しまざきあきみつ

Harumari Inc.代表/クリエイティブディレクター/エディター『Harumar…

しまざきあきみつ

Harumari Inc.代表/クリエイティブディレクター/エディター『Harumari TOKYO』『OCEANS』/物書き『東京の24時間を旅する本』『一年ごとに世界が変わる こどもと一緒の東京ガイド』(ともにサンクチャリ出版)

マガジン

  • ひとり反省会

    『私の人生は私の大好きな物語に対してあまりに貧弱なのだ』という台詞が好きなのですが、まさに実人生と理想とのギャップに苦しみそれでも前を向くためのひとり反省会コラム

  • Harumari TOKYO編集後記

    編集長をしてますメディアHarumari TOKYOの取材後記。掲載中の特集の解説や記事でかけなかった裏エピソードなどをこちらに書いていきます。

記事一覧

今できることに固執すると成長は止まる

立場上、よく面談をするし若い子たちと将来やキャリアについて話すことがある。 建設的なキャリアの話もあれば、心の風邪を引いてしまった子に対して、前に進む打開策を探…

どうしてそんなに怒るのか

いつものK氏とのカフェ雑談より。 ほのぼのとした温泉宿のポスターに、制服を着て露出多めの女の子のイラストが描かれていて、そのキャラクター設定がどうも性の商品化、…

広告のクリエーターってどうしてそんなに褒められたがるの?と質問されたときの話

『脚本家 坂元裕二』 「カルテット」「最高の離婚」あるいは「東京ラブストーリー」の脚本家といえばこの業界に精通していない人でもちょっとは興味をもってくれるであろ…

同じだけど違う世界がある恋愛という宇宙

5冊目の本は、鴻上尚史『ごあいさつ』です。 鴻上尚史さんといえばアエラドットの『ほがらか人生相談』で僕たち庶民の人間関係にまつわる様々な悩みを的確かつ真摯に、そ…

想像力とラジオと長男の話

いとうせいこう『想像ラジオ』 この本は長男が生まれた2014年に出版された本で、長女がまだお腹の中にいた2011年に起こった東日本大震災にまつわる小説です。 今の状況っ…

霊感の強い人は宇宙好き説

リサ・ランドールの『ワープする宇宙』 こちらは奥さんとの思い出の本です。 いや、ご本人はたぶん読んでいないし、一方的に思い出化しているだけなんですが。 宇宙好き…

ことし9歳になる娘から凪良ゆう著『流浪の月』をプレゼントされた

#ブックカバーチャレンジ   『流浪の月』凪良ゆう これは、ことし9歳になる長女が僕の誕生日に選んでくれた本です。 本のあらすじを知っている人はゾッとするかもしれま…

オタクは手持ちのカードを最初に全部出してしまう件

#ブックカバーチャレンジ1日目 #ソフィカル (野崎歓訳)『#本当の話』 大学以来の旧友 K女史から回ってきたブックカバーチャレンジ。なんすかチャレンジって、なに挑戦す…

東京で生きていく上で、本当の幸せってなんだろう?

以前、僕の媒体『Harumari TOKYO』で特集した「TOKYO WELL-BEING」について、このコロナ渦の中改めて「幸せってなんだろう?」って考えさせられるにあたり、このときの考察…

30歳は自分の過去をリセットする最後のチャンスかもしれない

30歳の誕生日に、なんともドラマチックな瞬間に立ち会ってしまったことがある。 その時、僕は、ロサンゼルスのロングビーチでひとりでたたずんでいた。 なんていうとカ…

コロナ禍が奪った僕らの人生にとってかけがえのないもの

今、この状況で、僕らは何を“失っている”のだろう? 実は、ちょっとよく分からなくなっている。 僕が運営する『Harumari TOKYO』は、オフタイムや週末の過ごし方を提案…

糖質オフ男

2ヶ月くらい前から始めている連載『糖質オフ男』。 自分の年齢のせいもあるけれど毎日「健康」にまつわる話題を聞かない日はない。「老い」を「死への進捗」ととらえるの…

やっぱりYahoo!ニュースだけでいい

仕事相手の人とか、うちの若いスタッフたちにもしばしば聞くのだけど、「ニュースサイト見てる?」と聞くと、20代はほとんどなんのニュースメディアも読んでいない。 若…

それは半分正しくて、ほとんど間違っている

それは半分正しくて それはほとんど間違っている という言葉は、Analogue Fishの『Sophisticated Love』という曲の歌詞にある言葉なんだけど、この曲に、この言葉に出会…

○○な自分を演じる

この間、古い仕事仲間に1年半ぶりに会ったら、妊娠・出産して3ヶ月の子供がいるという報告を受けた。 その類いの報告にびっくりはしないのだけど、なぜか僕の周りの女性…

そろそろデジタルクリエイティブが復興して欲しい

サントリーの水曜日(みずようび)のデジタルコンテンツが面白い。 こちらを手がけたのが、Whatever所属の古い仕事仲間たち。 いやあ、素晴らしいなあ。感動するなあ。で…

今できることに固執すると成長は止まる

今できることに固執すると成長は止まる

立場上、よく面談をするし若い子たちと将来やキャリアについて話すことがある。

建設的なキャリアの話もあれば、心の風邪を引いてしまった子に対して、前に進む打開策を探す手伝いをするような時もある。

その時に必ず3つのことを聞くようにしている。

この3つ。

このうち「なりたい姿」は、この手の相談の議論の中心にはなる。

10代まではきっと、この「なりたい姿」だけを見て将来を夢想していたはずだ。「お

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どうしてそんなに怒るのか

いつものK氏とのカフェ雑談より。

ほのぼのとした温泉宿のポスターに、制服を着て露出多めの女の子のイラストが描かれていて、そのキャラクター設定がどうも性の商品化、ないし女性侮蔑と受け取られる内容となっていることに対して不快に感じた人が、SNSで「抗議」をしたことを発端に、左右、様々なカルチャー軸ないし世界線が錯綜する「議論(というなの炎上)」が始まる。

その手の話は日常茶飯事につき、いちいちその

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広告のクリエーターってどうしてそんなに褒められたがるの?と質問されたときの話

広告のクリエーターってどうしてそんなに褒められたがるの?と質問されたときの話

『脚本家 坂元裕二』

「カルテット」「最高の離婚」あるいは「東京ラブストーリー」の脚本家といえばこの業界に精通していない人でもちょっとは興味をもってくれるであろう現代テレビドラマ界の巨匠です。

しかも、彼は高校生の時にフジテレビのヤングシナリオ大賞を受賞して20代前半で脚本家として大成しちゃっているわけですよ。そしてこれまでの半生を振り返るこのクロニクルには、椎名林檎や松たか子や瑛太や宮藤官九

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同じだけど違う世界がある恋愛という宇宙

同じだけど違う世界がある恋愛という宇宙

5冊目の本は、鴻上尚史『ごあいさつ』です。

鴻上尚史さんといえばアエラドットの『ほがらか人生相談』で僕たち庶民の人間関係にまつわる様々な悩みを的確かつ真摯に、そしてやたら長い文章で答えてくれる連載エッセイで知った方も多いと思います。

僕にとっては、小劇場界の英雄的存在であり、最も尊敬する文筆家のひとりであると同時に、非モテ系人生を歩んできた僕の恋愛の先生であり、モテ・テクニックはすべて鴻上さん

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想像力とラジオと長男の話

想像力とラジオと長男の話

いとうせいこう『想像ラジオ』

この本は長男が生まれた2014年に出版された本で、長女がまだお腹の中にいた2011年に起こった東日本大震災にまつわる小説です。

今の状況ってよく東日本大震災と比較されるじゃないですか。それで「3月11日に何していた?話」って誰しも1回はしたと思うんですね。「地震があった時さ、わたしは会社にいてさ、そのあとさ…」みたいな話をみんなで語り合う、あれです。

あの地震は

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霊感の強い人は宇宙好き説

霊感の強い人は宇宙好き説

リサ・ランドールの『ワープする宇宙』

こちらは奥さんとの思い出の本です。
いや、ご本人はたぶん読んでいないし、一方的に思い出化しているだけなんですが。

宇宙好きなんですよ。オタクなんで。1年に数回は宇宙好きのともだちと「5次元の会」と称して超常現象をあくまで科学的に検証する雑談とか、やれNASAに入社?できたらなんの職種がいいとかを肴に飲んだりするくらいのレベルで。

宇宙に興味をもったのはも

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ことし9歳になる娘から凪良ゆう著『流浪の月』をプレゼントされた

ことし9歳になる娘から凪良ゆう著『流浪の月』をプレゼントされた

#ブックカバーチャレンジ  

『流浪の月』凪良ゆう
これは、ことし9歳になる長女が僕の誕生日に選んでくれた本です。
本のあらすじを知っている人はゾッとするかもしれません。いや、ちがうんです。そうじゃないんです。

長女は、「お年玉は大事な買い物をするときにだけ使いなさい」という親の言いつけを守って律儀に貯金しているような立派な小学生です。

お年玉をもらった瞬間にドンキですぐ飽きるだろう雑多なおも

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オタクは手持ちのカードを最初に全部出してしまう件

#ブックカバーチャレンジ1日目 #ソフィカル (野崎歓訳)『#本当の話』

大学以来の旧友 K女史から回ってきたブックカバーチャレンジ。なんすかチャレンジって、なに挑戦するんすか。

電子書籍のこの時代にブックカバーって、おい、40過ぎた中年かつFacebook沼的なニッチ企画だな。

あ、それって俺ターゲットじゃん。

華麗なる人脈をお持ちのK女史があえて友達の少ない島崎にこれをぶん投げてくるのだ

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東京で生きていく上で、本当の幸せってなんだろう?

東京で生きていく上で、本当の幸せってなんだろう?

以前、僕の媒体『Harumari TOKYO』で特集した「TOKYO WELL-BEING」について、このコロナ渦の中改めて「幸せってなんだろう?」って考えさせられるにあたり、このときの考察がとても今感があるので改めて紹介したい。

※掲出記事をnote用にアレンジして再掲しています。

今注目されるWELL-BEINGという言葉さて、お金や名誉、権力だけが幸せの近道じゃないなんてわかりきった話。

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30歳は自分の過去をリセットする最後のチャンスかもしれない

30歳は自分の過去をリセットする最後のチャンスかもしれない

30歳の誕生日に、なんともドラマチックな瞬間に立ち会ってしまったことがある。

その時、僕は、ロサンゼルスのロングビーチでひとりでたたずんでいた。

なんていうとカッコいい感じけれど、実際のところは、満身創痍、ボロボロで、20代に勤めていた会社を辞めてアメリカをふらふらしていただけ。目的も無く無為に過ごしている間に誕生日を迎えてしまったのだ。

夕暮れ時にすることもなく、ビーチをボーッと眺めていた

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コロナ禍が奪った僕らの人生にとってかけがえのないもの

コロナ禍が奪った僕らの人生にとってかけがえのないもの

今、この状況で、僕らは何を“失っている”のだろう?

実は、ちょっとよく分からなくなっている。

僕が運営する『Harumari TOKYO』は、オフタイムや週末の過ごし方を提案するメディア。「おでかけ」という選択肢を奪われたことで、提案したいトレンドの半分以上は無くなった。それなのに日々のリサーチで上がってくるネタの総量は変わらないし、更新する記事はむしろ増えている。

「不要不急」の外出をしな

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糖質オフ男

糖質オフ男

2ヶ月くらい前から始めている連載『糖質オフ男』。

自分の年齢のせいもあるけれど毎日「健康」にまつわる話題を聞かない日はない。「老い」を「死への進捗」ととらえるのは大げさだけど、10代の頃は成長する肉体に無自覚である一方で衰える肉体には敏感になるのである。

昔、ちらっと関わった「カワイイは作れる!」という某社のキャンペーンがあったのだけど、あれから10年以上経ってカワイイどころか、精神も肉体もい

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やっぱりYahoo!ニュースだけでいい

仕事相手の人とか、うちの若いスタッフたちにもしばしば聞くのだけど、「ニュースサイト見てる?」と聞くと、20代はほとんどなんのニュースメディアも読んでいない。

若干、一部の意識高い系がNewspicks見てたりとか。

でもいわゆるフツーの人はYahoo!ニュースすらみていないという。

まあ、サンプル数が少なすぎるしそれをもってすべてのことは言えないのだけど、シンプルに僕個人が持っているそうした

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それは半分正しくて、ほとんど間違っている

それは半分正しくて それはほとんど間違っている

という言葉は、Analogue Fishの『Sophisticated Love』という曲の歌詞にある言葉なんだけど、この曲に、この言葉に出会ったときに、なんだか、「あああああ!」という感動を覚えた。

「それは半分は正しくて、半分は間違っているね」って言う言葉はよくあるし、そういう会話をするシチュエーションもある。だけど、なんだか、それでは自分の

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○○な自分を演じる

この間、古い仕事仲間に1年半ぶりに会ったら、妊娠・出産して3ヶ月の子供がいるという報告を受けた。

その類いの報告にびっくりはしないのだけど、なぜか僕の周りの女性友達や女性の仕事仲間には「生活感を感じさせない」ままに、生活感のある出来事をこなしている人が多いことに改めて気付く。

それで、その女性は見た目も美しく、仕事も出来て、社交的、仕事の幅も広くてクライアント満足度も高いという非の打ち所のない

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そろそろデジタルクリエイティブが復興して欲しい

サントリーの水曜日(みずようび)のデジタルコンテンツが面白い。

こちらを手がけたのが、Whatever所属の古い仕事仲間たち。

いやあ、素晴らしいなあ。感動するなあ。でも、盛り上がっているのギョーカイとその周辺だけなのかもなあ。と思わずにはいられない。

この作品をお知らせしていたテクニカルディレクターのさくーしゃのエントリーに「懐かしい、インターネット的な感じ」という言葉があって、ああ、まさ

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