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本当にやりたいことはどこにある?『sixteen』
街の外れにある河原に面した公園。
人目につかない日陰を選んで腰を下ろす。
ポケットからくしゃくしゃになったタバコを取り出し、
空に向かって煙を吐き出す。
人目につかないところを選んだのは、
見つかって停学や退学になることが怖いんじゃない。
つまんないことをいちいちうるさく言う大人とはしゃべるのも面倒だし、
誰かに何かを話したところで、
俺の思いを分かってくれる人がいるとは思えないからだ。
ま
負け犬なんかじゃない『野良犬ー月に酔う夜ー』
めずらしいな、お前がそんな顔してるのは。
何度目だろう?
口を開きかけて、
でも結局出るのはため息で、
またグラスを口元に持っていく。
何度目のときだったろう?
お前から話すまで、俺からは聞かないって決めたよ。
どこにでもあるチェーンの安い居酒屋。
お前と飲むときは大抵こういうところ。
どうせ飲み潰れるんだから、安い方がいいだろって。
いつも馬鹿話しで笑わせてくれる。
好きな子に振られ
知らなくて良かったことを知ってしまった『憂鬱を知った猫』
オレの嗅覚はずば抜けている。
ここらの猫界隈でもダントツだろう。
嗅覚とは何も鼻がいいってだけじゃない。
食い物がありそうだという直感、
危険な他の動物が近づいてくる感覚、
嵐が来そうな気配。
その嗅覚を持ち、
危険を回避できる運動能力と
可愛がってくれる相手を見破るずる賢さ。
オレには全てが揃っている。
自由に生きているのがオレだ。
ただ、人間は大きな勘違いをしている。
オレたちが食べて
今の現状に憂いている人に贈るショートストーリー『タクシードライバー』
「どこまでだい?」
タクシードライバーはぶっきらぼうに聞いてきた。
過ぎ去っても過ぎ去っても灯りの中を進んでいく。
深夜だというのに眠らない街の中で、俺は眠るために小さなアパートに帰っていく。
「なんのために生きているんだろう?」
窓の外を眺めながらぼんやりとそんなことを考えていた時だった。
「お客さん、疲れてそうだね?」
まだ50歳位だろうか。
ちょっと強面な風貌。
ぶっちゃけあまりタク
こんな俺たちは悪い子でしょうか?『under the U.K』
ロマンチックが嫌いだから優しくできないんだ。
小さな街に似つかわしい、小さな国道沿いのタバコ屋の親父はシャッターを洗っていた。
左の足元にはアルミ製のボコボコのバケツ、右手にたわしを持ち、ゴシゴシこすっていた。
その顔はしかめっ面で、何度も舌打ちをしている。
昨晩、ここで大きな事故があった。
結果、3人の若者が命を失った。
酒飲み運転をしていた若者たちは、ハンドル操作を誤り、8トントラック