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#読書感想文
生きづらさを小さな宝物のように抱きしめて
ふたつ上の姉に、よくお気に入りのビーズやおやつを取られていた。
「ちょっと借りるだけだから」といってアクセサリーなどを作り、「もう取り出せないから、返せないや」などと。
いい返せなくて黙り込んでしまっていた。
それがイヤだった。
くやしくて。
姉との口げんかでも鍛えられ、いつしか口が達者になったらしい。
ビーズやおやつを守るために。
いいのか、悪いのか。
いつからか社交的、といわれてい
ラブソングを聞きながら恋愛小説を読むのが好き💗
人の恋の相談によくのっていた時期があった。
なぜ私に?と思うのだけど、とにかく聞いてほしかったのだろう。
アドバイスというほどのアドバイスではないけれど、なんとか助言らしきものができたのは恋愛小説を読んでいたからなのか・・・どうかはわからないけれど。
恋愛小説が好き。
恋愛下手な自覚がある。だからかもしれない。
人は自分にないものを求めるから。自分にあるものも求めるけど。
だいたい小説には
美術館をもっと身近に感じる~原田マハ
「やあ、また会いに来たよ」と初老の男性があいさつする。
少しくすんだ青い服を着た女性に。
女性の名はマダム・セザンヌ。
印象派の画家・セザンヌの妻の肖像画だ。
そんな美術館とのつきあい方がとても素敵で。
『デトロイト美術館の奇跡』美術館には一生足を踏み入れないだろう、自分には縁がない存在だ。
そんな風に思っていた労働者が、妻の誘いで美術館に行く。そして足蹴く通うようになる。ある小説の始まりだ
孤独であっても人のつながりをもう一度確かめる~本屋大賞2021
私は結婚が遅く、独身時代に何度も「結婚しないの?」「大丈夫?」といわれました。大丈夫って何が?
真剣に心配されても返事のしようもなく、苦笑したり、ムッとしたりするだけでした。
それは気づかいではなく、おせっかいか、好奇心か、揶揄でした。
つまりは余計なお世話でした。
たまたまその後、私は結婚という形をとったけれど、そのまま独身の可能性も高かったのです。
私のすてきな友人たちに独身者は多く、私
推しのいる生活のリアルに巻き込まれる~「推し、燃ゆ」感想文
推しのいる方、多いですよね。キラキラした目で語ってくれます。
高校2年の息子にも、推しがいます。
息子の推し、友人の推しふだんあまり自分のことを話さない息子ですが、「推し」のことを聞くとちょっとうれしそうな顔で教えてくれます。
「この子は発言がおもしろいんだよ」
「この子は勉強は不得意みたいだけど、本を結構読んでいるんだ」
「この子はダンスがヤバい」
何人かいるんです。
私にはよくわかりません
魂のつがいはパートナーとは限らない~52ヘルツのクジラたち~感想文
一人の時間が長かったので、孤独になれていると思っていました。
でもちがいました。
一人時間と孤独は全く違うものです。
「孤独の叫び」を聞きました。
「寂しい」を超えた「世界に自分一人」「どこにも行けない」「どうしたらいいかわからない」・・・悲痛なまでの声なき声。
今年の本屋大賞の候補作の1冊を読んで感じたことです。
長い私の一人時間私は晩婚で、長い一人暮らしの時間がありました。
実家と関係は悪
恩田陸の新作「スキマワラシ」は、ストーリーも舞台のアートもおもしろい!
恩田陸の新作「スキマワラシ」では、現代美術を楽しむ読み方もあり!
史上初・直木賞と本屋大賞を同時受賞した、恩田陸の「蜜蜂と遠雷」では音楽の描き方がすごかった。
今回の物語では、現代美術をのぞき見る。
小説やまんがを読んで、その世界に興味を持つことは多いのではないかと思う。
「蜜蜂と遠雷」は、音楽コンクールが舞台。出てくる曲をyoutubeで聴きながら読んだ。そういう人は多かったはず。
クラシッ
自分の居場所と、みんなの居場所を見つけたい
生まれて初めて「ここが私の居場所だ」と感じた。
その人と結婚をした。
いつも「ここではないどこか」へ行きたいと思っていた。
どこにいても、居心地が悪くてお尻がむずむずした。
自分の生まれ育った家庭は、幼いころから両親が不仲だった。思春期の頃から距離ができた。
距離は広がることはあっても、縮まることはなかった。
ひとり暮らしを始めたら、気が楽になった。
でも一人でも「ここなのかな?」と首をかし
めんどくさい女のままでいい☆小説『やわらかい砂のうえ』で考えた
小説『やわらかい砂のうえ』(寺地はるな)の万智子は媚びない。男性に受けなくていい。それよりも自分らしくいたいし、自分らしい自分を、もっと好きになりたいのだ。
「めんどくさい女」って男の人から、すごく嫌がられている気がする。
昔のほうがもっとそうだったんだろうけれど、「物わかりのいい」「素直な」「かわいい」「すぐにうんうんってうなずいてくれる」「女の子」がいい、と。
元からそういう女性もいると
今だからこそ、『空をゆく巨人』を仰ぎ見る
現代美術のスーパースター・蔡國強を追うノンフィクションを読んだのは、昨年の秋。今、改めてこの本を思い出した。
私が現代美術に興味をもって見始めたのは、残念ながら遅い。夫の専攻が美学の現代美術だったから、連れ立って見に行くようになった。だからまだ20年もたっていない。育児で中断もした。
ただ行くと、見るというよりも身体で感じるのだと知ることができた。楽しかった。機会があれば行くようにして、毎回新