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エッセイ

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記事一覧

【エッセイ】ベストな自分、その先へ

【エッセイ】ベストな自分、その先へ

未来のためにできること?
それは…「自分にベストと思える選択をする」こと。

近頃SDGsという言葉を聞く。
未来に考えを巡らせた時イメージとして多くの人が社会や世界に何かアクションを起こし考えを発信する事だと思っているように感じる。実際、未来=SDGsと考える事も少なくない。
でも本当にそれだけだろうか?
もっと足元からスタートする考えでは?
つまり個人の在り方が問われる問題だと。
個人が揺らい

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【エッセイ】花火の季節

【エッセイ】花火の季節

始まりはいつも夏。
音、匂い、色、一気に思い出がスライドショーとしてカシャカシャと一枚一枚現れては消える夏。
大人になった今よりも子供のころの夏は非日常的季節だった気がする。
けだるく湿気を伴う空気感、他の季節より高く見える空、
毎日のように続く晴れ間そして夏休み。

毎夏どこかでうち上がる「花火」。
「花火」は普段忘れている私の記憶を呼び起こす力がある。
すっかり忘れてしまっていても、パッと花火

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【エッセイ】食べる、話す、空間 

【エッセイ】食べる、話す、空間 

小さい頃から少しだけ周囲よりも恵まれていたように思うことがある。
私には特別な、大切な時間が多かった。
両親にはそれぞれ長い付き合いの友人がいた。
特に父の友人は定期的に私の家に来ては食事を楽しみ色んな会話をしていった。今思うと、会話というよりちょっとした討論、議論をするサロンのようだった。

私にとってその時間はパーフェクトな時間だった。
大袈裟でなく、本当にステキなかけがえのない、貴重な時間だ

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【エッセイ】ホットケーキと夏

【エッセイ】ホットケーキと夏

夏の想いでは?
そう聞かれたら…「ホットケーキとホットミルクとプール」と答えるだろう。

まだ近所に温水プールのない時だった。
夏休みになると父と電車に乗って中野まで。
そこの屋内プールに泳ぎにいった。

滅多に地元から出ない地元っ子の私にとっては大冒険。
ソワソワ、ワクワク、ドキドキが溢れていた。
車窓からの眺めも今でもハッキリ想い出せるほどだ。
なのになぜだか駅からプールまでのルートは全く覚え

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【エッセイ】思考とシンプル

【エッセイ】思考とシンプル

考えがまとまらない。
そんな午後がやってくる。
たまにほんの数時間だけだが、心がざわつく。
何をしても手につかず、考えをまとめようとしてもパラパラと頭の隅々に散っていく。

あぁ、そうか。今は心が疲れてるんだ。
そうして気づく心の状態。
人間はどうして疲れてしまうのか。
ハツラツとイキイキと過ごしていても、
時々ストンと心が階下に落ちていく時がある。

いつも思う。
世界は疲れる。情報は疲れる。人

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【エッセイ】忘れられないあの涙

【エッセイ】忘れられないあの涙

私から溢れた涙はどこに消えていったのだろう。
私の記憶、時間、想いと共に全てがこの地上に吸収されていったはず。あんなにも流れ続けた雫の一つ一つの記憶を今、たどろう。

これまでどのくらい涙が出たのだろう。
小学生の時に楽しくておかしくてお腹をかかえて泣き笑いしたこと。母親とケンカして自分の間違えに悔しくて涙が溢れたこと。
一番大事な涙なんて存在しないと思う。
いつだってその時の自分に必要な涙のはず

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【エッセイ】コーヒー、私、冬(連作2)

【エッセイ】コーヒー、私、冬(連作2)

「コーヒーはあまり好きじゃないの」
「どちらかというと嫌いかもしれない」
そう、これが私。
 
飲めなくはない。
ただ苦手で好きになれなかった。
 
でもこれは以前の私。
正確に言うと「苦手、嫌い」は過去形になる。
20年以上言い続けてきた「苦手」と「嫌い」という言葉は今、過去になった。
 
あれは学生時代の私。
大学近くにコーヒーショップが開店した。
当時開店ラッシュだった、海外から出店してきた

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【エッセイ】コーヒー、私、時間(連作1)

【エッセイ】コーヒー、私、時間(連作1)

目を閉じれば、あの時間が蘇る。
いつもではないけれど、目の前にふっと浮かぶ。
コーヒータイム。
音も匂いも一緒にいる人の表情も、あの時に戻っているかのように。

両親はよくコーヒーを飲んでいた。
私が、学校から早く帰る土曜日。
急いで階段を駆け上がる。
「お帰り」と言うように
私の鼻に、ちょっぴり大人の香りがフワッと届く。

ドアを開ける。
コーヒータイム中の2人の後ろ姿。

「ただいま」
より一

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【エッセイ】「おいしい」の記憶

【エッセイ】「おいしい」の記憶

大切な3人からもらった大切な記憶

「おいしい」

初めての記憶は母。

まだ幼稚園入園前、母と二人でランチを一緒に過ごしていた。
ベランダ近く、足も届かない背の高いイスに座り、
父の大きな仕事机で、毎日ゆっくりと過ごすランチタイム。

メニューはいたってシンプル。
トースト。
日替わりサラダや卵料理。
私は、手で支えるのがやっとのマグカップに入った、甘い甘いホットミルク。
母はミルクティー。

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【エッセイ】Passion~スタートする情熱~

【エッセイ】Passion~スタートする情熱~

「情熱」をスタートさせる。

それは自分の想いを内から外へと出すこと。
五感の全てを文字で表現し外の世界へ出すことなのだ。

スタートさせようと思うまでには、ずいぶん時間がかかったような気がする。

「情熱」とは何か?

その答えにたどり着くまでには、たくさんの試行錯誤とチャレンジの間をグルグルと行ったり来たりした。
部活の創設、バンド活動、陶芸、絵画どれもみんな好きだったし、それなりにできた。

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