「大ドイツ美術展」といえば、1937年にナチスドイツによって開催された「頽廃美術展」と同時期に開かれたナチス的美術を集めた展覧会。いまでは芸術的な評価は全く得ることはなく、研究の対象にすらならない。筆者はその歴史的意義を、展示作品の代表作であったアドルフ・ツィーグラーの《四大元素》に焦点を当てて掘り下げていきます。
《四大元素》とは、伝統的な三面の祭壇画の形式に描かれた四人の裸婦像で、それぞれが
例えばキリスト教の宗教絵画では聖母マリアには百合の花やトゲのないバラ、聖ペテロには鍵、ギリシアの神話画ではゼウスには牛や鷲、ヘラにはザクロといったように、登場人物を象徴的に指し示す「持物」がありまして、そのことをアトリビュートといいます。これを学ぶと、暗号を解くように絵画の意味を読み解けるので、美術鑑賞が楽しくなるというのが本書の主張です。
同じテーマの本はこれまでに何冊もでていますが、本書は代
ありそうでなかった作品編年体の伝記。
一人の画家に焦点を当てる本は世の中にたくさんありますが、概ねそれは伝記の形で画家の生涯をたどりつつ、ところどころに作品図版を差し込んでいくことが多いです。図版だけ本の冒頭や巻末にまとめるパターンもあります。本書は、時間を追って時代時代の代表作の図版を掲載しながら生涯をたどります。ありそうでなかった伝記形式です。
これは波乱万丈の生涯を送ったカラヴァッジョ
訳すと「自作をネットで売ろう」。
画廊を通さず、画家自身がインターネットなどで作品を販売して生計を立てるための指南書です。ここでいう画廊を通さず、というのは画商との交渉が苦手な場合もありますし、単に自分一人で活動したいという場合もあります。いずれにしても、オンラインツールをどう使えば顧客を獲得できるかが書いてあります。
この手の本に共通するのですが、芸術家は経済に無頓着で、経済から離れて暮らし
アーティストステートメントの書き方指南書。なかなかうまくまとめてあり、私の考えとも多くの部分で重なります。特に作品制作を「What」「How」「Why」の三つの曲面で語るところは、昨年、東北芸術工科大学と広島市立大学で私が話した内容とほとんど同じでした。
作家の常套句である「説明できない」「見る人が自由に考えて」に対する批判も、「何も考えていないアーティストにとっての便利な言葉だ」と手厳しいです
訳せば『さあアーティストを始めよう』というところか。
アーティストのための実践的ガイドというだけあって、アトリエの借り方、画廊へのアプローチ、展覧会の開き方、奨学金へのエントリー、美術業界の常識、売り上げの取り分、値付け、納税まで、これからアーティストになりたい人が知っておくべきことが一通り説明されている。最後に40人あまりの先輩アーティストや画商など業者からのアドバイス集があるが、概ね画商が夢
プレゼンやブログなども含めた広い意味での情報発信の方法を期待して読んだが、実際には専門性の高い論文を書くための準備と作業の具体的な方法が説明されている。それはそれで重要だし勉強にもなったのだが、私が想定する広い意味でのプレゼンの参考にするには、相当私が咀嚼、読解しなければと思いつつ読み進めていった。実際、アマゾンの書評にもあるように、タイトル詐欺と疑われても仕方ない(これは版元と編集者に責任がある
もっとみる画家になる方法として、学歴や受賞歴は関係ないことや、自分のファンを増やすことが大事であり、そのためにバイオグラフィーやステートメントといった文 が必要であるなど、多くの部分で私の講義と重なる内容でした。
ただ、出来上がった文章例が、それほど魅力的に感じられなかったのが残念です。やはり文章で自分の思いを伝えるには、それなりの方法と工夫が必要ということでもあります。
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この人どうやら私と同じ年齢で、大学院も同じなのですが、多分進学したタイミングがずれてすれ違っているんでしょうね。
それはともかく、内容はというと。これまでのエリートに求められたのは論理と理性を重視し、実定法主義でシステムにコミットする能力に長けた「サイエンス」思考だけれども、今の時代はそれではやっていけない。感性と美意識を重視し、自然法主義で自ら信じる「真善美」に照らしてシステムを改変していく「
この手の本がなぜ流行するのか。おそらく絵を見るだけでビジネスのヒントが得られるという先入見のせいです。
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