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「資本主義的な承認」と「全人格的な承認」の考察

「資本主義的な承認」と「全人格的な承認」の考察

前回、資本主義社会におけるコミュニケーションは、「資本主義的な承認」しか与えず、かつて存在したであろう「全人格的な承認」がなくなっていることを述べた。

今回は、「資本主義的な承認」と「全人格的な承認」の本質を考察してみたい。

そもそも「承認」とはなにか?

それは、私は価値があるということを他者が認めること、と定義したい。

仕事でよい成果を出したから、上司が褒めたり、接し方がよくなったり、な

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未来の日本や世界を考える上で重要な統計【財政・生活保護・GDP・企業時価総額・売上・利益】

未来の日本や世界を考える上で重要な統計【財政・生活保護・GDP・企業時価総額・売上・利益】

以下の数字を眺めて、日本と世界をよくしていきましょう。

引用箇所以外の円換算は1ドル113円でやっています。

■一般会計の歳入と歳出■2021年度予算案の国の一般会計歳出106.6兆円
国際費22.3%(23.8兆円)
社会保障33.6%(35.8兆円)
地方交付税交付金等15%(15.9兆円)
公共事業5.7%(6.1兆円)
文教及び科学振興5.1%(5.4兆円)
防衛5.0%(5.3兆円)

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【非升即走】復旦大学の教授殺害事件から見る中国の学界・社会問題

【非升即走】復旦大学の教授殺害事件から見る中国の学界・社会問題

2021年6月7日15時頃(中国時間)、復旦大学で解雇を言い渡された数学科の教師姜氏(39)が、その決定を下した党委書記の王教授(49)の喉をナイフで切り裂き、即死させるという衝撃的且つ悍ましい事件が起きた。

私がこれを知ったのは、たまたまclubhouseでこの事件について中国人、華人が語るルームがあったからだ。それに入り、いろいろな話を聞くことができた。(その後、ネットでも大きな話題になって

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【中国社会】における“内卷”と“躺平”の背景にある根本問題

【中国社会】における“内卷”と“躺平”の背景にある根本問題

先日、日本にいる中国人と話をしていたとき、「内卷(nei4 juan3)」という言葉を教えてもらった。

「内卷(nei4 juan3)」とは、中国において競争が激化して疲弊する若者の心情を表した流行語らしい。

(その友人自身も日本にいたから最近知ったという)

本記事のトップの画像は、中国の微博(中国のツイッター)で「内卷(nei4 juan3)」という語が流行るきっかけとなった清華大学の学生

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中国における推薦入学「保送bǎosòng」 #北京大学 #清華大学

中国における推薦入学「保送bǎosòng」 #北京大学 #清華大学

先日ある中国人から、中国においても(日本と同様に)高校から大学へ推薦でいける推薦入学があることを教えてもらった。これを「保送bǎosòng」というらしい。

中国の大学入試いえば、「高考」という日本のセンター試験の20倍規模の熾烈な競争が有名である。

(2020年7月に行われた「高考」の受験者数は1,071万人。2020年1月の日本のセンター試験の受験者数は55万人の20倍)

ただ、日本の大学

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そこまでする?北京大学に入るために逆に日本に留学する中国人。実は超お得(26倍)な早稲田・慶應のダブルディグリー プログラム

そこまでする?北京大学に入るために逆に日本に留学する中国人。実は超お得(26倍)な早稲田・慶應のダブルディグリー プログラム

以前、noteで中国でバズっていた次の写真を紹介したことがある。

生まれたての赤ん坊の上には、中国におけるセンター試験(大学受験テスト)である「高考」まで、残り6574日と書いてある。

中国において「高考」(つまりどの大学に進学するか)は人生を左右する大イベントなのだ。

そして、その中でも最高の大学は、北京大学である。

(李克強国務院総理(首相)など多く政治家や経営者などが卒業している)

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「境遇の被害者」という視点〜「意思」と「責任」の再考〜 #ゲンロン #シラス

「境遇の被害者」という視点〜「意思」と「責任」の再考〜 #ゲンロン #シラス

ゲンロンが主催するシラスという意識高めの動画プラットフォームで、國分功一郎×東浩紀「哲学にとって愚かさとはなにか――原子力と中動態をめぐって」という動画を視聴した。

ゲンロンの動画は6時間くらいがデフォルトになっているので、めちゃくちゃ長いが、BGM的にゆるく観ているとけっこういける。

ここで、國分さんがとても興味深いことを言っていた。

刑務所の受刑者たちは、自分の罪を咎められても釈然としな

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日本人がまだチャイニーズドリーム🇨🇳を夢見れる10領域 #中国梦

日本人がまだチャイニーズドリーム🇨🇳を夢見れる10領域 #中国梦

日本人が個人で中国でがっつり稼げる可能性がまだあるとすれば以下の領域ではないだろうか。お金がすべてではないけど。

1.和食料理人(寿司職人など)日本で実績のある料理人が上海や北京の高級料理店で活躍できれば、かなりの高待遇で雇ってもらえるはず。または、自分で店を開いてもいいだろう。

2.国技系専門家(空手、合気道、柔術、忍術)上述の和食と似ているが、日本人だということ自体が価値や正当性を生む領域

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あなたの生のゲーム設計はどうなっているか

あなたの生のゲーム設計はどうなっているか

テレビゲームやスマホゲームなどのいわゆるゲームが、物足りなさがあるものの面白い。その理由は、そのルールが明確だからだ。

ゴールがラスボスを倒すことで、そこまでの道筋が単純すぎないが、一定程度見渡せているから、経験値をためて前進していく。どんなゲームも基本はこういう構図だ。

人生を楽しんでいる人の多くは人生をゲーム化している。ゲームにおける報酬や経験値を貯める方法をリアルの世界で一定の明確な形で

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第1印象を保つことが難しい時代

先日、ある動画で哲学者の東浩紀さんが人々が無思考になっていることを語っていた。SNSやインターネットが普及する前は、ある作品を観賞した後、自分で感じたものが何かしらの形で残り、それが維持され、それについて将来違う考えを持つ他人と語ることができる。

しかし、現在は、その作品に対する様々なレビューや意見、感想、広告が、とりわけ過激で支持を集めやすいようなものが目に入り、当初抱いていた感想が消されてし

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見田宗介さん、それ僕が言ったことにしていいですか?〜他者やあらゆるものたちと歓びを共振して生きる〜

見田宗介さん、それ僕が言ったことにしていいですか?〜他者やあらゆるものたちと歓びを共振して生きる〜

このnoteはつらつらと自分の考えたことを書いている。

特に目的意識はないが、無意識には何かしらの志向性があると思う。

あえて、陳腐に言語化すると、人間の生(主観的な生)をよくしたい。楽しいもの、喜びに満ちたものにしたい、ということが根底にある。自分が、というか他者も含めて、だ。

そしてそれを考えると結局、人間とは何かを問わざるえないし、生きている環境である社会やその先の自然環境、宇宙などへ

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人との連帯があれば辛いことにも耐えられる〜「眼差しの不在」の地獄〜

社会学者の宮台真司氏がラジオで興味深いことを言っていた。

人は、苦しくても人との連帯があれば耐えられる、孤独だとちょっとしたことでもやられてしまう

やけに攻撃的になったり、非人間的な言動をする人は、孤独なのかもしれない。孤独の不安を埋め合わせるためにそうするのだろう。

宮台氏は、秋葉原事件の加藤智大を例に挙げている。彼よりも職場や経済的にもっと苦しい人は沢山いた。でも、彼がそんなことになって

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それでも「真実」を求める理由は「システムはどのみち回らなくなるから」

それでも「真実」を求める理由は「システムはどのみち回らなくなるから」

真実はなぜ重要か?自分たちの主観的な世界が楽しければそれでよくないのか?

自分が見ている世界を全てだと思って、その中で自由に楽しく生きていればいい。そう考える人は多いだろう。

つまり、その自分たちの(狭い)世界の「外」(真実)なんかどうでもいい、という態度。

本当のことがわかっても、だからどうなんだ!っていっちゃうやつ。真実なんてどうでもよくて自分たちが自分たちの見ている世界がよければそれで

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人間社会は、権力と財力の2大ゲームであり、それに参加するか否定するかという件〜立花隆、エコロジー的思考より〜

立花隆『エコロジー的思考のすすめ』 (1990、中公文庫)には人間社会において決定的に重要な価値体系について本質的な説明がある。まずは引用する。206ページから。

**以下、引用

複雑な人間の順位制

人間社会の順位制は、動物社会の中ではいちばん複雑な仕組みになっている。
人間は自意識過剰の動物で、いずれ劣らぬ肥大した自尊心をかかえている。したがって、集団の秩序を維持するために最も有効な方法は

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