情報の取捨選択 どの「サイシン」が必要なのか
先日ある方と話をしていて、実は僕達はビジネスの‘最新’キーワードをあまり知らない、という話をしましま。最初は驚かれましたが、実はこれは、専門的なお仕事をされている方は同じではないか、という意見をその方の分野に合わせて話したところ、その通りだと納得しておられました。
実は最新キーワードは、深く理解している人ほど「それは○○のことですね」と、本質的な言葉や、以前からある言葉で言い換えられることが多いです。
話の後、「サイシン」という言葉が気になった僕は、スマートフォンの辞書(デジタル大辞泉)を調べました。そのとき思いつかなかった言葉や知らない言葉など、「サイシン」の見出しは、なんと12項目もありました。
いつものことですが、こうなると情報の「サイシン」とは何か、疑問がわきます。
あまり言葉遊びのような形で、言葉を本来の意味ではない使い方や造語は、あまり好きではないのですが、、、
今回は、情報の「サイシン」について、考察することにしました。
・「最新」の情報
情報について「サイシン」という言葉を使うとき、基本的にはこの言葉でしょう。文字通り、「最も新しい」情報です。
「新しい」とは、時間軸の言葉ですから、常に変化する環境の言葉です。刻々と変化する状況下、例えば災害時やトラブル対応、スポーツの戦況など、リアルタイムで動きが早く、目を離せない状況で注視する必要がある内容について、常に「最新の情報」を得る必要があります。また「最新の情報」が必要な場合、情報の寿命は一瞬です。
僕は、特殊な場合を除き、普段の生活や企業活動(≠業務)で、「最新の情報」が必要な状況は、あまりないのではないでしょうか。
その場の状況に合わせて、柔軟に行動しなければならない場合でも、必要なのは、経験やノウハウだと考えます。
・「最深」の情報
情報には、「深さ」があると考えます。
例えば、人は普段から、インターネットなどを通じて、様々な情報に接します。
「へ〜」と思う、暇つぶしにその場で笑う程度の情報もあれば、生活に役立つ情報、身の回りの人にどうしても知ってほしい情報があります。また丁寧に吟味して考える情報や、生活や仕事などに大きな営業時間を与える情報もあります。
情報は深くなればなるほど、読解力を必要とし、決断に時間がかかります。
例えば昨年(2020年)の3月頃、オンラインで講義の準備のため、多くの情報を集め、色々な先生と、情報交換や意見交換をしました。
性急に普及するZoomなどに対して、経験やノウハウがほとんど無かったからです。そのため、TPCK(Technological Pedagogical Content Knowledge)という技術まで調べました。
「最深」の情報は、そもそもその情報自体の存在を推察する力がなければ見つけられません。しかし、決断する内容が重要であるほど、「最深」の情報が必要だと考えます。
・「再真」の情報
世の中の情報の、全てが正しいのは限りません。ニュースなどで「真偽のほどは不明」などという言葉を聞くとうんざりします。悪意の有無にかかわらず、「偽」の情報が溢れていますし、「真でも偽でもない」という、困ったものもあります。
哲学を学んだ方であれば、このようなパラドックスはご存知かと。
前後しましたが、ここで取り上げている「情報」は、単なる「事象」ではありません。以前のnote「マーケティングリサーチ 情報分析:意義ある情報は文章で構成される」で述べましたので、そちらを参考にして下さい。
・「サイシン」の違い
例えば災害時の避難など、「最新」の情報が不可欠です。しかし、例えばSNSなど、良かれと思って流された情報でも、発信者が真偽を確かめたものとは限らないので、注意が必要です。正しく「最新」の情報を活用するためには、瞬時に情報の真偽を判断できる力が必要です。
「最深」の情報は、普段から多くの情報や、より「深い」情報にふれ、「読み解く」作業を行なっていないと、到達することができません。
例えば人は、自分が調べて見つけたた情報や知識を、正しいと認識する習性があります。そしてその情報を信用すると、なかなか修正することができません。
「信頼できる人が言った」という理由で、間違ったことを話す人はたくさんいます。
「最真」の情報は、「最新」の情報には含まれていないことが多いです。「最新」の情報は、なるべく早く伝達するため、十分に吟味されていないことが多いからです。
また「最真」の情報は、その背景や理論など、情報量が多いため、熟読と理解が不可欠です。
(理解の方法については、「勉強法」として、あらためて述べます。)
・どの「サイシン」を選択するのか
例えば研究者(学者)や、物事を深く考えることができる人は、演繹法で考えます。演繹法に「サイシン」を当てはめた場合、以下のようになると考えます。
三段論法の「サイシン」
大前提:「最真」情報
小前提:「最深」情報
↓
結論←状況判断、柔軟な対応:「最新」情報
状況によって、どの「サイシン」を活用するか、あくまでも僕の意見ですが、参考になれば幸いです。
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