マガジンのカバー画像

くらしの(けっこう真面目な)話

20
日々のおやっ?と感じたことを綴っています。カフェや電車、図書館などを舞台にした小話です
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事
君の結婚がしたい材料にはしないで。

君の結婚がしたい材料にはしないで。

おやや。

結婚願望ある?って聞かれたら「できることならしたいよ」と答えてきたのに、本当の本当の本当にしたいの?って昨日午後に台所でそう聞かれたら、そうではないと気がついてしまった。

アパートに招いた女友達にコーヒーを出しながら考え込んでしまった。あれ、僕、本当に結婚がしたいわけじゃないな。

もし、本当に結婚が主軸なら、あのときも、このときも結婚を決断していたなぁと、なんだか妙な気持ちになった

もっとみる
ここを人生の最低とします!

ここを人生の最低とします!

ネガティブは後からゲトれない「落ちるところまで落ちたからあとは登っていくだけだ」という台詞を聞くたびぽうっとする。すごいなぁと思う。絶望に底などないと思っている私には真似できない。

いや、特段人より不幸ってわけではないのだ。辛いこともあるけれど私はすくすく生きていますスタイルで日々を過ごしている。ただ同時に、絶望に最低地点は存在しないとも思っている。

おそらく生まれつきネガティブ度合いが比較的

もっとみる
届けたくなったから届けにきた。

届けたくなったから届けにきた。

不義理をした相手に会うのは怖い。

こっちが悪いくせに怒られるのは嫌で、怒鳴られて「ひぃ」となるのも怖い。しかも身から出た錆すぎて言い訳の余地もなく100%こちらに非がある。嫌だなぁ。それで悪いことをしてしまった相手ほど会えなくなる。一人ひとりに謝まる旅をしていては身が持たないという、なんとも身勝手な理屈を無理やり採用するほど、不細工な我が身はかわいい。

けれど。「でも」「だって」ばかりも言って

もっとみる
「2回目のデート」に誘われたい。

「2回目のデート」に誘われたい。

なんだかとっても嬉しいことがあった。比較的ざっくりとした性格の女の子に、初めてバスケ観戦という名のデートに誘われ、気乗りしないまま向かった会場でとってもうれしいことがあった。

その人は顎下くらいに切り揃えた白に近い金髪で、耳のあたりに少しだけシルバーがかったインナーカラーを入れていた。白のパンツに白のタンクトップの上から、マメクロゴウチの黒いシースルーのタンクトップを重ね着していた。耳の付け根に

もっとみる
「男女」と「女女」と「男男」

「男女」と「女女」と「男男」

無知と傲慢と偏見最初は発想すらなかったので、初めてそのセリフを言われたときひどく驚いた。

それは2015年のことで、私が職場のある男性先輩と某チェーンカフェでお茶をした話をたまたま女の子に話したときに、「気づいていないと思うけど、男の人が2人きりでカフェでお茶してたら、周りの人からゲイって思われるよ」と言われた。

それは単なる事実報告というより、すこしからかいを含んだ物言いだった。

今の価値

もっとみる
「致命的な些細な一言」

「致命的な些細な一言」

好きなnoteの書き手がアップしていたから開くと冒頭に「友愛の人」と書いてあった。うっとりした。響きがいい。

字義的には兄妹や友人に対する親しみの感情らしいけれど、私はもう何年も前から代替がないかなぁと考えていた「友達以上恋人未満」にぴったりの言葉だと思った。くらくらした。

今までは便宜的に「大切な人」と言い換えていたが、全然しっくり来ていなかったのだ。友達以上恋人未満は傘と同じで、時代が進ん

もっとみる
「そんなことないですよ」と言ってもらうまでがセットな人

「そんなことないですよ」と言ってもらうまでがセットな人

やばい相手に見つかった時の対処方法は2つ。戦うか逃げるか。いわゆる闘争逃走本能(fight-or-flight反応)と心理学用語で呼ばれるものだ。鋭い牙を持ったサーベルタイガーに遭遇したらファイティングポーズか全力疾走かを瞬時に判断したほうが良い。

けれど今は現代で、やばい相手と場面は多様化している。職場等すぐには逃げ出せない場合ばかりで、「いなす」「受けて止める」「帰ってからケアする」「愚痴を

もっとみる
人を■したことがあるかという問いに即答できない。

人を■したことがあるかという問いに即答できない。

あなたは人を■したことがありますか?

もし誰かにそう質問されたら、私は「ない」と即答できない。もちろん人を■した経験はないし、日常生活でそんな質問をされることもないのだけれど、なんというか、「そんなことあるわけないでしょう」と誰もが答えられる類の質問にうまく答えられないのだ。

私は大体いつも躊躇し、返答が2〜3テンポ遅れてしまう。

確かに私は直接的に人を■したことはない。けれど、私の些細な一

もっとみる
「覚悟はいいか、俺はできてる」

「覚悟はいいか、俺はできてる」

覚悟ほどやっかいな言葉はない。

私は覚悟という単語を聞くたび「ひっ」となり、使っている人を見ると本当に大丈夫? となり、覚悟したものを守り続ける人の気高さにうっとりする。

覚悟の先に待ち受けているものは、その言葉のある種の使いやすさよりもっとずっと重々しいものだ。そして覚悟には、実はいくつか種類がある。

以前、私は念願の仕事につくため実家から1000キロ以上遠くの見知らぬ土地で就職した。残業

もっとみる
遺伝を超えろ文化の子供

遺伝を超えろ文化の子供

「なんだよ結局は若い女の子が好きなんじゃん」と女性が良い「結局お金持っている男がいいのかよ」と男が言う。

この成分を含んだ内容を日常生活や本で見聞きするたびにいつも思う。「残念ながらそれはその通りかもしれん」

なんというか、遺伝に刻まれた本能というものはどうやっても馬鹿にはできないよなぁと思う。以前に読んだ進化心理学の本に、(あくまで傾向的に)性別によって変わる惹かれやすい相手とそのパターンが

もっとみる
「いい人どまり」になろうと決めた。

「いい人どまり」になろうと決めた。

日本には「いい人どまり」という言葉がありまして。少しだけ分解すると、それは「いい人」が先立つ人なのだと思うのですよ。「〇〇という魅力があり、かつ、いい人」は恋愛に発展しやすく、最初に「いい人」と印象が浮かんだり「いい人」の割合が高すぎる人は選ばれない。

考えるまでもなくそれはそうで、自分の気持ちより相手の感情を優先する心根の優しい人はーーデートのプランとか、ささやかな「ここぞ」という場面場面でー

もっとみる
「辛い経験をした人は優しくあるべき」なんて誰が決めた?

「辛い経験をした人は優しくあるべき」なんて誰が決めた?

自身もかつて暴力で辛い思いをしただろうにどうしてこんな犯行を……とコメンテーターが言ったので、そっかぁと思った。わかるのだけど、なんかつらい経験をした人に模範的を求め過ぎな気もするのです。

イジメや暴力やパワハラでしんどい経験をした人が同じことを誰かにしたときに、×2倍の熱量で責められてしまう現象は凄いなぁと思う。「痛めつけられたから人の痛みがわかるでしょう」という価値観は私にも染み込んでいるし

もっとみる
社会に「なんとなく」フィットできていますか。→YES/NO

社会に「なんとなく」フィットできていますか。→YES/NO

「なんとなくできる」と「生きやすさ」最初の違和感は綱引き大会だった。

それは4歳のときで、幼稚園に入園して比較的すぐの頃だった。クラス対抗で綱引きをすると先生に言われた子どもたちが歓声を上げ嬉々として一斉に綱に向かって走り出したとき、私は特に綱引きがしたくなかった。

先生に声を掛けられる前に作っていた積み木がいい感じにかっこよくなりそうだったし、そもそも一本の綱を引き合うことの何がそんなに楽し

もっとみる
永遠にフェアになることのない男女の夜道の歩きかた

永遠にフェアになることのない男女の夜道の歩きかた

誰にも話せないことがある。正確には話してはいけないこと、つまり男女にまつわるセンシティブな話だ。言葉を選び尽くしても反感を買ってしまいそうな、けれど私は私で、きちんと傷ついた話。

序盤の内容はありきたりだ。仕事帰りに夜道を歩いていたら十字路でばったり見知らぬ女性と鉢合わせしてしまってしかも帰る方角が同じらしく彼女のほうが少し先を歩く羽目になった。もちろん怖がらせてはいけないと思い、10メートルく

もっとみる