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#エッセイ
Netflix映画『パレード』
心残り無しに死ぬわけにはいかないと思っていても、人生そう上手くいくことばかりではない。もしあの時に別の選択をしていれば、と後悔することは幾らでもあるし、見ることの出来なかった結末が気になったとしても知るすべはない。人生は一方通行のパレードだ。
映画というよりも芝居を見ている感覚に陥ったのは、劇中劇のような構成だからだろうか。生きている人たちの世界と死んでしまった人たちの世界がクロスして、でも
『君たちはどう生きるか』現象考
私に続いて劇場に見に行った知人に感想を聞いた。一言、つまらなかったと言った。でも見に行って後悔はしていないという。なぜなら、見てもいないのに批判する訳にはいかないからと。その知人曰く、この映画は誰にもお勧めしないし、もう一度と見たいとは思わないと言った。それが分かっただけでも収穫だと。
私の抱いた感想と違いすぎて戸惑いを感じた。
今は、あらすじやストーリーを追えば内容が理解できる映画が好ま
映画『君たちはどう生きるか』
映画館を出ると世界が違って見えるのは映画の醍醐味の一つ。
何でも無い壁の染みや差し込む陽の光までもが愛おしく感じる。忙しなく行き交う人々の険しい表情も穏やかに受け止められる。
それは言わば遺言だった。
もうこの世界に触れられないのだと思うと、込み上げてくるものがある。残念ながら私はこの年になってもそれを受け継ぐ準備は出来ていなかった。だからこそ、伝えておかなければならないという思いに彼
NETFLIX『THE DAYS』
わたしたちの平和な毎日があるのは、いろんな誰かのお陰だと分かっているつもりで生きている。
だからと言って、小腹がすいてつまんだナッツを誰が育て、誰が運び、誰が加工して、最終的に我が家に運ばれて私が口にするまでの間にどんな人々が関わったのか具体的なことは何も知らない。私の生活を支えてくれている人々のうち、顔が見えているのは、ほんの僅かな人たちだけだ。
それは都市や社会が複雑化したからだし、便利
『トップガン マーヴェリック』はトム・クルーズによるアメリカ映画のオマージュだった、と思った。
エンドクレジットを見ていて、トム・クルーズという人の映画に対する絶大なる愛を感じた。それは愛という言葉でも足りないくらいで、言えば映画は彼そのもの、彼は映画そのものだ。
今後トム・クルーズのような映画人は現れないだろうなあ。流れるスタッフロールを呆然と見ながら、私は映画の内容よりもトム・クルーズという人の人生に思い耽っている自分に気付いた。彼とは比較的年齢が近い私の映画人生に常に彼がいたからか