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意志力を節約する生き方とは? モチベーションに頼らない工夫(一人で頑張らない生き方)

「意志力は確実に減っていくもの。でも工夫次第で維持することもできるということか」

最近よく見聞きするようになった「意志力」という言葉。「あなたは意志力高いですか?」と聞かれるとドキッとする人も多いのではないでしょうか。私もその一人…。自信持って「あります」と言える人の方が少ないかもしれません。

ただ、この言葉はなんとなくイメージはできるものの、具体的にどんな意味合いなのか掴み切れない感じもします。この言葉の真意と、どうすれば効率よく意志力を発揮できるのか、その工夫について考えます。

意志力とは何か

そもそも「意志力」とは何でしょうか。意味としては「自分をコントロールして物事を成し遂げる力」という意味ですね。生きていると日々いろんな誘惑があなたを襲ってきます。ダイエット中の目の前のスイーツが分かりやすいですね。このスイーツに対して「No!」と言える力が意志力ですね。

こうした誘惑に打ち勝ち、やるべきことに集中する力のことを意志力と言います。ただ、この手の誘惑は日々無数に襲ってきますよね。スイーツの例は分かりやすいですが、みなさんが無意識にその脅威にさらされているのがスマホ。具体的にはSNSなどの「通知」ですね。

これ、めちゃくちゃ気になりませんか?通知が来たら見ずにいられません。その都度スマホを触り、その度にあなたの集中力は削がれ、生産性は低下しまくりです。

この「意志力」、高次元で維持したいところですが、なぜ消耗してしまうのでしょうか。そして、どうすれば鍛えられるのでしょうか。

意志力が消耗するメカニズム

意志力は無尽蔵に湧き出てくるものではありません。感覚的には朝起きた瞬間は高い状態です。しっかり睡眠をした朝はやる気に満ちているのでフル充電の状態ですね。

そこから様々な誘惑の攻撃を受け、それらに抗うごとに消耗していきます。朝は高かった意志力が一日を終わるころにはほとんど残っていません。夜、寝る前のスイーツに負けてしまうのは、1日の終わりには意志力を消費しきってしまい残っておらず、その誘惑に負けてしまうということですね。

意志力が消耗するシーンを挙げてみましょう。

<食事系の我慢>
・好きな食べ物を我慢する
・お腹がすいているのに食事をとらない(とれない)
・お酒やタバコを我慢する

<制約の中のストレス>
・気になるもの後回しにする
・遊びの誘いを断って仕事をする

<人間関係のストレス>
・嫌いな人と会話をする
・付き合いで嫌々飲み会に行く
・価値観の合わない人の言動を見る

いずれも日常の中に潜む「あるある」ですよね。ポイントは自分の意志次第で別の選択ができるという点です。前述のダイエット中の目の前のスイーツも正にそうで、食べるか食べないかは自分に委ねられていることが多いです。

また、人間関係の中のストレスは、空気を読んだり、人に合わせるがゆえに生まれるストレスやジレンマなので、ここは環境に由るところが大きいです。周囲の環境が知らず知らずあなたの意志力を目減りさせています。

いずれも、自分を奮い立たせて取り組むようなことで、それを実行する度に意志力のパワーゲージが減ります。夜になるとパワーの残量がほとんど残っていないという状況は想像できますね。

意志力の回復の仕方

意思力の回復にはブドウ糖を摂取するのが有効です。なぜなら意志力維持にグルコースが関係しているから。砂糖が入った甘い飲み物を飲むだけで、集中力が高まったりします。疲れた時にチョコレートや甘いお菓子が食べたくなるのは正に意志力低下の状況ですね。

ただ、このブドウ糖によるグルコース摂取はあくまで一時的な緊急措置です。急激に糖を摂取すると、血糖値が急上昇してしまいます。これを血糖値スパイクと言いますが、急上昇した後、インスリンの働きで血糖値は急降下します。この急激な血糖値の乱高下は血管に大きな負担となります。さらに、この血糖値急降下時に体は眠気を感じますので逆に集中力低下にもつながります。

意思力をセルフコントロールするには、ゆっくりグルコースに変わる食品を摂るのがよいです。低GI食品と呼ばれる野菜・タンパク質・果物などを選び、よく噛んで食べるのが良いです。

ベースの意志力をどう鍛えるか

食品でコントロールするのは即時的な措置です。ベースの意思力を高めるために、意志力を鍛えておきたいところです。その工夫をいくつか見てみましょう。

1.レコーディング

工夫一つ目が「記録」をするといこと。例えばダイエットでレコーディングダイエットという手法を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これは、日々自分の体重を記録するだけで痩せていくという手法。

このメカニズムは、体重を「目に見える数値」として記録をしていくことで、自分の状況を自分と切り離して客観視できるところがポイントです。記録を目にすると、その数値を悪化させまいと自然と意識が高まります。また努力の結果が目に見えて分かるので、モチベーションも維持できます。結果、意志力の無駄遣いを回避できます。

2.if-then プランニング

2つ目は「習慣化」の工夫です。意志力が低下しそうになったら自分でケアする習慣をつけるのが有効です。中でも有効なのがif-then プランニング。これは「AしたらBする」と決めておく、というシンプルな方法です。「【if】Aしたら【then】Bする」という形で計画するので、if-then プランニングと呼ばれています。

・お腹が空いたら→ナッツを食べる
・仕事をし始めたら→スマホの通知を見ない
・集中力が切れたら→立ち上がって背伸びする
・イライラして来たら→軽くランニングする
・価値観に合わない人を見たら→「そんな人もいるよね」と心でつぶやく

習慣的な行動をとることだけに集中している間は、別のことが気になりませんよね。結果として意思力を消耗しないで済みます。小さなマイルールを持っておくことで、意思力の節約することができます。

3.真理のモノサシで考える

意志力が揺らいでいる時をイメージした時に、テレビ番組などでよく自分の頭の中に天使と悪魔が登場する表現がありますよね。この表現のように、意志力が揺らぐ状況を分かりやすく教えてくれる書籍があります。『スタンフォードの自分を変える教室』です。

この本の中で、「脳は1つで自分は2人」という考え方が登場します。例えば先のダイエット中のケース。「痩せてスリムな身体になりたい」と考える自分と、「目の前のスイーツをかぶりつきたい」と思う自分とがいます。

この2人の自分が戦っているシーンで、アタマの中では葛藤が生まれます。2人の自分が対立し、その戦いによってどちらかを選択するのですが、その際に意思力を消耗してしまうということです。

この時になるべく意志力をセーブするには「正しい考えを持っている自分」を「本当の自分」と考えるのが良いです。真理のモノサシで測った時に、天使と悪魔がいるならやはり天使の声を優先するということですね。

悪魔の声に従ってしまうと、罪悪感のストレスが後で襲って来ます。さらに、悪魔の声を優先する生活を続けてしまうと、「我慢ができない自分」という風に自分を評価してしまい、自己肯定感が低下してしまい、ベースの意志力自体が目減りするデメリットもあります。

4.一人で頑張らず人の力を借りる

「意志力」と聞くと、自分の中の問題ですので、「一人で頑張る、我慢する」印象がありますが、自分のコンディション次第で、誘惑に負けてしまう時もあります。

そこで、4つ目の工夫としては「一人で戦わない」という手法です。アメリカで行われた意志力に関する調査結果が参考になります。5-6歳の子供達を対象に行なった実験。子供を対象に実験をしたのは「誘惑に弱く意志力が低い」という象徴として選んだそうです。

子供達をペアにして2人で楽しく遊んでもらった後、その2人を別々の部屋に入れて実験を行いました。目の前にクッキーを置きこんなことを伝えます。

「今すぐクッキーを食べてもいいけれど、食べずに我慢できたら後で2枚目をあげるよ」

子供にとっては結構残酷な問いかけです。でもシンプルですが、正に意志力を問う実験ですね。この実験は、2つのグループに分けています。

Aグループ:「一人でクッキーを我慢してね」と言われたグループ
Bグループ:「一緒に遊んだ友達と一緒に我慢できたら2人とも食べられるよ」と言われたグループ

要するに、ソロで意志力と戦うのか、自分と誰かのために戦うのかですね。後者は「他人の利益にもなる」ということが分かっている状況で意思力を発揮できるのかというところがポイントです。ここで大切なのは後者のBグループも「友達は一緒にいない。別の部屋にいる」ということです。相手がいない状況で、相手の存在を想像して行動が変わるのか、ですね。

結果は後者のBグループが2倍高く我慢できたそうです。

この実験は人間の意志の弱さを教えてくれます。やはり自分一人の状況では意志力を発揮できずに誘惑に負けてしまいます。でも、それが誰かのためにもなるとわかっている場合は話が別です。我慢できるんですね。

これは人間は社会的な生き物であることが背景にあるようです。サピエンス全史でも語られていますが、ヒトは協力し合わないと生きていくことができなかった生き物です。逆に、目の前にある利益が「自分のためだけのもの」である場合には、それを我慢することができなくなるということですね。

この人間の性(さが)を踏まえて意志力を高次に維持するには「誰かの存在を感じながら取り組む」ことが有効です。これは健康行動では特に顕著ですね。ランニングやウォーキングなど、コロナ禍での運動不足を感じている人は多いですが、こうした健康行動も仲間がいるかどうかでその継続率は大きく変わってきます。

私がサークルを設立したのもこの背景があります。「日々心身を整えて自分らしく過ごす」というのが私の描く理想ですが、なかなか一人で意識し続けるのは大変です。それを「仲間と一緒にやれば、できる」と考えてサークルを立ち上げました。

「一人で無理して頑張る」ではなく、「仲間と一緒に楽しく続ける」という力が働けば、余計な意志力をすり減らさずに、日々を健康に過ごせるのではないかと思います。

まとめ

今回は「意志力」を取り上げました。これは別の言い方で言うと「セルフコントロール力」ですね。自分を自制し、あるべき姿に近づけ、キープする力。理想ですが、言葉通り「個人の意思」に頼っていると、やはり揺らいでしまうものです。

そのベースの意志力を鍛える工夫として4つの手法をご紹介しました。個人の中でマインドセットを変えたり、習慣化することである程度ケアすることができます。

ただ、人間は弱い生き物です。一人で無理に戦わず、周囲の人の力を借りながら、なるべくエネルギーをかけずに意志力を減らさない工夫をするのが良いと思います。人間は社会的な生き物です。「誰かのために」「あの人の役に立てるなら」そう思えば、一人では揺らいでしまうことも乗り越えて行けると思います。

先日、65歳の方とお話した際、40年間やめられなかったタバコが、たった1日でやめられたという話を聞きました。そのきっかけは、孫からの「たばこ吸わないで」の一言。じいじの体調を気遣う健気な孫の一言に応えたい一心で、一瞬でやめられたそうです。誰かの存在が人を変える分かりやすい例ですね。

意思力は、日々をより良く生きていくために不可欠な力です。しかし、簡単に目減りしますし、簡単に揺らぎます。ありたい姿を描いてそこに進むためには、周囲の人のパワーを自分のものにしながら、ありたい自分に近づくのが得策ですね。

上手に自分の意志力を節約しながら暮らしていけると良いですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


記事の中でご紹介したサークルはこちらです。テーマは「日々心身を整えて自分らしく過ごす」こと。ゆるい空気感の中で、みんなで良い状態(Great being)を目指していきます。興味のある方は是非ご参加ください。


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