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孤独であっても人のつながりをもう一度確かめる~本屋大賞2021

私は結婚が遅く、独身時代に何度も「結婚しないの?」「大丈夫?」といわれました。大丈夫って何が? 
真剣に心配されても返事のしようもなく、苦笑したり、ムッとしたりするだけでした。

それは気づかいではなく、おせっかいか、好奇心か、揶揄でした。
つまりは余計なお世話でした。

たまたまその後、私は結婚という形をとったけれど、そのまま独身の可能性も高かったのです。
私のすてきな友人たちに独身者は多く、私のいかなかった道を歩いてくれているという思いを持っています。
自由だったり、仕事に邁進したり。

人とのつながりは、多くの形があっていいのに。
例えばnote。
会ったことのない人と、深く(と私は思っています)交流できる。

一生一緒に暮らすとしても、結婚という形でないことも多いのです。
パートナーってなんでしょう。

結婚という形をとらないことで、相手との関係をより考え、迷い、確かめることを繰り返すかもしれません。
一緒にいることを。
一緒にいたいということを。

つながりってなんだろうって考えた、考えさせられた

3年連続、「家族」あるいは「人とのつながり」をテーマにした本が、本屋大賞に選ばれています。本屋大賞は全国の書店員が選ぶ「一番売りたい本」です。

今年の受賞作は「52ヘルツのクジラたち」(町田その子)。

この本については一度書いています。

力量がある作家がメッセージ性のあることを書いている作品だと思います。納得の受賞でした。

昨年は『流浪の月』(凪良ゆう)。男女関係(セックスや結婚)ではない男女の結びつきを描いた作品です。

sもう一年さかのぼると、一昨年は『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ)で、たくさんのお父さん、お母さんのもとで育つことになった少女が主人公です。

年ごとにだんだん「家族」ということのメッセージ性が深まっている気がしています。

『そして、バトンは渡された』はどこか現実味が薄い、無邪気さがありました。正直に言うと、私はこの受賞には納得できなくていません。(個人的には2位の「ひと」(小野寺史宜)という作品の方が好きなんです)

『流浪の月』はグッときました。腹にめり込むナイフのような激しさ。
すごい作品だ、と息をのみました。

この2冊を書いた記事もあります。昨年の夏ですね。

今回の作品は胸がひりつく小説です。
自分がここにいて、生きていていいのかと問う女性が主人公です。
虐待もあり、魂の孤独が描かれています。

「52ヘルツのクジラ」とは、他の鯨と出す声の周波数が違うために、他の鯨に声が届かないクジラのことです。
実際に存在していて、その声を聴く様子も小説にあります。

わかりにくいタイトル、迎合しない作風。
でもどこまでも深く切り込んでいく筆致でした。

誰と寄り添うか、どう生きるか、ほかの人に決められたくない。
私は私としてしか生きられない。
でも一人ではない。

そんな魂の叫びを感じました。

私には、ここまでの孤独はなかった・・・でも、その痛みをひとごとにしたくない、と感じました。
安易に手をさしのべても、はね返されるかもしれません。
でも、心惹かれた人に寄り添いたい・・・そんな気持ちになりました。


思い出して、胸が熱くなって、改めて書いてしまいました。

家族もパートナーも、もっと緩やかな形でいいのに。
もっと、自由に。
もっと、やさしい形があってほしいなって。

もしもあなたが孤独にひりつくことがあったら・・・手に取ってみてください。


本屋大賞のほかの作品についても書きたいのですが、また今度にしますね。

今まで書いた記事をのせておきます。


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