しまざきあきみつ

Harumari Inc.代表/クリエイティブディレクター/エディター『Harumari TOKYO』『OCEANS』/物書き『東京の24時間を旅する本』『一年ごとに世界が変わる こどもと一緒の東京ガイド』(ともにサンクチャリ出版)

しまざきあきみつ

Harumari Inc.代表/クリエイティブディレクター/エディター『Harumari TOKYO』『OCEANS』/物書き『東京の24時間を旅する本』『一年ごとに世界が変わる こどもと一緒の東京ガイド』(ともにサンクチャリ出版)

マガジン

  • ひとり反省会

    『私の人生は私の大好きな物語に対してあまりに貧弱なのだ』という台詞が好きなのですが、まさに実人生と理想とのギャップに苦しみそれでも前を向くためのひとり反省会コラム

  • Harumari TOKYO編集後記

    編集長をしてますメディアHarumari TOKYOの取材後記。掲載中の特集の解説や記事でかけなかった裏エピソードなどをこちらに書いていきます。

最近の記事

合理的に考えると共生的思考になる(はず)。

合理的に考えるっていいことじゃないですか。 「合理的」って、理にかなっていて無駄がないってことだし、ビジネスでも日常生活でも、何かの判断や行動に論理的整合性があって、ゴールまでのプロセスや手段がしっかりしてるってことでしょ? そんな合理的な判断が出来る2人が議論すると、とてつもなく「ねじれの位置」になっちゃうことってあるじゃないですか。もう、絶望的なくらいに。あれ、お互いの言ってることは、それぞれ完璧なんだけど、なんか、かみあってなくね?みたいな。 ってぼんやり思ってたと

    • 『おまえ、誰?』の強度。

      SNS、主にエックスとかの誹謗中傷とか、そこまでいかなくても無理解・無責任発言のるつぼとか、別に当事者になったわけではないんだけど、タイムラインに流れてくるたびに、なんだかなあ、の日常は、もはやだれにでもある不快体験なんだと思う。そういう時に、「おまえ、誰?」って返すのって、強度あるレスポンスだと思ったんですね。 これは、今年のフジロックでもっともインプレッシブなライブだったAwichのMC中のことばだったんですが、なんか、もうフジロック終わって3ヶ月以上立つのに、脳裏にこ

      • 究極のイマーシブシアター/LIFE AND TRUST

        ニューヨーク滞在中どうしても観たかったのが『LIFE AND TRUST』。イマーシブシアターの金字塔『Sleep No More』を手がけたプロデュース集団Emursiveの最新作。 「Sleep No More」が、廃業したホテルをそのまま舞台にしているように、今後の新作はウォール街の元シティバンクのビルを一棟借りしてイマーシブシアターに作り替えてしまったというスケール感がヤバい。一説には数百万ドルの資金が必要だったとか。(*reference) ストーリーは、192

        • 透明なまま可視化されるグロテスクについて/『JOB』

          ニューヨーク滞在中にマチネーで『JOB』を観に行きました。 いわゆるブロードウェイの劇場群は、ブロードウェイと名のつくストリート沿いというわけではなくて(実際、この道は南北に長い)、主要な大劇場はタイムズスクエアの中心地に点在しているんだけど今回の『JOB』は、へイスシアターという中規模ながらまさに中心地にある劇場で上映されていて、まさにメジャー中のメジャー。 ただこの作品は、当初はSOHOの小さなプレイハウスから始まって、コアな観客や批評家の人気や支持を集め、徐々に劇場

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        • ひとり反省会
          11本
        • Harumari TOKYO編集後記
          3本

        記事

          生温かくて、婉容な、4次元女子の幻影-REBECCA

          こないだ「REBECCA NOSTALGIC NEW WORLD TOUR 2024」を観に行ってきたんですね。場所は昭和女子大学人見記念講堂。 三軒茶屋にある女子大の施設です。大学の施設のくせに、クラシックコンサートだけじゃなくて、テレビの音楽番組の収録や商業ライブの会場としてもガチ活用されるロックな、けど由緒ある講堂なのです。 とはいえ、女子大。 普段なら絶対に足を踏み入れてはいけない女子大。 そんな禁断の世界(おじさん)の中に入れるとあって、ライブに行くたびに無益

          生温かくて、婉容な、4次元女子の幻影-REBECCA

          今できることに固執すると成長は止まる

          立場上、よく面談をするし若い子たちと将来やキャリアについて話すことがある。 建設的なキャリアの話もあれば、心の風邪を引いてしまった子に対して、前に進む打開策を探す手伝いをするような時もある。 その時に必ず3つのことを聞くようにしている。 この3つ。 このうち「なりたい姿」は、この手の相談の議論の中心にはなる。 10代まではきっと、この「なりたい姿」だけを見て将来を夢想していたはずだ。「お花屋さんになりたい」「プロサッカー選手になりたい」といった具体的なことから始まり

          今できることに固執すると成長は止まる

          どうしてそんなに怒るのか

          いつものK氏とのカフェ雑談より。 ほのぼのとした温泉宿のポスターに、制服を着て露出多めの女の子のイラストが描かれていて、そのキャラクター設定がどうも性の商品化、ないし女性侮蔑と受け取られる内容となっていることに対して不快に感じた人が、SNSで「抗議」をしたことを発端に、左右、様々なカルチャー軸ないし世界線が錯綜する「議論(というなの炎上)」が始まる。 その手の話は日常茶飯事につき、いちいちその案件に対して、あーだこーだを感じることをしないかわりに、どうしてみんな、そんなに

          どうしてそんなに怒るのか

          広告のクリエーターってどうしてそんなに褒められたがるの?と質問されたときの話

          『脚本家 坂元裕二』 「カルテット」「最高の離婚」あるいは「東京ラブストーリー」の脚本家といえばこの業界に精通していない人でもちょっとは興味をもってくれるであろう現代テレビドラマ界の巨匠です。 しかも、彼は高校生の時にフジテレビのヤングシナリオ大賞を受賞して20代前半で脚本家として大成しちゃっているわけですよ。そしてこれまでの半生を振り返るこのクロニクルには、椎名林檎や松たか子や瑛太や宮藤官九郎など豪華メンバーが参加しているのです。もう嫉妬しかありませんとはいえ、坂元先生

          広告のクリエーターってどうしてそんなに褒められたがるの?と質問されたときの話

          同じだけど違う世界がある恋愛という宇宙

          5冊目の本は、鴻上尚史『ごあいさつ』です。 鴻上尚史さんといえばアエラドットの『ほがらか人生相談』で僕たち庶民の人間関係にまつわる様々な悩みを的確かつ真摯に、そしてやたら長い文章で答えてくれる連載エッセイで知った方も多いと思います。 僕にとっては、小劇場界の英雄的存在であり、最も尊敬する文筆家のひとりであると同時に、非モテ系人生を歩んできた僕の恋愛の先生であり、モテ・テクニックはすべて鴻上さんの戯曲と著作から学びました(ってかなりヤバい人ですね、それ)。 鴻上さんはご自

          同じだけど違う世界がある恋愛という宇宙

          想像力とラジオと長男の話

          いとうせいこう『想像ラジオ』 この本は長男が生まれた2014年に出版された本で、長女がまだお腹の中にいた2011年に起こった東日本大震災にまつわる小説です。 今の状況ってよく東日本大震災と比較されるじゃないですか。それで「3月11日に何していた?話」って誰しも1回はしたと思うんですね。「地震があった時さ、わたしは会社にいてさ、そのあとさ…」みたいな話をみんなで語り合う、あれです。 あの地震は歴史的大事件であり、それぞれの人生のとって相当なインパクトがあったから、その当時

          想像力とラジオと長男の話

          霊感の強い人は宇宙好き説

          リサ・ランドールの『ワープする宇宙』 こちらは奥さんとの思い出の本です。 いや、ご本人はたぶん読んでいないし、一方的に思い出化しているだけなんですが。 宇宙好きなんですよ。オタクなんで。1年に数回は宇宙好きのともだちと「5次元の会」と称して超常現象をあくまで科学的に検証する雑談とか、やれNASAに入社?できたらなんの職種がいいとかを肴に飲んだりするくらいのレベルで。 宇宙に興味をもったのはもともと霊感が強かったからなんですね。こんな話、信じても信じなくても酒の肴には丁度

          霊感の強い人は宇宙好き説

          ことし9歳になる娘から凪良ゆう著『流浪の月』をプレゼントされた

          #ブックカバーチャレンジ  『流浪の月』凪良ゆう これは、ことし9歳になる長女が僕の誕生日に選んでくれた本です。 本のあらすじを知っている人はゾッとするかもしれません。いや、ちがうんです。そうじゃないんです。 長女は、「お年玉は大事な買い物をするときにだけ使いなさい」という親の言いつけを守って律儀に貯金しているような立派な小学生です。 お年玉をもらった瞬間にドンキですぐ飽きるだろう雑多なおもちゃを買ってしまう「宵越しの金はもたない」6歳の長男と比較するにつけ、大人になっ

          ことし9歳になる娘から凪良ゆう著『流浪の月』をプレゼントされた

          オタクは手持ちのカードを最初に全部出してしまう件

          #ブックカバーチャレンジ1日目 #ソフィカル(野崎歓訳)『#本当の話』 大学以来の旧友 K女史から回ってきたブックカバーチャレンジ。なんすかチャレンジって、なに挑戦するんすか。 電子書籍のこの時代にブックカバーって、おい、40過ぎた中年かつFacebook沼的なニッチ企画だな。 あ、それって俺ターゲットじゃん。 華麗なる人脈をお持ちのK女史があえて友達の少ない島崎にこれをぶん投げてくるのだろうからには、それなりの反応をしなきゃいけないと真摯に受けとめました。 どうせ

          オタクは手持ちのカードを最初に全部出してしまう件

          東京で生きていく上で、本当の幸せってなんだろう?

          以前、僕の媒体『Harumari TOKYO』で特集した「TOKYO WELL-BEING」について、このコロナ渦の中改めて「幸せってなんだろう?」って考えさせられるにあたり、このときの考察がとても今感があるので改めて紹介したい。 ※掲出記事をnote用にアレンジして再掲しています。 今注目されるWELL-BEINGという言葉さて、お金や名誉、権力だけが幸せの近道じゃないなんてわかりきった話。では、経済的な豊かさの先にある本当の幸せって何なの? そんな一生かけても答えなん

          東京で生きていく上で、本当の幸せってなんだろう?

          30歳は自分の過去をリセットする最後のチャンスかもしれない

          30歳の誕生日に、なんともドラマチックな瞬間に立ち会ってしまったことがある。 その時、僕は、ロサンゼルスのロングビーチでひとりでたたずんでいた。 なんていうとカッコいい感じけれど、実際のところは、満身創痍、ボロボロで、20代に勤めていた会社を辞めてアメリカをふらふらしていただけ。目的も無く無為に過ごしている間に誕生日を迎えてしまったのだ。 夕暮れ時にすることもなく、ビーチをボーッと眺めていた。すると70歳くらいのおじいさんが、砂浜になにやら大きな文字を書き始めた。ぼんや

          30歳は自分の過去をリセットする最後のチャンスかもしれない

          コロナ禍が奪った僕らの人生にとってかけがえのないもの

          今、この状況で、僕らは何を“失っている”のだろう? 実は、ちょっとよく分からなくなっている。 僕が運営する『Harumari TOKYO』は、オフタイムや週末の過ごし方を提案するメディア。「おでかけ」という選択肢を奪われたことで、提案したいトレンドの半分以上は無くなった。それなのに日々のリサーチで上がってくるネタの総量は変わらないし、更新する記事はむしろ増えている。 「不要不急」の外出をしなくなったことで、外食、店舗での買い物、旅行・観光といったサービス業、そしてイベン

          コロナ禍が奪った僕らの人生にとってかけがえのないもの