圓明流”という千年続く古武術を継いだ
陸奥九十九という主人公が地上最強を目指す物語。

男だったら血が騒ぐ漫画です(^o^)笑

僕にとっては人生のバイブルといえるほど、
その言葉、
生き様に影響を受けています。

そんな『修羅の門』から大好きな言葉、
大好きなシーン。

ちなみにここから先はネタバレも含みますので、
これから読んでみたい

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あなたがあなたであったから...『凛』

あなたがあなたであったから...『凛』

雨にも負けず
風にも負けず
凛と咲く花を眺めていた。

羨ましくもあり、
切なくもあり、
不器用でもある。

ありのままの自分でいる
あなたは美しい。

世界が壊れてしまいそうな音が響く。

そんな中でもあなただけは孤独を味方につけ、
誰かと比べることもせず、
生きてゆこうと歌ってる。

こんな時代だからこそ、
何者にも染まらずにゆく。

飾り立てた言葉なんて欲しくない。
不必要な褒め言葉もいらな

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ウブだったあの頃を思い出すショートストーリー『Passing Days』

ウブだったあの頃を思い出すショートストーリー『Passing Days』

懐かしいな。

一人暮らしのアパート。
大学の卒業記念に親からもらった
高価なウイスキー。
いつ開けようかと思っていたけれど、
なんだか今日は飲みたい気分。

働き出したらこれくらいのものは買えると思っていたんだけど、なかなかそうはいかないね。
せめてこれにお似合いのロックグラスくらいは買っとけばよかったなんて、
今さら遅いけど。

ごめんな、お祝いの酒じゃなくて。

本当はいいことあった時に飲む

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夢とDREAM~ミッション編~

夢とDREAM~ミッション編~

*わけのわからない話になると思うので、
できたら
夢とDREAM〜不思議編〜
を先に読んで頂きたく思います。

人生で叶えたい大きな目標=夢

であるならば、
夢=ミッション
と捉えることもできます。

でも、
「これはちょっと違うかなー」
と思った出来事がありました。

僕がもっとも
夢とDREAMの正体に
近づいた瞬間です。

あるバンドのライブがありました。
その当時で知ってから15年くらい

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夢とDREAM~不思議編~

夢とDREAM~不思議編~

夢って不思議じゃないですか?

って質問を投げかけた時、多くの人は寝ている時に見る夢を頭に描くと思います。

夢の中では空を飛ぶこともあるし、
誰かに追いかけられて焦ってたり、
知らない街や、知らない誰かに出会ったりと、
突拍子もないことが起きます。

でもあなたの夢を教えてください。
って質問だったらどうですか?
寝ている時に見る夢ではなくて、
現実の人生で叶えたい夢を答えますよね?

不思議で

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負け犬なんかじゃない『野良犬ー月に酔う夜ー』

負け犬なんかじゃない『野良犬ー月に酔う夜ー』

めずらしいな、お前がそんな顔してるのは。

何度目だろう?

口を開きかけて、
でも結局出るのはため息で、
またグラスを口元に持っていく。

何度目のときだったろう?

お前から話すまで、俺からは聞かないって決めたよ。

どこにでもあるチェーンの安い居酒屋。
お前と飲むときは大抵こういうところ。
どうせ飲み潰れるんだから、安い方がいいだろって。

いつも馬鹿話しで笑わせてくれる。
好きな子に振られ

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夕暮れ時に少年が心躍らせたこととは...『夏の日の少年』

夕暮れ時に少年が心躍らせたこととは...『夏の日の少年』

飛行場が近くにある以外は、
のどかでなにもない街。

ゆったりと流れる時間にやきもきする。

もうすぐ夏休みも終わり。
だいたいの子供が憂鬱を感じているだろう。

でも僕はそんなことよりも、
早く明日になって欲しい。

太陽の日差しがまだ優しくなっていく少し前、
通りから緩やかな坂道を下っていく。

車の音が聞こえなくなり、
静かに流れる風の音が気持ちよくなった頃、
いつもの公園が顔を出す。

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閉じこもっていた部屋を出られたのは...『YAIBA』

閉じこもっていた部屋を出られたのは...『YAIBA』

誰もいない部屋で一人ぼっち。
自分で埋めた鍵穴を見つめる。

笑顔を隠しながら、
もう二度とこの扉を開かないと誓ったのは、
いつのことだっただろう。

なにが悪かったのか分からない。
ちょっとかわいそうだと思ったから注意しただけなんだ。

健人はスネ夫みたいなやつだ。
光輝というジャイアンに媚びを売り、
下手に出ていながらも実際にはうまくその力を利用する。

誰に対しても自分の方が上なんだとマウン

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知らなくて良かったことを知ってしまった『憂鬱を知った猫』

知らなくて良かったことを知ってしまった『憂鬱を知った猫』

オレの嗅覚はずば抜けている。
ここらの猫界隈でもダントツだろう。

嗅覚とは何も鼻がいいってだけじゃない。
食い物がありそうだという直感、
危険な他の動物が近づいてくる感覚、
嵐が来そうな気配。

その嗅覚を持ち、
危険を回避できる運動能力と
可愛がってくれる相手を見破るずる賢さ。
オレには全てが揃っている。

自由に生きているのがオレだ。

ただ、人間は大きな勘違いをしている。
オレたちが食べて

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どうしようもなくあなたに会いたくなる『単車にのって』

どうしようもなくあなたに会いたくなる『単車にのって』

仕事サボって君の街へ、
単車にのって会いに行くよ。

仕事をサボってきたなんて言ったら、
きっと君は怒るんだろうな。

でもね、会いたいよ。

4月から君は大学生。

一人暮らしには慣れたのか?
楽しくやっているんだろうか?

変な虫はついていないんだろうか?笑

高校では野球部の補欠とマネージャー。
補欠のくせにマネージャーと付き合ってるなんて、
恥ずかしくて誰にも言えなかった。

最後の試合が

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私たちは誰かの悲しみの上で生きている『Battle Boots』

私たちは誰かの悲しみの上で生きている『Battle Boots』

赤い紙を渡された。
あの子に最後の別れを言わなきゃならない。

誰が始めたかもわからない戦争で、
何のために争っているかもわからない戦争で、
行きたくもないところに無理矢理連れて行かれ、
初めて会った何の恨みもない人間に銃口を向けなければならない。

戦地に赴かないと拒否すれば、俺は反逆者として無意味に殺される。
戦争に参加したとて、十中八九、死ぬ運命にある。

上の奴らの命令に従う以外、選択肢は

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今の現状に憂いている人に贈るショートストーリー『タクシードライバー』

今の現状に憂いている人に贈るショートストーリー『タクシードライバー』

「どこまでだい?」

タクシードライバーはぶっきらぼうに聞いてきた。

過ぎ去っても過ぎ去っても灯りの中を進んでいく。
深夜だというのに眠らない街の中で、俺は眠るために小さなアパートに帰っていく。
「なんのために生きているんだろう?」
窓の外を眺めながらぼんやりとそんなことを考えていた時だった。

「お客さん、疲れてそうだね?」

まだ50歳位だろうか。
ちょっと強面な風貌。
ぶっちゃけあまりタク

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こんな俺たちは悪い子でしょうか?『under the U.K』

こんな俺たちは悪い子でしょうか?『under the U.K』

ロマンチックが嫌いだから優しくできないんだ。

小さな街に似つかわしい、小さな国道沿いのタバコ屋の親父はシャッターを洗っていた。

左の足元にはアルミ製のボコボコのバケツ、右手にたわしを持ち、ゴシゴシこすっていた。
その顔はしかめっ面で、何度も舌打ちをしている。

昨晩、ここで大きな事故があった。
結果、3人の若者が命を失った。

酒飲み運転をしていた若者たちは、ハンドル操作を誤り、8トントラック

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運命ってことを考えたくなるショートストーリー『啾啾ーしゅうしゅうー』

運命ってことを考えたくなるショートストーリー『啾啾ーしゅうしゅうー』

俺、中川啓太は、今日も汗びっしょりだった。
営業のワンボックスカーに大量の段ボールを詰め、取引先をくまなくめぐっていく。
取引先は主に飲食店だ。
食品会社の営業兼配送をしている。人手不足はどこも同じだから仕方がないが、うちのような小さな会社では営業も配送もほぼほぼくっついてしまった。

上司からはこき使われ、
飲食店ではタイミングを間違うとドヤされる。
道路は常に渋滞し、
店先に車を寄せることもま

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