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マーケティング 人と社会の幸福を実現する

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#経営

顧客が先か信念が先か

先日、ある会議で面白い質問を受けました。普段、僕が話していることについて、1つ1つは全て理解できるし納得できるが、いくつか矛盾を感じたとのことで。

このグループでは、今「どんな価値を提供するのか」という視点からスタートアップの計画を立てています。スタートの段階が特定の製品やサービスを作ろうというものではなく、異分野の優秀な人たちが集まり、何かしたいと考えたとき、提供すべき価値は何か(どんな社会に

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2022秋 ブランディングを考える

「正しい日本語はない」
これは以前、僕が短歌の師匠から言われた言葉です。

言葉の使われ方、意味や概念は、時間とともに変わっていくもの。当然その時代ことの正しさがあります。それ以来僕は、例えば講義などで「適切な日本語」と表現するようになりました。

そこで考えると、実はマーケティングの代表的な定義、AMA(全米マーケティング協会)の定義も、これまで何度も変わっています。時代の変化や社会での役割に合

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マネジメント 「価値」の再確認:顧客満足を‘実現するためには

広告デザイン専門学校、マーケティングの講義は僕が作成したテキストを使用しています。書き込み式のワークブック形式で約70ページほどですら、半期、160分×17回の講義にしてはなかなかのボリュームです。

内容はコトラーの『マーケティング原理』などを元に、基礎をしっかり理解するためのものになっています。
学校の教材ですから、売り物ではありませんが、出典や参考文献は全て書籍の基準に合わせて作成(というか

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マーケティング 最初に強みと弱みを考えてはいけない

僕のnoteでは何度か「強み、弱み」という言葉について記しています。そのときあった出来事や感じたことを元に書いていますから、すぐに全てを思い出すことはできませんが、僕の記事でははこの「強み、弱み」という言葉について、否定的な内容のものが多いかと思います。

以前もいくつかの視点から記しましたが、多くの場合、競争優位を確立できない、主観的な視点になっていることが多いことや、根拠を説明できないものが多

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マーケティング ユーザー、顧客、クライアント、パートナー

企業の支援などをしながら、お客様をはじめ色々な方とお話をさせて頂いていると、「顧客満足」について違和感を感じることがあります。それは誰を「顧客」とし、誰の「顧客満足」を実現しようとしているのかということです。

以前に関わった仕事で、とても嫌な思いをしたことがありました。
単に「面白い」とか、立場のある人に阿り、お金を出してもらおうとするばかりで、誰かに何も価値を提供していないことに関わったからで

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ビジネスフレームワークの使い方

先日、ふと面白いことに気づきました。

今担当している、広告デザイン専門学校、マーケティングの講義では、最後の課題として、いくつかのビジネスフレームワークを使用し、実際の製品・サービスについて分析を行います。
内容は、PEST分析、FIVE FORCE分析、3C分析、SWOT,クロスSWOTを通じた市場分析。そしてユーザーモデル(ペルソナ)、カスタマージャーニーマップ、エンバシーマップ、UXマップ

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企業のSDGsの考え方 マーケティング5.0を読む前に

2021年1月、フィリップ・コトラー氏が、マーケティング5.0を出版しました。日本語版は、本年中には出版されるかと思います。

内容について、まだ概要しか把握していませんから、正確な内容などについては言及しませんが、マーケティング5.0では、特にSDGsについて多くの言及がなされています。

この内容は、今回初めて述べられたわけではありません。
マーケティング3.0でもエネルギーの問題についての記

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マーケティング プロモーションの考え方

僕は多くのデザイナーの方とおつき合いがあります。新型コロナウイルスの影響から、様々な理由で、広告業はかなり苦境に立たされているようです。

広告主からすれば、売上などに大きな変化がない限り、多くの場合、実は広告費ほど明確でないものはありません。そのため、経営状態が悪化すると、広告費が真っ先に削減されます。

そうした中で、先日、あるお客様から、webマーケティングについて相談を受けました。

そこ

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情報の取捨選択 どの「サイシン」が必要なのか

先日ある方と話をしていて、実は僕達はビジネスの‘最新’キーワードをあまり知らない、という話をしましま。最初は驚かれましたが、実はこれは、専門的なお仕事をされている方は同じではないか、という意見をその方の分野に合わせて話したところ、その通りだと納得しておられました。
実は最新キーワードは、深く理解している人ほど「それは○○のことですね」と、本質的な言葉や、以前からある言葉で言い換えられることが多いで

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企業理念がブランドを確立する

広告デザイン専門学校で教壇にたつようになり、次年度で4年目になります。そろそろ「デザイン教育は新人」とは言えなくなってきました。毎年、講義のシラバスを書くのは慣れた作業ですが、この3年ほどは、経営学部時代とは違った意味で悩みながら講義を組み立てています。

マーケティングについては、基礎的な理論は変わらないのですが、特に21世紀に入ってからの、世の中の変化はとても大きいものです。

20世紀、工業

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マーケティングの第1歩 分類、分類、まずは分類。

以前も記しましたが、マーケティングというと、やっぱり「どうやったら儲かるか」という話になります。

まったくもう!

どんな企業、どんな市場、どんな製品・サービスでも必ず儲かるなんて方法はありません。もしそんな方法があったら、全ての企業が儲かることになります。

でもこれって矛盾してますよね。例えばAという製品を販売している企業が10社あるとします。10社の生産量が、その市場の消費量と等しかったと

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年の初めに思うこと マーケティングを考える

昨年は生活環境やビジネス環境など様々な面で、変化を強いられる年になりました。しかし一方で、これまでの価値が問われ、新たな価値観が芽吹いた年にもなりました。

このことを考えていて、ふと、大学院時代のことを思い出しました。
そこで今回は、もう一度、マーケティングについて、考えてみたいと思います。

大学院の頃、多くの先生方に教えを頂きましたが、その中に、マーケティングが専門の先生がおられました。当時

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価格についてついて考える 今こそ適切な価格で生き残る

先日ある集まりの会議で、例年開催されているセミナーが議題に上がりました。他の例に漏れずwebセミナー形式による開催という話になる中で、価格についての話題が出ました。
少し付け加えると、このセミナーは、高度な専門家の団体によるセミナーで、昨年までは公共機関との共催でしたから、価格は公共機関の意向も考慮する必要がありました。しかし今回は開催形式等か異なるため、どのように価格を決めるか考える必要がありま

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マーケティングのインプットとアウトプット マネジメントとデザインの視点

現在SBE-Laboでは、若手のデザイナーの方と共同のプロジェクトを検討しています。まあ、若手という意味では、見方によってはまだまだ僕も若手なんですけどね。
さてこの方はランドスケープ、建築、プロダクトの分野の優秀なデザイナーで、僕と同様にデザイン学科でマーケティングの講義をされています。
色々な意見交換をしているうちに、大変興味深い話を聞きました。この話は、僕も長らく経営学の分野でマーケティング

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