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【美術・アート系のブックリスト】川内有緒著「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」

 白鳥さんは50歳代の全盲の男性。年に何十回も美術館に通い、水戸芸術館現代美術センターなどで講演やワークショップもナビゲートも行います。

 本書はノンフィクション作家の著者が、友人から「白鳥さんと作品を見ると楽しいよ!」と誘われ、一緒にアートを巡ったルポルタージュ。ピカソやモネの絵画、仏像、日本人の現代美術などを前に、作品に何が描かれているかを白鳥さんに説明していくなかで、それまで見えていなかったことに気付かされていく。

 他者と一緒に作品を見ること、会話しながら見ること、色や光の概念がない全盲の人に説明することなど、普段の鑑賞にはない体験が次々と起きます。

 主人公は白鳥さんかと思いきや、実は著者自身の個人的な身の上話や感想が意外と比重が多く、純粋なルポルタージュというわけではありません。

 とはいえこれを原作に深夜ドラマができたら面白いとは思いました。

集英社インターナショナル、四六判 336ページ 2100円


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